九段会館テラス。2011年の東日本大震災で天井が崩落し、死者も出て休業していた九段会館が、旧会館の姿を残したまま後方に地上17階の高層ビルを備えて2022年10月リニューアルされた。
正面玄関は落ち着いたたたずまい。
新装オープンといっても、会館の階段部分は基本的に変えずに、赤いじゅうたんが敷かれて重厚感が漂う。
手すりには大理石が用いられて、つい手で撫でてしまいそうなつややかさ。
見下ろすと、長方形の連鎖がリズム感を持って響いてくる。
壁面にも金属棒が取り付けられて、安全面への配慮もうかがわれる。そういえばこの建物は日本遺族会事務局も入っている。従って高齢者の出入りも多くあるのだろう。
思えば、ここは当初「軍人会館」として創建されたもの。1936年2月26日の「2・26事件」時には、ここに戒厳令司令部が置かれた場所だ。当時は、日本国軍首脳部たちがここをあわただしく上り下りした歴史的な階段でもあるということだ。
建物の裏側は、皇居の敷地。訪れた時期は武道館の屋根を背景に、堀側には満開の桜が咲き誇っていた。