僧行基が734年に創建したと伝えられる鎌倉最古級の寺杉本寺には、唯一無二の階段がある。
苔の階段。ここの参道は2段階に分かれていて、最初は普通の階段だが坂の途中から苔に覆われた階段が出現する。
今は、ここは通行禁止となっており、脇から上る形になっているので、しっかり苔に覆われていて階段かどうか判別しにくいくらい。
なぜこのような苔階段が出来たのだろうか。それは階段に使われた石に由来しているという。
使用されているのは鎌倉石といい、火山灰が堆積して出来た凝灰岩の一種。これは柔らかくて加工しやすいという利点がある。ただ、組織が密でないため、年月とともにすり減りやすいという。そこには苔が着きやすく繁殖しやすいことから、長年の間に苔の階段が出来上がってしまったものらしい。
これだけ全面的に苔だらけなので、独特の風合いを醸し出す。私が行った日は雲1つない晴天だったが、曇りや雨模様の日などは一層しっとりした風情になるのではないかと思わせる場所だった。
途中にあった仁王門の仁王像は、運慶作とも伝えられる。本堂(最初の写真)は、かやぶき屋根のひなびた建築だった。