フィレンツェ中心部から アルノ川に沿って600mほど下流に進むと
右側にオンニサンティ教会が 現れる
ふらりと中に入って圧倒されたのが 鮮やかな主祭壇だ
暗い堂内の祭壇部分だけに 照明が当てられている
そこにあるのは キリストが吊るされた十字架
両側の天使に守られて 中央に輝き
クーポラには 華やかな天井画が描かれている
手前の大きな半円の仕切りが 暗いままなので
仕切り越しに見える 鮮明に光を浴びた祭壇は
巨大な絵画を見るような 錯覚に襲われる
これまでいくつもの教会を 見てきたが
この祭壇の美しさは 特別なきらめきを放っていた
ここには歴史的にも重要な もう一つの「特別」がある
フィレンツェルネサンスの重要人物
天才画家ボッティチェリの墓が 実はここにあるのだ
彼が生まれ育ったのは この教会のすぐ近く
「ヴィーナスの誕生」を始め ルネッサンス美術の宝といえる
数々の作品を生み出したのも ここフィレンツェでだった
彼は自ら望んで この教会で死後を過ごすことを選択した
主祭壇の右奥に進むと 特別な礼拝堂の床に
「アレッサンドロ・フィリペーピ」の文字が 刻まれている
ボッティチェリの本名だ