新イタリアの誘惑

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エドゥアール・マネとその時代を歩く⑥ マネの絵画に登場する二人の美女 ムーランとモリゾ

2017-03-14 | マネと印象派
 マネは生涯にわたって様々な女性像を描いたが、中でもしばしば登場した対照的な二人のモデルが、彼の作品に一層の光を与えた。

 一人はヴィクトリーヌ・ムーラン

 職人の家に生まれ、16歳ころからすでにモデルとして生計を立てていた。


 かの有名な「草上の昼食」のモデルが、まさにムーランその人。まだ18歳のころだ。

 続いて発表された衝撃作「オランピア」もまた彼女がモデルだった。


 その後、27~28歳の時にも「鉄道」の中に帽子の女性として登場する。

 自立心に燃えた、強い意志の持ち主だった。

 もう一人はベルト・モリゾ

 ブルジョワ出身のお嬢様であり、自らも画家として芸術の道を歩んだ女性だ。



 最もポピュラーな作品は、1868年、知り合ったばかりのモリゾを中心に据えた「バルコニー」。

 さらに、1872年には「すみれの花をつけたベルト・モリゾ」と、彼女の名前をタイトルに付けた作品を制作、近代肖像画の最高傑作とさえ言われる、鮮やかな女性像を完成させた。

 「横たわるベルト・モリゾの肖像」は、モリゾ自身が「最も自分に似ている」と愛蔵していたもの。
 黒い衣装の中から浮き出る白い顔。そこから放たれる強い瞳の輝きは、見る者に突き抜けるような深い印象を残さずにはおかない。

 ムーランとモリゾ。生まれも育ちも異なる2人だが、マネという時代の先覚者によってあぶり出された19世紀に生きた女性像は、パリやその他の美術館で燦然とその存在感を主張し続けている。

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