新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編㉝ パリが飲み込んだ 異次元のアールヌーヴォー建築

2024-10-22 | 心ふるえる風景 パリ編

 エッフェル塔の東側にあるラップ通りに 何とも奇妙な装飾の建築がある

 名前はラヴィット邸

 建築家ジュール・ラヴィットと 陶芸家アレクサンドル・ビゴのコンビが完成させたものだ

 

 正面入口の扉に周りは 明らかに過剰と思える装飾で埋め尽くされている

 中央上部に据えられた女性像は 見るからに憂鬱そう

 その上方には左にイヴ右にアダムと 人類の創世を象徴する二人

 

 ファザードは石材 鉄 木材 ガラスなど 様々な素材を組み合わせた模様が広がり

 扉にはクジャクやトカゲなどが 奇妙に徘徊している

 この20世紀初頭のアール・ヌーヴォー建築は ただ独特という表現では捉え切れない異彩を放つ

 1905年のパリ市ファザードコンクールで入賞し 現在は歴史的建造物に指定されている

 

 パリはこれまでも他国の無名芸術家の卵を 多数受け入れてきた

 そして彼らにエッフェル塔建築を許し ルーブルの庭にピラミッドを造らせた

 

 パリという都市が いかなる表現をも飲み込んで

 自らの栄養にしてしまうという 異次元の懐を持つことが

 この建築の例を見ても はっきりとわかるような気がする

 

 

 

 

 


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