テ離宮へはバスを利用した。エルベ広場で停まっているバスの運転手に聞くと、そのバスがテ離宮も巡回する「チルコラーレ」と呼ばれる循環バスだった。離宮近くで声をかけてもらうように頼んで乗車。
バスで15分ほど走り、東西に延びる大きな道に出たところで運転手が「ここだよ~」と大声で教えてくれた。
降りるとテ離宮入口の標識。イメージでは大きく高い建物が見えるかと思ったが、実際には緑の木々の向こうに、わりに低層の屋敷が広がっている、といった印象の宮殿だった。
この宮殿は、ゴンザーガ家の別荘。イザベラ・デステの息子フェデリコ2世が愛人のイザベラ・ボスケッティのためにジュリオ・ロマーノに命じて建設させたものだ。
最初に入った部屋は「太陽と月の間」。真ん中にいる男が太陽神アポロン。右には月の女神ディアナ。二人は双子の神だ。
ここにはギリシャ神話に登場する神々を題材とした物語の場面が、壁面や天井一杯に描かれている。聖書の場面だとかなり深刻な話が多くなりがちだが、ギリシャ神話だと結構開放的なストーリー展開で、描かれた人々もアニメチックなタッチだ。
ここは「馬の間」。賓客との謁見やパーティなどにも使われたという広いスペースの部屋だ。
名前通り馬の絵が描かれるが、これらの馬はだまし絵感覚。バックの風景より手前に浮かぶように立っている風に見える。
このフレスコ画の白馬も浮き上がっている。
次に「プシュケの間」。
女神ヴィーナスの子供であるクビド(アモル=愛の神)は、美しい王女プシュケに恋をしてしまう。母ヴィーナスはその恋を妨害するが、死の眠りについてしまったプシュケを哀れんだゼウスがプシュケをよみがえらせ、2人は無事結婚するという物語だ。
1つ上の全体画の右端に寝ているのがプシュケとクビドの2人。
結婚式の風景なのか、みんな宴会で大騒ぎの最中だ。
そのお祭り騒ぎの中には象まで登場してしまっている。
別の壁面にはなにやら大巨人が。
中心にいる巨人はポリフェーモス。
その次の部屋は「風の間」。四角形、六角形、円などの形を組み合わせた枠の中に様々な絵が収まっている。
女性たちが何か争っているかのような構図。
天使が舞い降りた。
これは何を指さしているんだろうか?
とにかくどれもこれも動きのあるダイナミックさを感じさせる絵のオンパレードだ。