新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ヴェネツィアあちこち⑭ アラカルト。月と像、石臼ばあさん、混雑橋、消防船、情けないライオン・・・

2019-10-12 | イタリア・ヴェネツィア

 ヴェネツィアを散歩中に目に留まったあれこれを紹介しよう。

 まずは、スキアヴォーニ河岸にあるV・エマヌエーレ2世像の剣先に、ちょうど月が刺さった瞬間。ちょっとレア。

 月といえば、サンマルコ小広場のサンマルコ像が月を背負っているところも1枚。

 メルチェリエ通りの、サンマルコ広場入口付近アーケード上に、石臼を抱えたしわくちゃばあさんが通りを見下ろしている。このばあさんはルチア・ロッシさん。

 実は彼女は反乱軍鎮圧のヒロインだ。1310年反乱を企てた軍勢がドゥカーレ宮殿に向おうとした。それを見つけた彼女は通りの窓から石臼を投げ落とした。この石臼が旗手の頭に命中、大騒ぎとなり、これを察知した総督の部隊が反乱軍を鎮圧することが出来た。そんなヒロインを後世に伝えるために、こうして石臼ばあさんの肖像が残されたという。

 次に、広場の鐘楼からの眺め。鐘楼が街並みにしっかりと影を落としていた。

 その鐘楼から見たリベルタ橋。ヴェネツィア本島と陸とをつなぐ唯一のルートだが、あまりその全体を見る機会はない。

 橋つながりで、満員のアカデミア橋。

 こちらはため息の橋横の橋。サンマルコ広場に向かう人たちの群れだ。

 さらに、カンナレージョ地区にあるトレアルキ橋。この辺りは普段はそれほど混雑しないが、この日はヴォガロンガというボートレースがあったため、橋の上は鈴なり状態だった。

 そんな混雑に疲れてしまったのか、カフェに入ったとたんに眠り込んでしまった赤ちゃん。

 一方、カステッロ地区はとても静か。賑やかなのは、空中に翻る洗濯物だけ。

 そんなカステッロ地区、アルセナーレ(国営造船所)近くのサン・マルティーノ教会前にあるライオン像は、ヴェネツィアにある数多くのライオン像のうちでも最も情けない表情だ。何ともユーモラス。

 ヴェネツィアは車が全く通らない、世界でも無二の都市。従って緊急時対応の場合も車ではなく船が活躍する。これは消防船。やっぱり赤い色なんだ。

 こちらは救急船。

 さらに警察の船。penitenziario とは刑務所のことだが、パトカー的な役割を果たすんだろうか。

 最後に、その警察の警官とゴンドリエーレとの歓談風景を。

 

 

 

 

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ヴェネツィアあちこち⑬ 喧噪の街から静寂の別世界へ。キオッジャからの帰途、幻想の落日を見つめた

2019-10-08 | イタリア・ヴェネツィア

 晴れた日の午後、キオッジャへの小旅行を思い立った。キオッジャは、ヴェネツィア本島の東に長く延びるリド島からラグーナを渡って南にある町だ。

 この小旅行の目的は、ラグーナの海上で眺める雄大な夕景。従って午後からの出発が程よい時間帯となる。

 ただ、行き方は少々面倒。まずヴァポレットで本島からリド島に渡る。その船着き場から少し先のエリザベッタ広場で11番バスに乗って島の南端まで進む。

 終点のマラモッコにはフェリーが待機しているのでこれにバスごと乗船。フェリーはペレストリーナ島に着く。ここで船を乗り換えてキオッジャへ、という行程になる。

 行きのラグーナは、午後の日差しを浴びてまさにキラキラと輝いている。

 キオッジャの港が見えてきた。

 キオッジャに到着。キオッジャもかつては独立した都市だった。ただ、1380年に隣接する大国ヴェネツィアの攻撃を受けて敗戦し、以来ヴェネツィアに従属する町になってしまった。

 ただ、近年は観光事業なども発展してきているという。船から降りた場所はヴィーゴ広場。そこから街並みが広がっている。

 サッカーグッズを売る店もあった。この地区にもサッカーチームがあるようだ。

 少し横道にそれると、広い道路なのに堂々と道を横断して洗濯物が翻っていた。何とものどか。左上に見える青い飾りのようなものは、その家に赤ちゃんが誕生したというお祝いの飾りだという。

 運河に面した街並みが、綺麗に水面に映っている。ヴェネツィア本島でもこうした風景をよく見かけるが、ここまでぶれもせずきれいに映り込むのはなかなか珍しい。

 サン・ドメニコ教会。1200年創設という歴史を持つ。

 中に迫力たっぷりのキリスト像があった。祭礼時はこの像が街を行進するそうだ。

 さあ、散歩しているうちに夕方が迫ってきた。帰りのフェリーニ乗ることにしよう。

 夕陽を映した海は、黄金色に輝く。この海面のうねり!

 ムール貝を養殖している場所だろうか。その施設のシルエットが効果的な陰影を創り出す。

 遠くに見える島影はどこだろうか。まるで宇宙のさなかに放り出されたかのような浮遊感に浸っている。

 太陽は絵のように丸く温かく、西の空に浮かんでいる。

 そして次第に水平線の彼方に向かって遠ざかってゆく。

 間もなく昼という時間は終わりを告げ、夜の領域へと移り行こうとしている。

 移動時間は約1時間。騒然としたヴェネツィア本島空間からほんの少し離れただけで、「静寂」に包まれた全くの別世界に浸ることの出来る貴重な場所が、そこにあった。

 

 

 

 

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コッレール美術館③ 「2人のヴェネツィア婦人」の後、空想のヴェネツィア風景とシルエット絵を堪能。

2019-10-05 | ヴェネツィア美術館・博物館

 この美術館で多分最も有名な作品。カルパッチョ作「2人のヴェネツィア婦人」。一時はこの女性たちは娼婦ではないかとされたこともあったが、後の調査で絵が2つに分割されたものの一部だとわかり、また娼婦ではないとの説が定着しているようだ。

 この付近の窓からはカフェ・クワドリ側の広場が見下ろせる。ちょうど赤い服を着た子供たちの団体が広場中央を占領していた。

 別室では企画展が開かれていた。風景画だが現実にはない想像上の風景が描かれている。これは夢の中のヴェネツィア。

 霞の中の海の税関。

 また、壁面にはさりげなく描かれたシルエット画が。飛ぶ天使。

 更新する馬車の列。

 戦う戦士たち。

 こんな風にそれぞれの絵がシャンデリアの光で壁面から浮き上っている感じがとても面白かった。

 黄金のガレー船模型もしっかりと陳列されていた。

 一通り見終わって、館内のカフェに寄り、パニーニの軽い昼食。

 カフェの場所は建物2階にあり、ちょうど大聖堂の真正面になるので、サンマルコ広場を見下ろすのには最高のポジションだ。

 今日も本当に良い天気だ。あれ!空中に風船が・・・。

 

 

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コッレール美術館② 中世から現代まで、数百年を隔てた”聖母”達に出会えた

2019-10-01 | ヴェネツィア美術館・博物館

 コッレール美術館をさらにぶらぶら。

 見事な足。その指の部分だけがきれいに残っているのが面白い。

 エジプトで出土したミイラまであった。

 とげを抜く少年。この像はローマ・カピトリーノ美術館にあるもののコピーかも。

 おおらかな聖母子像を見つけた。14世紀の作品とか。

 アップしてみる。目元すっきり、大きく見開いた目で、まるで未来を見つめているかのような意志の力を感じさせる聖母の姿だ。

 こちらは壁に架けられた、マントを広げる像は「慈悲の聖母」と呼ばれる。ただ、この像が単独で展示されているのではない。

 像を中心にして沢山の現代人の写真が取り囲むコラージュ風の展示だ。

 老若男女様々な人の写真の中で、一番先に目に飛び込んだのがこの少女。さきほどの目元すっきり聖母に負けず劣らずのすっきりした目の力強さが印象的だった。

 聖母子といえば、ヴェネツィア派画家の筆頭に挙げられ、「聖母の画家」とも称されるジョヴァンニ・ベッリーニの名作もあった。

 アップしてみる。ベッリーニにしては珍しく、明るい青の背景のせいか、気持ちが明るくなるような気分にさせられる作品だ。

 「若き聖ラウレアート」。ふっくらとした若々しい青年の表情を巧みにとらえている絵だ。

 

 

 

 

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