シラー広場を抜けて、ザンクト・シュテファン教会を目指した。実は、この教会がマインツ訪問の1つの目的地。ここにはマルク・シャガールののステンドグラスがあるからだ。
教会の塔が見えてきた。坂の上に建っている。
入口に着いた。ドアに杖が斜めに付いていて、ドアノブは魚の形。とても面白いけど、閉まっているということは閉館中なのかも? 一瞬不安に襲われたが、カギはかかっておらず中に入ることが出来た。
まず心を打たれたのが、その青さ。中央の主祭壇から入り込むわずかな光が、教会全体を深い青の世界が支配している。この日は朝から曇り空。あまり外の光が入ってこなかった。それがかえって青さを引き立てる効果を引き出していたのかもしれない。
たまたま他に人がいなかったせいもあり、キーンと耳が鳴るくらいの静寂の中にたたずむ。まるで海の底。
しばらく椅子に座り無言でその世界にひたった。
そのうちに晴れ間が出たらしく、差し込む光が次第に強くなってきた。ゆっくりと立ち上がり1つ1つのステンドグラスに注目してみた。
主祭壇のステンドグラス。上部の三つ葉のクローバー形には赤い球を投げる人の姿が。
空を飛ぶ人たち。
赤い衣を纏った王と、見守る人たち。
浮遊する少年の下には、うずくまる青い衣の男。
多くの人達に見守られて・・・
大きな羽を持つ天使に抱えられた人が空に向かう。
聖書の物語が題材になっているようだが、かなり象徴的な表現で具体的な内容は不明。だが、描き出される絵画はまさにシャガールそのものの幻想世界だ。