新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・フランス パリ編⑧ 迷宮の世界に通じるのかも…。ギャラリーヴィヴィエンヌの階段

2021-08-14 | 階段紀行・フランス

 今回はパリのパッサージュにある階段を紹介しよう。

 パリにはいくつものパッサージュ(ガラス製の屋根があるアーケード街)が存在し、それぞれが独自のたたずまいを見せて、近年再注目されている。そのうちでも最も美しいと言われているのがギャラリーヴィヴィエンヌだ。

 場所もルーブル美術館やオペラ座から歩いて数分の中心街。数年前パッサージュ探訪をテーマに歩いた時は燃料税値上げ反対の大規模デモの当日で、交通規制されるなど騒然とした日だったが、それでも格式を感じさせるたたずまいに納得した記憶がある。

 その中で見つけたいくつかの階段。1つ目は小物を扱う店の中に設置されていた螺旋階段。小規模の階段だったが白鳥が羽を広げようとしている時のような優雅な形。店長さんにお願いすると、快くOKしてくれて、気持ち的にも温かくシャッターを切ることが出来た。

 アーケードの通りを進むと、突き当りに書店があり、その向かいにある住区に通じる階段がちょっと洒落た感じ。

 途中まで階段を昇ってみると、木製の階段で歴史を感じさせるものだった。

 2階から見下ろした向かいの書店。

 角を曲がって少し進むと、こちらも上の階に昇るための階段が見事なカーブを描いて存在していた。

 周囲は壁になっていて階段は独立している。古びた感じもまたいい。

 ここを昇れば迷宮の世界に吸い込まれて行きそうな・・・。そんな雰囲気を漂わせた階段だった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

階段紀行・フランス パリ編⑦ プティ・パレの優雅な階段と、街角で展開される父と娘との再会の階段画

2021-08-10 | 階段紀行・フランス

 プティ・パレ(パリ市立美術館)は1900年の万国博会場として建設されたもの。主に19世紀から20世紀の絵画作品が収蔵されている。

 入って2階に上がる階段は、緩やかな螺旋階段。

 大きな輪を描いて上昇して行く様は優雅だ。

 奇をてらったものではなく、派手でもない。

 が、そっとクラシックの序章が奏でられようとする瞬間に似て、ソフトな緊張感が伝わってくる階段だ。

 この美術館には、20世紀初頭のベルエポックのパリを代表する舞台女優サラ・ベルナールの肖像(ジョルジュ・クレラン作)が収蔵されていて、そのあでやかさに見入ったことがあった。

 パリの街を歩いていて、突然ビルの横壁に描かれた巨大な絵に遭遇した。

 

大きな長い階段。重そうな荷物を持った紳士がひたすら階段を昇る。

その先、頂上には少女が手を振っている。

「早く、早くここまで来て」と、叫んでいるようにも見える。

階段下では、二人を応援するかのように演奏を続けるピアノとバイオリン。

あの二人は、多分親子。

長い間、何らかの事情に阻まれて会うことが叶わなかった。

それが やっと会える。

トランク一杯のお土産を抱えて、父は娘の元へと急ぐ。

 

そんなドラマを連想させる壁画に しばし見とれてしまった。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

階段紀行・フランス パリ編⑥ カフェ・ロトンド。栄光を見ずに病に倒れた若き画家の、通い続けたカフェの螺旋階段

2021-08-07 | 階段紀行・フランス

 パリ、モンパルナスでモディリアニと恋人ジャンヌの生涯をたどるリサーチをしたことがあった。その期間、何度も通ったのがモンパルナスのカフェ「ラ・ロトンド」だった。

 まだ売れない駆け出しの画家、しかしはちきれんばかりの野望を胸に秘めた青年モディリアニは、なけなしの金でロトンドのコーヒーを頼み、何杯も水をお代わりして時間を稼ぎながら、店のナプキンに客の似顔絵を描いてはその日の夕食代を稼ぐという日々を過ごしていた。

 そんな若者のエネルギーが染みついたテーブルに座り、

 モディリアニのレプリカ作品が飾られた壁を眺めながら、時間を過ごした。

 彼は画学校に通う少女ジャンヌ・エピュテルヌを見初め、何枚もの彼女の肖像画を描いた。そしてパリ画壇のヒーローに躍り出る寸前に死を迎えた。その若者の死を追いかけるように、若き妻ジャンヌもまた自らの命を絶った。

 そんな無残な最期のストーリーから気持ちを転換しようと、ふと斜め前を見ると、店の奥にはカーブを描いて上昇する螺旋階段。モディリアニの死は、まさに彼の人生の上り階段が用意されようとした、その直前だった。

 病によって断ち切られたモディリアニとジャンヌの無念の思いが、先の見えないあの階段にこもっているかのように思えた瞬間があった。

このリサーチ時期に宿泊したホテルは「オテル・デュ・ケ・ヴォルテール」。ボードレールがこのホテルで「惡の華」を執筆した歴史的なホテルだった。

そこにも落ち着いた階段が設置されていた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

階段紀行・フランス パリ編⑤ デュモン教会の内陣と身廊を分ける階段には天女が舞っていた。

2021-08-03 | 階段紀行・フランス

パリの守護聖人である聖ジュヌヴィエーヴを祀った教会サンテティエンヌ・デュモン教会はパンテオンのすぐ近くにある。

 ここには非常に珍しい建築様式が残っている。「ジュベ」と呼ばれるもので、内陣と身廊との間に大きな仕切りが設けられている。幅約9m、アーチ状の仕切りだ。

 両脇には趣向を凝らした螺旋階段が付いている。

 近づいてみると、植物、花弁などをモチーフとした透かし彫りによる細工が丁寧に施されている。

 さらに、天を舞う天女の存在も確認することが出来る。

 仕切りのさらに上を見上げると、雄大なアーチが天井に曲線を描いて広がり、無限の空間を思わせるようだ。

 また、説教壇の階段も見つけた。それを必死に支える人物も発見。何かユーモラス。

 最後に、守護聖人ジュヌヴィエーヴの姿を拝んで教会を後にした。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする