新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・日本 横浜編① アールデコの重厚な階段、軽快な螺旋階段。横浜市開港記念会館

2021-10-12 | 階段紀行・日本

階段紀行シリーズも今回からは横浜編をお届けします。

 横浜市開港記念会館は、横浜開港50周年を記念して資金を市民に募り、コンペ形式で設計を公募して1918年に開館した。赤いレンガに花崗岩のアクセントが付いて美しい外観だ。

 みなと大通りの角に立ち、時計塔は「ジャック」の愛称で市民に親しまれている。

 中に入ると、アールデコの階段がどっしりと構える。

斜め左側の部屋入口にはアーチが施されていて、そのアーチ越しに見ると、また一段と趣が増す。

 上階から見下ろすと、結構な急傾斜にも見える。

 でも、軽快さも感じることが出来る。

 上階に行くと、壁にしつらえられた大窓が目に入る。その落とした影の揺らぎも含めて面白い。

 奥まで歩いて行くと、突き当りにこんな螺旋階段があった。

 調べてみると、これは屋上の時計塔に繋がる階段だった。簡易な造りだが、結構丁寧に細工されている。

 ステンドグラスもある。向かって左には大井の渡し、右には箱根越えの模様が描かれて、地域の歴史を思い出させるものだ。

 中央のステンドグラスは2羽の鳳凰があしらわれ、その中心には横浜市章「ハマ菱」が描かれている。

 そうそう、ステンドグラスはもう1枚あった。階段の途中にちらっと見えたのは、幕末にペリー提督が乗って来航した黒船「ポールタン号」だ。これも神奈川の歴史に欠かせない出来事だった。

 雑学の知識を1つ。この会館のある場所は、日本美術史の開拓者である岡倉天心誕生の地でもある。

 最後に、ライトアップされたジャックの塔をどうぞ! 

 

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階段紀行・イタリア 豪華で華麗なベルガモのマッジョーレ教会で見つけた聴聞席の階段

2021-10-09 | 階段紀行・イタリア

 イタリア北部の街ベルガモS・M・マッジョーレ教会は、12世紀ロマネスクの建築だ。尖塔の雄姿を眺めた後、中に入ると、想像をはるかに超える華麗な装飾が目に飛び込んできた。

 白漆喰で整えられた壁面や天井に、きらびやかな金を惜しげもなく使って、豪華絢爛の館に造り上げてしまっている。

 その中にある説教壇は、植物模様の繊細な細工による手すりが階段を囲み、渋い光沢を放つ。

 また、17世紀フランドルから取り寄せたタペストリーはキリスト磔刑図だ。

 また、タペストリーを背景にした告解聴聞席は、他の教会ではお目にかかったことのないほどの見事な彫刻が施されていて、まさに至福の時間を与えてくれた。

 他には大作曲家ドニゼッティの墓もあり、見所満載の教会だった。

 そして、夕刻に見た山麓に出現した夕焼け空の清廉な美しさも、忘れられないベルガモの思い出だ。

 

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階段紀行・イタリア イタリア統一運動の核となったトリノのカフェには、スタイリッシュな階段が存在した

2021-10-05 | 階段紀行・イタリア

 

 アルプス山脈のふもとの都市・トリノはいくつもの国に分かれていたイタリアが現在のような統一国家になった1861年、最初に首都となった歴史ある都市だ。リソルジメントと呼ばれるイタリア統一運動の中心的な地域となり、その実現をもたらした。

 そんな活動家たちが集まり、熱い論議を戦わせた場所の1つが「カフェ。トリノ」。市の中心部サン・カルロ広場にあり、今でもスタイリッシュな内装が施されている。

 中でも目を引くのがこの階段。華やかな装飾に包まれて、周囲で語らう客たちを優しく見下ろすかのように存在している。翻る風を思わせる優しいカーブの様は、ビターなエスプレッソの香りを一層味わい深くさせるものだった。

 トリノの中心は王宮。イタリア統一の宣言が行われた場所。夜、ライトアップされた広場から建物の両側に立ち上がる騎馬像の姿がクローズアップされて美しかった。

 トリノはまた、イタリアにおける無声映画の発祥の地。映画博物館もある。その博物館は、高さ167mの塔モーレ・アントネッリアーナの中に入っている。

 そこには映画のセットの再現や名優たちの写真など様々な映画関係資料が収集されていた。その中の1枚、「カサブランカ」のポスター。ハンフリー・ボガードがイングリッド・バーグマンに発した「君の瞳に乾杯!」は、今でも繰り返される名言だ。(私もかつて借用した記憶がある)

 

 最後に、ちょうど行われていた街並みのイルミネーションをどうぞ。

 

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階段紀行・イタリア ミラノの個人美術館の階段を上ると、ボッティチェリの最も美しい聖母像に会える。

2021-10-02 | 階段紀行・イタリア

 ミラノ中心部にあるポルティ・ペッツォーリ美術館は、19世紀貴族の個人邸宅をそのまま美術館とした建物だ。この入口の階段が優雅だ。大きな螺旋状を描いて上下し、その1段1段に赤いじゅうたんが敷かれている。

 壁面にも彫刻や絵画作品が飾られ、その並びに沿って階段が上下して行く。

 手すりには植物模様がデザインされ、周囲の照明によってシルエットとなって浮かび上がる。

 こんな階段を踏みしめながら展示室に向かう時、一層作品への期待が高まる気がする。

 そして出会ったのが以下のような珠玉の作品たちだ。

 ボッライオーロの代表作「若い貴婦人の肖像」。

 ボッティチェリの「死せるキリストへの哀悼」。

 そして、彼のもう1作「書物の聖母子」。ボッティチェリの聖母はいつも清楚なたたずまいだが、その中でも最も美しい聖母像の1つだろう。

 

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