山下公園の埠頭に係留されている大きな船がある。氷川丸。国産初の北米航路定期船として1930年に竣工した豪華客船だ。アメリカ・シアトルへの航海は約30年間にわたって就航し、現在はここにその姿を休めている。
ここの船内にある階段はアール・デコ調のスタイリッシュな階段だ。
それほど広くはないスペースだが、ゆったり感を覚えさせるデザイン。
見上げれば、柔らかい楕円形が現れ、上空の照明がアクセントになっている。
シャンパングラスを思わせる意匠が施された手すりも見事。
上から見下ろすと、向かい合う階段が対称形になる。
脇からの眺め。流れ落ちる滝を連想させる。
一等特別室は、ステンドグラスを備えた豪華な造りだ。ここには喜劇王チャップリンも滞在したことがある。1932年、「街の灯」の完成後日本を訪問、帰国時にはこの船に乗ってアメリカに帰った。わざわざ船旅をリクエストしたのだという。
一等食堂が復元されていた。料理の出されたシーンが再現されている。
機関室にも入ってみた。ここへ下る階段は、巨大な2機のディーゼルエンジンに挟まれて、機能重視で一直線。それもすっきりした快さを感じさせた。