新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編⑯ ジョットの鐘楼が路上に! スコールが創った奇跡の絵画

2023-09-12 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 初秋のフィレンツェの午後 突然の雨に見舞われた

 まるでスコールのように 激しく地面をたたき

 周囲を濡らし尽くして 1時間もしないうちにさっと止み

 後には真っ青な空が 戻ってきた

 

 急きょカフェに飛び込んで 雨上がりを待って外に出た

 中心街の石畳は すっかり濡れ切って

 くぼみには 水たまりも出来ている

 

 ドゥオモ近くに来て ふと足元を見ると

 そこにくっきりと 塔が立っている

 ジョットの鐘楼だ

 雨が創った水たまりが 即席の鏡に変わり

 強い光を浴びた鐘楼を すっぽりとそこに映し込んでいる

 

 14世紀に完成した塔が 21世紀の水面に

 突然よみがえった

 下部は 鐘楼より長い年月を経た石畳に 隠れた形だが

 頂上部とそれを取り巻く青空が くっきりと浮かんでいる

 

 さすが ルネサンスの都ならではの

 自然が造り上げた 奇跡の絵画だった

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑮ フィレンツェ大聖堂の夜景を 独り占めした屋上テラス

2023-09-09 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 11年前の春 フィレンツェのドゥオモに最も近い場所に

 ネット予約で宿をとった

 大聖堂からわずか約200m 歩いて数分のロケーションだった

 勇んでホテルに到着 部屋に入ると相当に古くて狭い

 4畳分あるかどうかのスペースに ベッドが1つあるだけ

 トイレ兼シャワー室は シャワーヘッドが固定されていて

 湯を出すと 便器に直接落ちる角度で トイレがびしょびしょ

 

 ただ1つだけ 利点があった

 6階建て屋上のテラスが ドゥオモの正面にあり

 壮麗な大聖堂のクーポラ ジョットの鐘楼が

 何の障害もなく 目の前に展開されていた

 

 夜ライトアップの時間 屋上には大パノラマがあった

 106mのクーポラが 雄大に半円を描き

 84mの鐘楼が すっきりと天に伸びる 

 三色の大理石によって形成された 大建築が

 微妙に変化しながら輝きを増し それを晴れ渡った真っ青な夜空が包み込む

 何にも邪魔されず 余計な雑音も聞こえない

 中世から続く 芸術の都のシンボルを

 独り占めする幸せを たっぷり味わった夜だった

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑭ 「ザクロの聖母」に描かれた登場人物に惚れ惚れする

2023-09-05 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ウフィツィ美術館に展示されている 名画「ザクロの聖母」

 フィレンツェで人生の大半を過ごした ボッティチェリが残した

 何点もの聖母子像の中でも 個人的に一番好きな作品だ

 

 天から降り注ぐ光を浴びて 中央にたたずむ聖母マリア

 その表情は どこか愁いを帯びており

 抱く我が子キリストの 悲劇的な未来の運命を

 暗示しているかのようにも思える

 

 物語の背景も さることながら

 それよりも この絵画の前に立って

 瞬間的に最初に感じたのが 聖母子と天使たち

 登場人物みなの 「超」のつく美形ぶりだった

 

 聖母マリアの 隙のない美し顔立ち

 一点非の打ちどころのない 美人顔だ

 

 赤子のキリストの 目元パッチリぶり

 多くのキリスト像を 見る機会があったが

 これほどくっきりと 立派に整ったハンサムキリストは

 お目にかかったことがない

 

 同時に マリアを取り囲む天使たちも 

 すべてジャニーズ顔負けの 美形揃い

 

 宗教画の鑑賞法としては 全くの邪道だが

 これほどの美男美女が 一堂に会した宗教画も

 なかなかお目にかかれないと 改めて思う

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑬ ボッティチェリの教会には 壮麗な輝きの主祭壇があった

2023-09-02 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 フィレンツェ中心部から アルノ川に沿って600mほど下流に進むと

 右側にオンニサンティ教会が 現れる

 ふらりと中に入って圧倒されたのが 鮮やかな主祭壇だ

 

 暗い堂内の祭壇部分だけに 照明が当てられている

 そこにあるのは キリストが吊るされた十字架

 両側の天使に守られて 中央に輝き

 クーポラには 華やかな天井画が描かれている

 手前の大きな半円の仕切りが 暗いままなので

 仕切り越しに見える 鮮明に光を浴びた祭壇は

 巨大な絵画を見るような 錯覚に襲われる

 

 これまでいくつもの教会を 見てきたが

 この祭壇の美しさは 特別なきらめきを放っていた

 

 ここには歴史的にも重要な もう一つの「特別」がある

 フィレンツェルネサンスの重要人物

 天才画家ボッティチェリの墓が 実はここにあるのだ

 彼が生まれ育ったのは この教会のすぐ近く

 「ヴィーナスの誕生」を始め ルネッサンス美術の宝といえる

 数々の作品を生み出したのも ここフィレンツェでだった

 

 彼は自ら望んで この教会で死後を過ごすことを選択した

 主祭壇の右奥に進むと 特別な礼拝堂の床に

「アレッサンドロ・フィリペーピ」の文字が 刻まれている

 ボッティチェリの本名だ

 

 

 

 

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