中国は国土が広いだけでなく、民族もきわめて多様です。先史時代の南北アメリカや、中近東とも交渉して
きました。そうした多民族性を考えれば、中国がアジア的かどうか簡単には言えません。毛沢東の失敗は、
一つには彼があまりに漢民族的で、大きな視野で世界を考えることができなかったことにあります。まして
日本人には、なかなか理解できないところでした。
「竹内好:生誕100年/上 吉本隆明さんが語る」2010.10.19 毎日新聞
Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012
【アベノミクスとパナマ文書不況】
前政権が経済音痴で期待をしたもの、消費税増税と緊縮政策(TPPにみられる性急な構造改革)で早々と見切った。三
年連続のリセションと世界経済が百年前の格差水準に反動することも明らかになる(上/下図ダブルクリック)。わ
たしたちをとりまく社会(自然)環境の激変を配慮すれば、一定同情すべき点もあるが、現政権も「言葉」とは裏腹の
「利益誘導調整型」を超えるものでない。これに対する打開はあるのか?それはある。というのが、わたし(たち)の
答え。「ハイパーインフレーション」が来ると騒ぐ者もいるが、それは彼ら自身のことを言っているのだろう。さて、
「格差拡大と景気後退」の現況を確認した上「パナマ文書」の影響を今夜は考えてみる。
● 10日午前3時にパナマ文書に公開
各国の指導者らとタックスヘイブン(租税回避地)との関係を明らかにした「パナマ文書」に登場する20万余の法人と
その株主らの名前が10日午前3時(米国時間9日午後)、「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)のウェ
ブサイトで公表される。ICIJは公表について「公益目的」と説明している(朝日新聞 2016.05.10)。
文書はパナマの法律事務所 「モサック・フォンセカ」(MF社)が作成した1150万点の電子ファイル。20万余
の法人名と、その株主や役員となっている企業や個人の名前と住所地を公表する。株主などとして挙げられている延べ
37万余の人や企業の住所地のうち、最も多いのは香港の5万4千余、次いでスイスの4万2千余。日本は400余で
全体では65番目に位置する。ジェラード・ライル事務局長は一般の人たちが私たちの見落としにヒントをくれると期
待している。朝日新聞はICIJと提携して「パナマ文書」の取材をしている。
● タックスヘイブンの金融資産タックスヘイブンの金融資産
世界の首脳らと租税回避地(タックスヘイブン)の関わりを暴いた「パナマ文書」。富裕層の蓄附の闇を照らし、税負
担の不公正さに対する市民の怒りに各国で火をつける。だが明らかになったのは、租税回避のほんの一端にすぎない。
タックスヘイブンは富裕層や国際的な企業を利する一方、それらの利益は他の人の犠牲の上にあり、不平等を拡大させ
ている」。フランスの経済学者トマ・ピケティ氏ら世界の約350人の経済学者やエコノミストが9日、タックスヘイ
ブンをなくすよう求める書簡を発表。
● 経済学者ら批判
書簡には、ピケティ氏はタックスヘイブンが持つ秘匿性が汚職を促しているなどと批判し、ほか、ノーベル経済学賞を
昨年受賞したアンガス・ディートン米プリンストン太教授、米コロンビア大のジエフリー・サックス地球研究所長らが
名前を連ね、書簡では「タックスヘイブが世界経済をゆがめている」と強調。タックスヘイプンは、富裕層らの資産隠
しの舞台として利用されてきた。実体の無いペーパーカンパニーを簡単につくることができ、監視や規制が不十分なた
め、脱税や粉飾決算、資金洗浄に悪用されやすい。パナマ文書が明らかにしたのは、「氷山の一角」にすぎない。
「(タックスヘイブンに移される資金は)公の統計などに出てこない『ブラック経済』だ。その規模はあまりにも大き
い」(国際NGO「税公正ネットワーク」のジョン・クリステンセン事務局長談)。税公正ネットマークのスタッフの
試算では、世界の富裕層がタックスヘイブンに持つ未申告の金融資産2014年時点で24兆円ドル(約2570兆円
)~35兆ドル(約3750兆円)にのぽる。これは、一人あたりの年間平均所得300万円とした場合、約8億5千
6百万~12億5千万人分の所得に相当し4人家族とすれば34億人から50億人分の生活費かまかなえ経済の良循環
にすれば経済成長する。
さて、米国と日本の14年の国内総生産(GDP)の合計約22兆ドル上回る規模となる。その額は、21兆~32兆
ドルと試算した10年時点より増えているそうしたタックスヘイブンが政治家を含む富裕層らに広く使われている実態
を、パナマ文書は浮き彫りにする。クリステンセンは「政治家が自国の法律で定められた税金を払わずに、自国のルー
ルの外にあるタックスヘイブンに資金を移して税を逃れる。その一方で貧しい人たちに財政緊縮策を課す。これは民主
主義の問題だと指摘。
● 政府税収目誠り
タックスヘイブンも含め国ごとに異なる税制を巧みに利用する、企業の「節税」はより一般的だ。経済協力開発機構(
OECD)の推計では、企業による過度な節税策により、政府に入ってくるはずの税収が、毎年1千億~2400億ド
ル目減りしている。世界全体の法人税収の4~10%にあたるという。タックスヘイブンは、政治家や富裕層と、庶民
の格差を広げる原因になっているだけではない。国際NGO「グローバルウイットネス」 (本部・英国)のロバート・
パルマー氏は「タックスヘイブンに流れ込んでいるお金の一部は、海外援助を通じて途上国の教育やインフラなどに使
われるべきものだ。税逃れは富裕層を富ませるだけでなく、途上国の発展を阻害する」と指摘。
● 日本の経営者・上場企業も
「パナマ文書」に含まれていたタックスヘイブン法人の株主や役員のうち、400余の法人と個人が日本を住所として
いる。重複などを除くと、日本企業は少なくとも約20社、日本人と見られる個人は約230人を数える。政治家の名
前は見つかっていない。企業経営者では飲料大手の社長や大手警備会社の創業者らが英領バージン諸島の法人の株主と
なっていたが、取材に対し、いずれも租税回避の意図を否定している。海外との取引に法人を活用しようとした上場企
業もあった。法人を保有していた大手商社は「法人設立や清算が簡単。効率的な運営ができる」と説明する。また、暴
力団が関係する企業の役員とみられる人物が法人の株主となっている例もある。株主の中には、住所地が存在しないな
ど実体がよくわからないものもある。このなかには、楽天の三木谷や創価学会の名前も挙がっている。
● 手弁当の調査報道前首相追い詰めた:33万人アイスランド2万人が怒りのデモ
グンロイグソン前首相が退陣に追い込まれたアイスランド首都レイキャビックの議会前では、抗議活動が続く。政治の
透明性を求める「海賊党」の国会議員アスタ・ヘル一ガドッテルは「パマ文書により、裕層がアンフェアプレーをした
ことがはっきりしと訴える。08年のりーマン・ショツクを受けて国家破胞の瀬戸際に陥った国だ。13年から政権を
担った前首相は、債権回収を迫る外国の投資家らを 「ハゲタカ」と非難し、自らを「アイスランド金融再建の旗手」
と標榜。だがパナマ文書で、前首相夫妻が、破綻した国内大手3銀行の債権者に名を連ねる英領バージン諸島の会社の
所有者だったことが明るみになる。
夫妻は同社を通じて、敬信円の投資をしていた。前首相は潔白を主張したが辞任を余儀なくされる。追い詰めたのは、
同国のフリージャーナリスト、ヨハネス・クリスチャンソン。昨年6月からほぼ無収入でパナマ文書の分析に専念して
きた。 国内で調査報道記者として知られるクリスチャンソンの要請では、前首相が取材に応じないのは目に見えてい
る。スウェーデン公共放送の記者の協力を得てインタビューを取り付け、英領バージン諸島の会社について問うと、前
首相は答えに窮し、こもような取材は不適切と色をなし部屋を出て行いき取材は打ち切られる。
取材内容は、アイスランドの公共放送RUVでそのまま放映された。その様子が、国民に 「やましさ」を印象づけた。
放映の翌日、人口33万人の小国で2万人規模の抗議デモが起きた。「政治に期待していた高い倫理基準が保たれてい
なかったことへの怒りだ」今、クリスチャンソンさんの取材活動を支えるのは怒れる市民だ。インターネットで寄付を
募ったところ、パナマ文書の公開から約1ヵ月で目標の2・5倍の約10万ユーロ(約1200万円)が集まる。パナ
マ文書に絡んで名が挙がった為政者への怒りは、アイスランドにとどまらない。スペインのソリア産業相は辞任。キャ
メロン英首相も強い批判を浴びる一方、中国はパナマ文書関連の報道を厳しく規制。ネットでの検索も制限する。
● 米国内「タックスヘイブン」デラウェア州
前出の朝日新聞の記事によると、各国首脳らとタッ汐スヘイプン(租税回避地)の関係を暴き、衝撃を与えた「パナマ
文書だが、現時点で米国の政治家らの名前は出ていないが、米国でも一部の州では税金が優遇され、所有者の情報を出
さずに会社が作れる実態がある。文書を機に批判が高まり、米政府も対応に乗り出さざるを得ない状況にあるという。
それによると、米東部デラウェア州のウィルミントン。人口約7万人の街の目抜き通りを抜けると、「ノースオレンジ
通り1209番地」に行きつき、薄茶色の2階建ての建物が、企業設立の代行業者CTコーポレーションが所有する。
同州によると、この建物は約31万5千社の企業の登記上の住所になっているというから驚く。英ガーディアン紙によ
ると、アップルやウォルマートなど大企業のほか、米大統領選の有力候補のクリントン前国務長官や不動産王のトラン
プの関連会社もこの住所で登記されているというが、なぜ?
阿州に企業が殺到する理由の一つは、税制上の優遇――州の法人税(8・7%)はあるものの、州内で実際の事業をし
ていなければ法人税はかからない。著作権などの収益にかかる税金はゼロ。米国の主要企業500社の66%が阿州に
登記上の本社を置いている。州税を州ごとに決められ税がない。また、デラウェア州では裁判所や州政府のサービスの
充実に加え、実質的な所有者の情報などを出さずに簡単に企業が設立できる。会社設立の書類は最少で2町だけ。会社
名や住所を記入し、千ドルほど払えば1時間ほどで会社が作れる。
だが、「パナマ文書」の暴露をきっかけに、こうした「企業に優しい」州への批判が強まっている。国際NGO「税公
正ネットワーク」の昨年の金融秘匿ランキングでは米国はスイス、香港に次いで3位で、ケイマン諸島(5位)やルク
センブルク(6位)を上回った。日本は12位で、パナマ(13位)より高かった。米メディアは「米国は世界最大の
タックスヘイブンの一つ」(ワシントン・ポスト紙)と批判する。先進国でつくる経済協力開発機構(OECD)など
の後押しで、約100カ国が来年以降、自国民の銀行口座の情報などを自動的に交換する枠組みを始めるが、その土台
となる共通報告基準(CRS)に米国は参加していない。参加しない理由として米国は、外国金融機関に米国人の口座
情報を報告するよう求める「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)」を施行したことを挙げているが、FA
TCAは双方向の自動情報交換を認めていない。米国から一方的に情報を求められる状況に、新興国などの不満が燻っ
ているという。英仏など欧州5カ国は4月、企業の実質的な所有者の情報を交換し合う枠組みで合意。こうした動きに
押されるかのように米政府は今月、新たな対策を公表した。企業を設立する際、実質的な所有者の情報を連邦政府に提
出することを義務づける法案のほか、□座の情報を相互交換できるようにする法案の可決も議会に求めている。ただ、
企業の実質的所有者の開示をめぐっては、議会ですでに同様の法案が出されているが、野党・共和党の反対で可決の見
通しは立っていない。
米政府関係者は「法案に反対するロビイストは、(銃規制に反対する)NRA(全米ライフル協会)と同じぐらい強力
だ」。「パナマ文書」を暴いた国際調査報道ジャーナリスト連合(ICTJ)によるとヽ文書に関連し、米連邦ご尨検が
刑事事件を視野に捜査を始めた。日本時間10日午前3時(米国時間9日午後)に、文書にある20万余の法人とその
株主らの名前をICIJが予定通り公表すれば、米国からも関係先が出てくる可能性がある。国際NGOオックスファ
ムによると、多国籍企業の税逃れで毎年1110億ドル(約12兆円)が米政府の損失になっているという。米メディ
アでは、クリントンに近い人物の会社もパナーマ文書に含まれていたとの報道もあり、大統領選でも議論になるという。
しかし、場所を提供する自治体あるいは国家にどれほどのメリットがあるのか?それに関する資料はあるのだろうか?
ブログでも掲載した『里山資本主義異論』(藻谷浩介 著『里山資本主義』)では、仮想でなく、リアルなキャッシュフ
ローの改善を目標とすべきと書き、その事例案として「逆累進制法人税制――抜け道防止策補強」「消費税の完全移譲
制――自治体連合による交付税制運営」を提案し、住民の経済的自立、そして住民による経営参加による「自立・自尊
精神涵養」を旨とするものである。従って、「租税回避行動」という反共同体的行動とは相反するものであり、それは
また、非<民族・人種・国家主義>的側面を特徴とする税制でもある。
● パナマ文書流出元のモサック創設者とは
タックスヘイプン(租税回避地)と各国の指導者らの関係を暴いた「パナマ文書」の流出元となった中米パナマの法律
事務所「モサック・フオンセカ」の共同創立者の一人で、ドイツ出身の弁護士ユルゲン・モサックは、1960年代初
めに父親に連れられてパナマに移り住む。パナマで法律を学んだユルゲンは、73年に弁護士の資格を取得し、パナマ
とロンドンで活動。政界に太い人脈を持つパナマ人弁護士のラモン・フォンセカと知り合い、互いの法律事務所を統合
し1986年にモサック・フォンセカを設立。その後、事務所は世界に支店40以上、500人以上の従業員を抱える
までに成長。フォンセカは「我々はモンスター(怪物)を作り出しパナマ文書流出元創立者モサックた」と、後に記者
の取材に誇っていたという。朝日新聞も参加する国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ)の調査によると、ユ
ルゲンの父エアハルト・モサック氏は第2次大戦中にナチス武装親衛隊に所属。パナマに移住した後、米中央情報局(
crA)に情報事したが、エアハルト氏とCIAの関係がユルゲン氏に及んでいたかは不明だ。 一方で、パナマ文書
を入手した南ドイツ新聞は、CIAを含む複数の国の情報機関の関係者が、スパイ活動の「隠れみの」として経営実態
のないペーパー会社をつくる際に、モサック・フォンセカを提供者になることを持ちか 利用していたと報じている。
すっかり時間をとられてしまい。考えていたことが書けずじまいになる。これは明日までの残件とする。