極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

おふしたてられ君にとつぎぬ

2018年04月22日 | 時事書評

      
                                     

11 九  地
敵味方のおかれている状況を九つの場合に分類し、それぞれに応ずる法(九地の法)をあげ
とくに捨て身によって全力を発揮する”奥の手”を論じている。

戦場に応じた戦い方
戦争には、戦場となる土地の性質に応じた戦い方がある。それは、九つの場合に分けて考え
られよう。

「散地」――自国内で戦う場合。自国内では戦いをさけるべきである。

「軽地」――他国に攻めいり、深く進入しない段階。ここに止まってはならない。すみやか
に進攻すべきである。
「争地」――敵味方双方いずれにとっても、獲得すれば有利となる土地。もし、敵にとられ
たら攻めるべきではない。
「交地」――攻敵味方ともたやすく連することができる所。部隊問の連絡に注意すること。

「衢衝地(くち)」――数カ国の勢力が侵透しあい、最初にここをおさえたものが、諸国の
衆望を集めうる場合、実際の戦闘よりも、外交交渉に重きをおくべきである。
「重地」――他国に深く攻めこみ、敵の拠点たる諸都市にかこまれて戦う場合。食糧その他
の徴発を強化し、現地調達を心がけることである。
「圮地(ひち)」――山林、高山、湿地帯など、行軍が困難な土地。遠やかに通過すべきで
ある。
「囲地(いち)」――入る道はせまく、引きあげるには遠く回り道しなければならない不便
な土地。敵はわず連戦速決が不可欠である場合。戦う以外に活路はない。

状況への対応 先に地形篇で6つの地形を分類しているが、ここでさらに、主として敵と味
方との閉係における地の利の問題を論じ、状況に応じて戦うために9つの形態を示している。
地形篇の6つの種類が、文字どおり地形に即した静的なもの、正常なものとすれば、ここで
いう九地は、敵味方の位置に関連し、動的なもの、機能的なものとして把捉されている。冒
頭にあげた九地の法は、さらにこの篇の後半(この訳文では第四節)で補足を加えられ、こ
れと椙悦って説明される。九地のうち、最初の「散地」と、「軽地」以下の八地とは古来、
区別しているのが普通だ。つまり「散地」だけが自国内で戦うものであり、「軽地」以下の
八地は敵国に攻め入る場合なのである。

「散仙」についての孫子の説明は「自らその地に戦うものを散地治という」「敬治には戦う
なかれ」という簡単な記述だけなので、この「戦うなかれ」の意味をめぐって、古来、いろ
いろな解釈がある。「自国内では戦うな。国外で戦え」という解釈がある一方、「自国内で
は正面きって戦わず、奔命に疲れさせよ」というとり方もある。

【下の句トレッキング:おふしたてられ君にとつぎぬ】

髪香(かみかう)たき錦に爪をつつませておふしたてられ君にとつぎぬ   

与謝野晶子/『舞姫』


※「おふしたつ」(「生し立つ」)は養い育てる意。「爪」は琴爪である。娘には音楽の素
養を身につけさせるのが晶子の理想だった。『みだれ髪』でも琴、小琴、十三絃はたびたび
小道具となっている。また少し趣が異なるが『みだれ髪』には宿の女主人が娘を大事に育て
娘と旅人との恋の後ろ盾となる挿話もみられる。夢想のうちに創りあげた古風にして典型的
な女性像を追う思考回路を、晶子は作品において維持しつづけたといえるだろう。
(今野寿美「母性という基」/「歌壇」31頁、2018年5月号より)

 生誕140年与謝野晶子展こよひ逢ふ人みなうつくしき

歌人。大阪生。名はしょう。「明星」の主宰者与謝野鉄幹と結婚。『みだれ髪』を刊行。積
極的な人間性賛美の声を艶麗大胆に歌い、「明星」の浪漫主義短歌の指標となる。また古典
に造詣深く源氏物語研究には独自の見解を示す。昭和17年(1942)歿、65才。2018年は、歌人・
与謝野晶子(1878~1942)の生誕140年にあたる。20世紀の幕開けの年、22歳の晶子が高ら
かに恋愛を謳いあげた第一歌集『みだれ髪』は、近代日本の文学界に大きな衝撃を与え、新
しい詩歌の時代を切り拓きました。文学史上に燦然と耀くその魅力は、今なお褪せることは
あせない。 



【ときどき、最技術/商品のてんこ盛りシリーズ】
 凍結解凍覚醒法という名の世代促進技術

ひとは古来より品種改良法により有利な性質を有する植物を作出しているが、従来の品種改
良法は一定特性を固定するために長い年月を要した。世代促進技術の登場で、固定に要する
時間の短縮を実現。が、世代促進技術によっても固定には数年を要するという問題がある。
そこで、固定の作業を必要としない葯培養などのバイオテクノロジーが開発されまた、有
利な特性を有する植物を作出法として、遺伝子組み換え技術が知られている。遺伝子組み換
え技術により、除草剤耐性作物、害虫抵抗性作物、耐病性作物、保存性を増大した作物が作
出されている。一方、ある特定の処理を施すことで突然変異を誘発し、植物の特性を増強す
る方法
が提案――例えば、ガンマ線照射と染色体倍加処理を行なう工程を含む耐寒性を付
与する品種改良方法、遺伝子配列に変更を加えることなく、植物の特性を制御する方法、例え
ば、植物の栄養成長期に栽培環境中に起因する①塩類ストレス、②寡照ストレス、③強光ス
トレス、④乾燥ストレス、⑤過湿ストレス、⑥高温ストレス、⑦低温ストレス、⑧栄養スト
レス、⑨重金属ストレス、⑩病害ストレス、⑪酸素欠乏ストレス、⑫オゾンストレス、⑬C
ストレス、⑭強風ストレスなどのストレス処理をかけることで、植物の次世代における
開花時期を制御する方法が提案されている。



ところで、日本のほとんどの地域は温帯に属し、北海道や東北地方は亜寒帯(冷帯)に属す
る。そのため、亜熱帯~熱帯地域で栽培されているような日本の気候での栽培に適していな
い作物については、輸入に頼っている。亜熱帯~熱帯地域で栽培されているような作物につ
いては、温帯~寒帯での栽培に適していない場合がほとんどであり、温帯~寒帯地域におい
てはこのような作物を輸入する必要あるが、輸入作物は、大規模栽培のために農薬が大量に
使用されていたり、輸入のために燻蒸処理のような化学的な処理がなされていたりする場合
があり、人体に有害なものが多い。また、このような処理がなされていないものについては
高価であり、手軽に入手できないことが多い。亜熱帯~熱帯地域で栽培されている作物を気
温の低い温帯~寒帯で栽培可能にする技術開発が望まれていた。



一方、植物種によっては播種から収穫まで数年を要するものが多くこのような植物種の栽培
に関しては投資回収に課題が生じることがある。このような問題から、植物の成長速度を促
進する技術が望まれている。植物の成長速度や耐寒性を増強する技術として品種改良手法を
採用するには、達成までに長期間を要するという問題がある。また、葯培養技術は植物種間
における培養に難易があることが問題である。そして、遺伝子組み換え技術については遺伝
子プールの汚染問題があり、また、突然変異の誘導法には目的達成の不確実性が高いという
問題、また、遺伝子配列に変更を加えることなく、植物の成長速度と環境順応特性を増強す
る技術は知られてなかったが下記の特許技術が2018年3月9日により登録されるている。尚、
この技術は非遺伝子改変法で「凍結解凍覚醒法」と呼称されており、すでに苗が市販されて
いる(連続栽培は技術的に不可で苗元で購入)。

❏ 特許第6300215号 植物の特性を増強する方法
株式会社グリーンプラネット・バイオテック


【要約】

植物組織を凍結する凍結工程と、凍結された植物組織を解凍する解凍工程と、解凍された植
物組織から植物を発生させる発生工程により植物を処理することで、遺伝子組み換え技術によ
ることなく、植物の特性を増強する新たな技術を提供する。

【特許請求範囲】

  1. 植物の成長特性及び/又は耐寒性の増強方法であって、
    植物組織を凍結する凍結工程と、凍結された植物組織を解凍する解凍工程と、解凍さ
    れた植物組織から植物を発生させる発生工程と、を含み、前記凍結工程における凍結
    時最低温度が-55℃以下であり、
    前記凍結工程において、0.6℃/日以下の速度
    で温度降下させながら前記植物組織を凍結し、前記凍結工程の期間が160日以上で
    あり、
    前記植物が、パパイヤ、パイナップル、バナナ、コーヒー、羅漢果、グアバ、
    スターフルーツ、いちじく、カカオ、セイロンシナモン、パッションフルーツ、ライ
    チ、マンゴスチン、ブラックサポテ、ホワイトサポテ、棘葉シュガーアップル、デー
    ツ椰子、レッドドラゴンフルーツ、アーモンドから選ばれる植物であることを特徴と
    する
    方法。
  2. 前記凍結工程において、糖類水溶液中に浸漬した状態で前記植物組織を凍結すること
    を特徴とする、請求項1に記載の特性増強方法。
  3. 前記糖類がトレハロースであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の特性増強
    方法。
  4. 請求項1~の何れか一項に記載の方法を適用することにより、植物の成長特性及び
    /又
    は耐寒性が増強された植物を生産する方法。
  5. 請求項に記載の生産方法により生産された植物より得られる、接ぎ木のための穂木
    として用いられる植物組織。
  6. 請求項に記載の植物組織が穂木として接ぎ木された植物。
  7. 請求項4に記載の生産方法により生産された植物又は請求項6に記載の植物を栽培す
    る工程を含む、
    該植物とは独立した植物個体を発生可能な植物組織(種子を除く)
    生産する方法
  8. 植物の特性の増強遺伝子の探索方法であって、
    請求項1~の何れか一項に記載の方法によって植物を処理する工程と、
    前記処理を受けていない植物と比較して、前記処理を受けた植物において高い発現量
    を示すRNAを同定する工程と、を含むことを特徴とする、探索方法。
  9. 請求項1~の何れか一項に記載の方法による処理を受けていない植物と比較して、
    該処理を受けた植物において高い発現量を示すRNAを指標として、
    被験物質を適用した植物における前記RNAの発現量が、前記被験物質を適用してい
    ない植物における前記RNAの発現量に比して高いときに、該被験物質を植物の特性
    の増強因子としてスクリーニングすることを特徴とする、植物の特性の増強因子のス
    クリーニング方法。

   

 

学生や研究チームなどの団体が、絵筆を取り付けたロボットに絵画を描かせて競う「Robotic
Art Competition
」。3回目となる今年は個人を含む19のチームが、オリジナル作品部門と参考
画像に基づいた作品部門の2つのカテゴリーに計百作品がエントリー。下の絵は、1880年の
セザンヌの作品を参考に制作されたもの。作者は、12年以上も前からロボットアーティスト
を作り続けていている(彼を取り上げた動画では画風変換のアルゴリズムや、ロボットとク
リエイティビティについて説明している)。



米エネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所(Berkeley Lab)が新たに発見したのは
液体のなかに液体を流しこむ3次元プリント技術。Berkeley Labによると、液体は多様な形
に固定したり、髪よりも細くしたり、また数メートルの長さにすることも可能だというが?!
研究者らは、すでこれまでにあった普通の3Dプリンターに、注射器のような細い針から水
を噴出するシリンジポンプを装備。多くの3Dプリンターが2次元運動によってレイヤーを
構築するところを、3次元パターンをつくるように改良。そこで、小さな金ナノ粒子を、シ
リコンオイルにはポリマーリガンド(金属に結合する分子)を混ぜ合わせました。これによ
り水混合液がシリコンオイル中に注入されると、金ナノ粒子はポリマーリガンドと相互作用
し柔軟で伸縮自在な液体を創り出すことに成功。今回の技術で、新たに化学物質を構築する
ナノスケールの粒子から「3Dプリント液状デバイス」のように変形したり破損したりするこ
とのない、フレキシブルで伸縮性のある電子機器を開発するのに役立てようと考えている。
 
米キヤノンで発売されている小型フォトプリンタ「IVY」。大きさはW8.1×H11.9×D1.8cm、重
さ160gの手のひらサイズ。
本体にはバッテリーとBluetoothが内蔵されており、スマートフォ
ンの専用アプリ「Canon Mini Print」からワイヤレスで印刷することが可能。残念ながら日本で
の販売は未定。

 

三菱電機は、単位体積当たりの出力密度を従来比で4倍に高めた、ブロアー(送風部)付きブ
ラシレスDCモーター(BLDC)「JCモーター」を開発した(上写真参照)。回転速度は、毎分
12万5000回転(12万5000rpm)と高い。コードレス掃除機や空調機、送風機といった、ブロ
アー付きモーターやファンモーターを搭載した家庭用・住宅用機器に向ける。今年度に発売
する新製品から、今後2~3年かけて順次、自社製品に搭載していく。機器の詳細を明かさな
いものの、まずはコードレス掃除機に採用するとみられる(ダイソンに挑戦状、三菱が出力
密度4倍の超高速回転モーター | 日経 xTECH(クロステック)Apr. 20,2018)。
 

    
高橋洋一 著 『戦後経済史は嘘ばかり』   



終 章 TPPも雇用法も、世間でいわれていることはウソだらけ」
第2節 TPPで海外から安いものが入ってきてもトータルでは利益になる

自由貿易の基本を押さえていただいたうえで、TPPについて見ていきます,次の図8は、
前の関税のある場合の図7と基本的には同じものです。重要なので、前の図の理解を助ける
意味で、あえて繰り返して説明します。

ある農産品について国内供給だけの単純なケースを考えてみます。その場合、価格はPI、
取引数量はOTとなります。このとき、PIより高い価格でも買おうとする消費者もいます
が、PIで買えますので、そうした人には「お得」になります。それらは、三角形A・PI
・EIで表されます。「消費者余剰」です。
一方、生産者にしてもPIより低い価格で出荷してもいいという業者もいます。PIで出荷
できますので、そうした人にとっては「利益」になります。それらは、三角形PI・B・E
Iで表されます。「生産者余剰」です。消費者余剰と生産者余剰の合計は、この農産品取引
のメリットであり、三角形A・B・EIで表されます。次に、貿易制限を撤廃し、貿易自由
化を行った場合を考えてみます。そうすると海外からの安い農産物の輸入が増えて、価格は
P2まで下がり、取引数量はQ2まで増えます。

価格低下のメリットによって、消費者余剰は、三角形A・P2・E2へと増えます。貿易自
由化前との差は、台形PI・P2・E2・EIです。 生産者余剰はやや複雑です。国内生
産者と海外生産者の合計では、三角形P2・C・E2となります。このうち国内生産者余剰
は、三角形P2・B・Dです。貿易自由化前と比べて台形PI・P2・D・EIだけ海外農
産物の輸入に押されて縮小します。国内生産者の生産者余剰の縮小は、その生産者の所得減
少になり、GDPを押し下げます。なお、海外生産者の生産者余剰は、三角形P2・C・E
2から三角形P2・B・Dを除いた、四角形D・B・C・E2となります。

貿易自由化によって、利益を受けるのは国内消費者と海外生産者であり、一方、打撃を受け
るのは国内生産者です,現実的には、国内消費者はメリットをあまり実感できない一方で国
内生産者はデメリットを大きく実感しますので、政治問題が起こります。しかし、国内消費
者の利益額の台形PI・P2・E2・EIは国内生産者の損失額の台形PI・P2・D・E
Iより必ず大きくなります。ということは、国内生産者の損失は、国内消費者の利益額の一
部で必ず穴埋めができることを意味しています。仮に全部を穴埋めしても、国内消費者は貿易
自由化の前より状況は良くなります。要するに、TPPでGDPは増加するということです,

以上は国内に限った話ですが、貿易自由化は相互主義ですから、海外生産者が国内で受けた
利益額の四角形D・B・C・E2に対応する利益額を日本の輸出業者も受けられる可能性が
あります。食の安全や環境面の考慮をすると、供給曲線などに多少の修正は必要になります
が、それでも上記の結論はそれほど大きくは変わりません。さらに、前述した「デッドウェ
イトロス」の要素を加味すれば、貿易自由化を進めて関税を引き下けたほうがトータルでの
利益は大きくなるのです。国内消費者、国内生産者、それに海外生産者のすべてのメリット
を合算すれば、日本にとってメリットになり、そのメリットを国内で再分配することによっ
て、誰も損しない状況をつくることができます。

第3節 「毒素条項」は、TPP以前の貿易協定でもだいたい入っていた

TPPの反対論者の中には、日本にばかり不利なルールを押しつけられるので加盟すべきで
はない、という人もいます。これは、マクロ経済の話ではなく、国際間のルールの話です。
おそらく、ISD条項のような毒素条項を懸念しているのだろうと思います,

ISD条項は、投資家が不利益を受けた場合に、相手国に損害賠償を求める訴えを起こすこ
とができるという条項です。TPP交渉で初めてISD条項なる恐ろしい毒素条項が組み入
れられたかのように報じられていますが、マスコミの人はおそらく過去の貿易・投資協定の
ことを知らないのだろうと思います

毒素条項はこれまでの貿易・投資協定にも何度も入っていました。日本でも20件以上、毒素
条項が入った貿易・投資協定か結ばれています。それらの毒素条項をこれまで日本が行使さ
れたことは一度もありません。毒素条項で訴えられているのは国内のルール整備が未熟な新
興国です。日本はこれまでもずっと毒素条項を結んできましたが、ガードが堅いほうの国な
ので、訴えられたことはありません。外務省も含めて日本政府の役人はけっこう厳密にやる
からです。

この毒素条項は、これでオーストラリアがアメリカからやられたと評判になったものです。
しかし、実状は次の通りです。アメリカとオーストラリアの問の協定では毒素条項はありま
せんでした、そこで、アメリカのフィリップモリスは、香港の子会社を使って、オーストラ
リアを訴えたのです。もし、このように日本もやられるなら、とっくにやられているはずで
す。しかし、日本の法律は外国企業に対して酷い差別的な扱いをしていないので、さすがの
アメリカも手出しができないのです。

どんな貿易協定にも必ずリスクはあります。TPPの運用でミスをすれば訴えられるかもし
れません,しかし、これまで一度も訴えられていないのに、TPPでは訴えられるかもしれ
ないと考えるのはあまりにも一方的な見方です。「今まではミスはなかったけど、次はミス
をする」といっているようなものです。これまでミスをしなかったのですから、次もおそら
くミスはしないはずだ、と見るのが自然だろうと思います,もちろん懸念はありますが、訴
えられた場合を想定して国内法制を整備し、気をつけて運用すればいいのです。

TPPには未知のものがたくさん含まれているように思われていますが、まったくの誤解で
す。目新しい話は入っていません。品目が変わるだけで、これまでの貿易協定で日本が経験
してきたことばかりです。その経験を生かせば十分に対応できます。

そもそも、貿易取引において一番大きなウエートを占めるのは、関税でも毒素条項でもなく
、為替です。Iドル=360円のように圧倒的に有利な為替レートのときには、アメリカが
高い関税をかけてもほとんど痛手にはなりませんでした。TPPのことを過度に心配するよ
りも、日本に不利な為替レートにならない政策を政府に求めることのほうがはるかに大事で
す。

 ブログ「原理と現場」 2013年08月29日

第4節 「終身雇用は日本型の雇用制度」は大きなウソ

次に、「雇用問題」について考えてみたいと思います,
最近は雇用問題がよく話題になり、雇用法制の審議も行われています。しかし、現在の日本
では
雇用に問しても間違った認識が少なくおりません。たとえば、終身雇用を「日本型雇用
制度」や「日本
的経営」と見るのは間違いです。戦前の状況から振り返ってみるとよくわか
ります,
戦前の日本には終身雇用などというものはありませんでした。労働者は月給取りどこ
ろか、大半の人は日給で働いていました。戦前は「揉の資本主義」に近い世界でしたから、
終身雇用といった概念はほぼ存在しない世界でした。

終身雇用の慣行ができたのは、戦後の高度成長期のころです。「1ドル=360円」という
、とびきり有利な為替レートの恩恵もあって、日本企業は非常に大きな利益を出
すことがで
きました。人手不足状態で、人をどんどん採用しなければならない状態でし
た。地方から都
会への集団就職もさかんで、若手労働者は「金の卵」と呼ばれていまし
た,企業は成長を続
けるには人材の囲い込みをしなければなりません。そのために生ま
れたのが、終身雇用です。
 労働者の側も「囲い込まれたほうがいい」と思っていたので、それに応じました。終身雇
用は、当時の経済環境によって自然発生的にできたものです。

決して「日本の長い歴史の中で培われたもの」などではないのです。その後、経済環境は大
きく変わりました。前提条件が変わったのですから、終身雇用
が成り立ちにくくなったのは
自然なことです。企業の側からすれば、これまでのように
人材を囲い込める状況ではなくな
ります。たとえ労働者側が「囲い込まれたい」と思っ
ていても、企業側が「もう無理です」
といっているのが最近の状況でしょう。

もっと端的にいえば、終身雇用は為替レートに進勤しているといっても過言ではあり
ません。
1960年代は「1ドル=360円」という有利な為替レートであったため、
終身雇用が成
り立ちました。しかし、1971年からは円高が進み、日本の輸出企業の
為替の恩恵は減っ
ていきました。プラザ合意後の1985年からは為替レートの恩恵は
まったくなくなってい
ます。そのころから、徐々に終身雇用を維持するのが難しい状況
が生まれてきました。19
90年代には大規模なリストラ(人員削減)も行われるよう
になっています,民主党政権時
代(2009年9月~2011年12月)には、実力以上の円高が放置
され、「マイナスの
ゲタ」を履かされたような状態になり、終身雇用を維持できるよう
な為替環境ではありませ
んでした。政府が円高を放置することは、終身雇用ばかりでな
く、雇用そのものに対して大
きな悪影響を与えるのです。
労働組合を有力な支持母体とする民主党の政権でそのような状況
が生じたことは、皮肉といえば皮肉です。

                                                                                                  この項つづく 



【牡丹満開の弘誓山宗安寺】

起  源

彦根市本町の堂々たる赤い門を構えた一寺院。浄土宗百万遍知恵寺を本山とするこの寺は、
弘誓山宗安寺と称す。
建立当初の歴史は、天和4年(1884)、宗安寺五世縦誉が書き記
した「宗安寺
由来」――宗安寺の由来は、天正19年(1590)頃、井伊直政の正室であ
る東梅院の祈願
により、東梅院の父母の菩提のために建立されたことに始まる(ただ、足利
尊氏が夢窓疎石の勧めにより、平和の祈願と南北朝の戦死者の追善のために全国に建立した
安国寺の寺基を継ぐとも)。東梅院は、松平周防守康親の娘。
徳川家康の養女として直政と
婚姻するという経歴をもつ。寺の建立地は上野国
箕輪(現群馬県箕郷町)、寺号を安国寺と
称していた。直政が箕輪城12万石を与
えられた年のことである。今でも、箕郷町には「安
国寺通」という地名がのこって
いる。慶長3年(1598)、直政が高崎城主となるや安国
寺も移転、関ケ原合戦後の慶
長6年(1601)、直政は近江佐和山に転封となるが、それ
に伴って同寺も佐和山
の麓の古沢の地に移転した。さらに、彦根城築城が開始された慶長8
年(1603)
以降には現在の地に寺地を移すなど、井伊家と行動をともにしてきた寺院。
安国寺から宗安寺へ寺号をかえるたのは、今の地に落ち着いてからのこと。寺号改変の理
由は、関ケ原合戦の敵方の将・安国寺恵瓊と同名であることをきらっ
たためとされる。新た
な寺号は、束梅院の父母の戒名の夏(憂)楽院無月宗九居士の
「宗」と詣蓮院心誉理安春公
大姉の「安」を採って命名。
宗安寺は、庶政につき従って佐和山に来たときの住持成誉典応
を第一
世とする。成誉は、上野国の長野氏の出と伝えられる。長野氏の一部は武田氏に滅ぼ
されたが、武田氏滅亡後は長野菜実(真)が井伊直致に仕え、以後代々家老職ととして井伊
家に仕えることとなった――と伝えられている。



うす色の牡丹の花のちるけはひ 身に覚えつつ文かくわれは  与謝野晶子/『さくら草』

土日の両日は、大阪で親戚らと再開や法事で、帰ってきて墓参りとあわただしく時間が過ぎ
てしまっ
た。そして、すっきりした反面、新たなもやもやも生じ、疲れ腰痛の再発とダーク
サイドも膨らむ。250兆分の1で頂いたこの身体、どうせなら燃えつきるまで行動するし
かないと開き直った。

                                      

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