極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 145

2025年02月16日 | 経済政策論「双頭の狗鷲」⓶

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

季語と短歌:2月16       

         春の雪ただ者でなや立往生

                  高山 宇 (赤鬼) 
 
ながらく、短歌を詠めなかった。俳句は、季語をたより簡潔に些細な日常
表現可能だが、膨大な「日記」を叩くことに疲労困憊のなかでそれはでき
ない(余裕がない)。


      特集「ふたたび能登、北陸の歌人だちと作る短歌研究」より

 能登を肋けて               永井正子
                            
 ことも有ろうに昨年の一月一日の地震に襲われた奥能登が、九月に再び
線状降水帯による豪雨に見舞われた。河川が氾濫し、流木が濁流と共に家
を押し流し、震災で地割れしていた山や道路、学校の運動場などから大量
の土砂が流失、奥能登を泥土の海と化した。水道の全面復旧を喜んだのも
束の間で、増えたブルーシートの家々は声もなく工事の長い順番待ち。仮
設住宅も浸水し、夜具や冷蔵庫なとのぎりぎりの生活用品が又も奪われて
しまい、多くの命が失われた。二重被災に心が折れてしまった人たちが、
再びの避難所生活を余儀なくされている。
 先般、奥能登の人口に位置する穴水駅まで行く機会があり国道249号
線を通った。山間部では、道路の凹凸と路肩の木立の流失で、舗装飾の下
まで挟られた箇所が続出、応急措置の鉄板道路では舌を噛みそうな振動に
堪えた。眼下は海の波が打ち寄せる千尋の谷。滑り落ちた樹木の上に、赤
土が生々しく崩れ落ちていた。衆院選前に多くの大臣が能登入りしている
が、羽田と能登空港往復ではこの道は知らない。半壊の国道を往復せざる
を得ない工事関係者やボランティア。人や機材の大量輸送が叶わないばか
りではなく、常に命の危険が伴う。あらゆる悪条件を克服し、一本しかな
い国道249号線をまず復旧してほしい。能登を多くの人に見に来てもら
い、窮状を全国に発信し、助けてほしいと心底思った。

 特集「ふたたび能登、北陸の歌人たちと作る短歌研究」

 「ちきない」            
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復興の兆し見えしと豪雨前応へくれしが電話にも出ず
うなだれて未だも死者と居る如し声かけがたく門扉を離る
「ちきない」と涙を噛める声のあと無音が続く受話器のなかに
尻擦りて畳の泥を援く老いが頑張ると言ふ言葉のむごし
山腹の地震の亀裂を砥めくだり泥土が覆ふ人の心も
挟られてなだるる舗波路屋下の入り江びつしり倒木が浮く
鉄板に補強の道のいくところ車輪が悲鳴のごとき音立つ
上様と呼び下様と親しみき平家ゆかりの屋敷も平む
海底の隆起に海胆も海藻も枯れしと海女の絶望のこゑ
地震あとに復旧したる水道管ふたたび埋まり水を吹き上ぐ
液状化に傾ぐ街並み中空に挑ふ電線かげの不気味に
軒並みにブルーシートの覆ふ街静まりかへり人語を聞かず
復旧の人影あらぬ午後の陽に穴水駅前静寂の不気味
千枚の棚田に水引く取り口の埋まりて白米千枚田死す
新米を積みたる納屋ごと流されて実感なきと男がわらふ
退き残る泥土を掻き出すユニホーム野球部員のみな天使めく
乾きたる泥が舞ひ立つ視野の中マスクの友が手を振りて立つ
取り壊し家無き子よと手を振りて仮設に帰りゆくを見送る
みぎひだり徐行に段差の続く道舌など噛まぬやうに身構ふ
ボランティアに手を合はせつつ涙する吾かもしれぬテレビの老いは
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ながい・まさこ-1941年、金沢市生まれ。高校生にて「国民文学」入
会、松村英一のち千代國一に師事。
現在「国民文学」「北国新聞」選者。
歌集『風の渚』など7冊。一昨年、石川県の「国民文化祭短歌大会」を運
営。               (「短歌研究」2025 1+2より)


  

財務省亡国論
財務省亡国論 あさ出版
【内容財務省は「スキあらば増税したい!」人たちの集まりで、本心から
は財政再建のことなど考えていない――!?
自分たちの歳出権(※お金を使う権利)という権益を広げるために暗躍し、
増税を説く。
●政財界を巻き込んで日本国民 総・洗脳計画進行中
増税 = 「財務省のおかげで」予算が膨らむことで各省庁に予算増(配分)の
恩をきせ、見返りとして天下りを認めさせる。
国民の血税を使って、巧妙に世論を誘導・洗脳する財務省。
その片棒を担ぐ人。
そして、真実を何もわかっていないのに、「いかにもわかっている」よう
に語る人。それを見て、さらにほくそ笑む財務省……。元財務官僚の髙
橋洋一氏がその洗脳をスパッと解く。
■著者 高橋洋一
1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経
て、東京 大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。
1980年に大蔵省(現・財務省)入省。
大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客 員研究員、内閣府参事官
(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官 (総理補佐官補)
等を歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍し、「霞が
関埋蔵金」の公表や「ふる さと納税」「ねんきん定期便」など数々の政策
提案・実現をしてきた。2008年退官。その後、菅政権では内閣官房参与も
つとめ、現在、嘉悦大学経営経済学部教授、株式会社政策工房代表取締役
会長。

目次
●1章  大義名分にゴマかされるな!財務省のエゴとは?
・なぜ財務省はスキあらば増税したいのか
・「消費税=財務再建」に正当な根拠はない
・「借金」も「資産」も世界一! 日本に「財政問題」はないほか
●2章  財務省の口車に乗らないために知っておきたい経済の基礎知識
・ダマされないためには「全体を見渡す視点」が必要
・なぜ国は経済成長を目指すべきなのか――「オークンの法則」
・「実質賃金はとうぶん上がらない」――その理由とは?ほか
●3章  日本をわざと経済成長させない財務省
・二つの呪縛が日本の経済成長を止めている
・「タラレバ日本」の経済成長は悪くない
・「公共投資はムダ遣い」という財務省の洗脳 ほか
●4章  親玉「財務省」子分「日銀」─その本当の関係とは?
・物価は「モノとお金のバランス」で決まる――貨幣数量理論
・日銀が行う経済対策「金融政策」
・政府が自ら行う経済対策「財政政策」
●5章 「金利」からも見えてくる! 財務省の大好きな増税は「意味不明」
 で「愚かな策」
・「金利」と「お金の量」は表裏一体
・知らなくては話にならない「実質金利」
・マイナス金利って、どういうこと?ほか
●6章  何が何でも増税したい!「財務省のウソ」
・今日も経済成長に逆行する財務省
・遅すぎた定額減税。財務省が次に狙うものとは
・コロナウイルス感染症対策で復興増税を阻めた理由 ほか
●7章 「円安で儲かる」は世界の常識。 でも財務省は動かない
・金融緩和=円安にhる向ける政策
・「近隣窮乏化」を知れば怖くない ほか
●8章 「国債がまた増えた!」と騒ぐウラにある財務省の思惑とは
・何の知識もなく語っている人が多すぎる
・「借金をなくせ」で国債がなくなったら、大変なことになる ほか
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
章 財務省の口車に乗らないために知っておきたい経済の
基礎知識
 
「実質賃金はとうぶん上がらない」
-その理由とは?
 さて、ここで実質賃金について少々触れておきたい。
 賃金について、マスコミが報道で使ってるのは厚生労働省(以下/厚労
省)のデー
タである。厚労省が労働者を調査して、いろいろなところの賃
金(定期昇給だけでは
なく、ボーナスも含めたものすべて)を調査してい
る。

 これが、毎月動労統計だ。
 名目賃金の数字が出たら、機械的に名目賃金を消費者物価指数で割り戻
すと、実質
賃金が出てくる。これを「実質化」という。ただ、機械的に割
算するときにちょっと
テクニカルな留保があり、消費者物価指数には普通、
全部の総合(全休の総合といっ
ている)を使うが、厚労省が使っているデ
ータは「除く帰属家賃」というものが入っ
ている。

日本はちよつと、へんちくりん
 ただ、1970年ぐらいに世界的にそういう話になったにもかかわらず、
厚労省は国際比較の感覚がないためか、今現在に至るまで帰属家賃を除い
た数字でずっと計算し、統計を出してきた。はっきりいって間違いに近い
のだが、世界的な動きにとりのこされたまま、ずっとそのままでやってき
てしまったのだ。
 そうなると、実質賃金を計算するときに、帰属家賃を除いた消費者物価
で計算するため、帰属家賃を入れた普通の消費者物価指数と、帰属家賃を
除いた消費者物価指数で差が出てしまう。家賃はあまり上がらないからだ。

つまり、帰属家賃を除いた消費者物価で、実質賃金がプラスになるという
ことは、
名目賃金の上昇率が2・5%のときには、仮にインフレ率(17
3ページ)が2%だ
として、実質賃金は2・5%から2を引いたO・5%
となる。帰属家賃を除いた消費
者物価は2・5%ぐらいになるため、たと
え名目賃金の上昇率が2・5%でもほぼ0
になってしまうのだ。厚労省の
数字を使う限り、実質賃金がプラスになるのはかなり難しい。

厚労省はデータを変えないのかと、思うかもしれない。あるいは、変えら
れない理由でもあるのかと思っただろうか。
 本来は変えてもいいはずだが、今このタイミングで変えると、「もっと
前にやれよ」という話に、当然のことながらなってしまう。それがイヤで
変えないのかもしれない。
 本当にトロく、そのときにポケーッとしているから、こういうことにな
ってしまう。
 ただ、国際比較するためにも、今からでも変えた方がいい。他の国は帰
属家賃を含んだ消費者物価で、実質化しているからである。
🪄何度繰り返されているのか?!再度『政府会計学黒書』シリーズを掲載
していこう。🎈


P2025022617 メタタングステン酸塩化合物の製造方法、レジスト用
メタタングステン酸塩化合物、及び、レジスト材料
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【課題】本発明は、メタタングステン酸塩のカチオン部が、所定のカウン
ターカチオンで所定の数、置換された、メタタングステン酸塩化合物を選
択的に製造する方法を提供すること。また、新規なレジスト用メタタング
ステン酸塩化合物、及び、かかるレジスト用メタタングステン酸塩化合物
を含む、新規なレジスト材料を提供すること。

【解決手段】pH3未満の酸性溶液中でメタタングステン酸塩の塩交換反
応を行うことで、オニウムカチオン又はオニウムジカチオンを5つ含むメ
タタングステン酸塩化合物を選択的に製造する方法、かかる製造方法によ
り製造されたレジスト用メタタングステン酸塩化合物、及び、これを含む
レジスト材料。

【発明の効果】
本発明によれば、オニウムカチオン又はオニウムジカチオンを5つ含むメ
タタングステン酸塩化合物を選択的に製造することができる。また、上記
メタタングステン酸塩化合物は、感活性光線性及び/又は感放射線性が向
上しており、レジスト用メタタングステン酸塩化合物として好適に用いる
ことができる。さらに本発明の製造方法により選択的に製造されたメタタ
ングステン酸塩化合物は一定程度の均一性を有するため、これをレジスト
材料に含有させた場合に、パターン寸法(CD:Critical Di-
mension)変化の少ない新規なレジスト材料を提供できる。
                            この項了
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特2022-183446 過酸化水素分解用触媒電極およびその製造方法 
国立大学法人弘前大学
【特許請求の範囲】
【請求項1】電極基材の上にn型有機半導体層が設けられ、前記n型有機
半導体層上に酸化(III)を含む助触媒が担持されていることを特徴とす
る過酸化水素分解用触媒電極。
【請求項2】電極基材の上にn型有機半導体層が設けられ、前記n型有機
半導体層上に酸化(III)前駆体が担持されていることを特徴とする過酸化
水素分解用触媒電極。
【請求項3】電極基材の上にn型有機半導体層を設ける第1工程と、前記
n型有機半導体層上に酸化(III)を担持する第2工程と、を含むことを
特徴とする過酸化水素分解用触媒電極の製造方法。
【請求項4】前記第2工程は、前記n型有機半導体層上に酸化(III)前
駆体を担持する工程と、前記酸化(III)前駆体から酸化(III)を生成す
る工程と、を有していることを特徴とする請求項3に記載の過酸化水素
解用触媒電極の製造方法。
----------------------------------------------------------------------------------
【特許請求の範囲】
【請求項1】四三酸化粒子と微粒子二酸化チタンを一体化した後、
一体化物表面に水の薄膜を形成し、大気中で、
波長365nmの紫外線と波長400~2000nmの全部または一部を
照射波長とする光線または、波長400~2000nmの全部または一部
を照射波長とする光線を照射し、大気中の窒素分子をアンモニアに還元す
ることを特徴とするアンモニアの合成方法。
【請求項2】一体化物が四三酸化粒子と微粒子二酸化チタンを加圧しつ
つ混合することを特徴とする請求項1に記載のアンモニアの合成方法。
【請求項3】一体化物の形成後、その表面に水の薄膜を形成させる前に、一
体化物をマイナス10℃以下に冷却することを特徴とする請求項1に記載
のアンモニアの合成方法
【請求項4】紫外線および光線の光源が、太陽光である請求項1に記載の
アンモニアの合成方法。
【請求項5】紫外線の光源が、365nmLEDライトである請求項1に
記載のアンモニアの合成方法
【請求項6】光線の光源が、白熱灯である請求項1に記載のアンモニアの
合成方法
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特開2023-50194 固体触媒粒子と光触媒粒子からなる一体化物(コン
ポジット)触媒を用いたアンモニアの合成方法 森屋  市郎
【要約】
固体触媒である四三酸化粒子と光触媒である微粒子二酸化チタ
ンを一体化物(コンポジット)とし、両者の界面を形成させ、マイナス10
℃以下の温度に冷却した後、一体化物表面を水の薄膜で覆い、紫外光を含
む波長350~2000nmの光線または白熱灯を照射する。大気中の窒
素分子と水蒸気から温和な条件でアンモニアを合成する。また、合成反応
において二酸化炭素を発生させない。
【発明の効果】【0039】
  本発明によって、触媒反応によるアンモニアの生成量が大幅に増大する。
あるいは、触媒の効率が大幅に増大するので、触媒の使用量を減じること
が出来る。従来、高温高圧を必要としていた反応条件が50~90℃の温
度と低圧力(常圧)で反応を行うことが可能になる。さらに従来はメタン
ガスなどから多量の二酸化炭素の生成伴いながら反応物である高純度の
ガスを生成させる必要があったが、光触媒作用を利用することで一体化

物表面に凝結した水の分解による水素を利用できるので設備を小規模に出
来、二酸化炭素の発生も無いので大気中の二酸化炭素の削減につながる。
 高温高圧仕様の設備が必要ないので小規模低コストで製造設備が構築でき
る。また小規模生産にも適するので、アンモニアを消費する場所に設備を
作りアンモニアを必要量作り消費する形態が可能になる

【発明を実施するための形態】【0043】
  固体触媒粒子である四三酸化は、試薬でも良いし産業用の製品でも良い。
粒径が小さいものが好ましいので、電子コピーのトナー用の微粒子四三酸
も利用できる【0044】
  光触媒である微粒子二酸化チタンとしては、アナターゼ型微粒子製品を
利用できる。粒径は50nm以下が好ましく10nm以下がさらに好まし
い。
【0045】そして、一体化物の調製の際に界面ができるような調製
法を用いる必要がある。方法は特に限定しないが、実施例で用いた物理的
な方法(固体触媒粒子と微粒子光触媒を単に押し付けながら混合する)が
好ましい。工業スケールで実施する場合にはボールミル等が利用できる

【0046】一体化物は銅などの導電性金属板上に散布すると生成物の生
成量
が増大する。(これは、本発明者が特願2009-077467(特
開2
009-275033)以来提案し続けている有効な方法である。
  一体化物を触媒として実際に使用する際には、まず、静電気除去器など
で表面の静電気を除去して主に電気的に一体化物表面に付着している微粒
子や分子等を取り除くことが重要である。調整後の一体化物をそのまま使
用すると反応生成物が全く得られない時がある。(これは、本発明者が特
願2015-182264(特開2017-047406)以来提案して
いる有効な方法である。)

 また一体化物調整後、静電気除去しても初回の実験では収量は小さく、数
回の使用後に安定した収量が得られた。一度高い収量が得られれば以降は
安定して高い収量が得られた。
続けて、一体化物表面に水の薄膜を形成さ
せるために一体化物を冷却する。冷却には冷蔵庫(1~5℃)を用いても
良いが、より低温(マイナス10℃以下)に冷却するのが良い。フリーザ
ーなどでマイナス10℃以下に保持すると一体化物表面に多量の窒素分子
が吸着する。これは低温ほど粒子の吸着が増大するという一般則による

例えばBET法による固体粒子の表面積測定においては、液体窒素温度(
マイナス196℃)に冷却した窒素雰囲気中にサンプルを保持することに
より、その表面に窒素分子の最大の単分子層吸着が得られる性質を利用し
ている。
【0051】低コストで容易に実現できる方法として、フリーザー中(マ
イナス15~25℃)に一体化物を保持する方法が好ましい。この場合に
は一体化物の調整後、低温低湿度(1~5℃、約30%)の冷蔵庫内に数
日置いてからフリーザーにて冷却した場合に比較的高収量のアンモニア
が得られる傾向があった。
比較的安価に実現する方法は、ドライアイス(マイナス79℃)で雰囲気
温度を下げ、その中に空気または窒素ガスを満たし、その中に一体化物を
置く方法でも良い。
さらに、液体窒素温度に冷却した雰囲気中に一体化物を置けば窒素分子の
吸着速度が上がるし、一体化物表面に最大の窒素分子の吸着が得られる。

収量は冷却時間と正相関した。つまり冷却時間に比例して増大した。冷却
のために家庭用冷蔵庫に付属のフリーザーを用いた場合には、冷却時間が
71~238時間の間は時間とともに増大した。

 次に、一体化物表面に水の薄膜を形成させることが必要である。水の薄膜
の形成方法は、一定量の水を一体化物に噴霧しても良いし、滴下しても良
いが、均一な液膜を触媒の全表面に形成させるには、冷却した一体化物表
面に大気中の水蒸気を結露等によって凝結させる方法が好ましい。

一体化物表面の水の薄膜は、光触媒反応によってそれ自身が分解して反応
物である水素イオンを生成することと、光触媒の還元反応を維持してアン
モニア収量を増大させる働きをするので、生成物の量が最大となる液膜の
作成条件(主に大気の温度と湿度)を実験によって求める必要がある。

【0057】一体化物表面の水膜は、市販の温度計を用いた時一体化物近
傍の温度が50~60℃に昇温すると短時間(5分程度)で蒸発して消失
する。触媒反応は温度が高いほど活性が増大するが、水膜を維持するため
には光線の照射時間は長くても5分~10分間であった。また一体化物近
傍の温度は紫外光を併用する場合に70℃(一体化物表面温度では90℃)
が上限であった。

【0058】放射温度計で測定した一体化物表面の温度は、市販の温度計
で測定した一体化物近傍温度より約20℃高かった。これは一体化物が黒
色であり光線を効率よく吸収して発熱するからである。

【0059】さらに調整して未使用の一体化物の表面積は、43m/g
であり、46回実験に使用した一体化物も42m/gで差は無かった。
また同じ一体化物を複数回使用して実験してもアンモニア収量は減少しな
かった。
つまり本発明の一体化物は繰り返し使用が可能であって、[冷却
→光の照射]を繰り返す事によって連続的な操業が可能である。

水膜を大気中の水蒸気の凝結によって得る場合には、大気中の水蒸気量が
多いほど厚い水膜が得られるので好ましく、高温(28℃以上)高湿度(
70~90%)の大気が好ましく30℃以上で75~90%の大気がさら
に好ましい。

【0061】さらに一体化物表面に形成された水の膜は、その前段階で一
体化物表面に吸着した窒素分子の脱離を防ぎ、水膜下の一体化物表面(主
に界面)での窒素分子の解離吸着を経て還元反応によるアンモニアの収量
を増大させる。
一体化物表面の水の膜が存在しないと、触媒表面に吸着し
た反応物分子は室温への昇温中あるいは光線照射による昇温中に容易に脱
離してしまい還元反応生成物の収量が大幅に減少するか、得られない。

【0062】明においては、一体化物表面に365nmの紫外線と波長
400~2000nmの光線または、400~2000nmの光線を照射
することが必要である。なお、本発明においては、波長365nm付近の
電磁波を紫外線、波長400~2000nmの電磁波を光線と呼ぶ。

本発明においては、光源としては、350-2000nmの波長領域を有
する電磁波が好ましく、太陽光や、365nmLEDライトと白熱灯(タ
ングステンライト)の組み合わせ、または、365nmLEDライトと可
視光領域の一般のLEDライトと赤外線領域のライトの組み合わせが好適
であるが白熱灯(タングステンライト)のみでも有効である。また400
nm以上のLEDライトのみでも有効な場合がある。紫外線光源としてブラ
ックライトを用いても良い。

【0064】一体化物の触媒作用は、温度に対して正に依存するので、一
体化物の温度を上げるために可視~赤外領域の光線の照射が必要であり、
また一体化物表面の水膜が十分に厚い場合には、光触媒成分による光触媒
効果を利用するために紫外~可視光領域の電磁波の照射が有効である。

【0065】太陽光は紫外線成分と可視・赤外線成分すべてを有するので
波長領域は本発明に適しているが、照度の変化が大きく、昼の時間帯しか
有効に利用できない。それに対して人工光源は常時安定した照度を得られ
るので最適である。

【0066】  近年、LEDライトなどの人工照明体の実用化が急速に進
んでいるので、[0063]に挙げた光源以外でも波長350-2000
nmの安価な高効率人工光源が実用化されればその利用を積極的に考える
のが有効である。

【0067】ここで一体化物とは、2種類以上の粒子が圧着し接合した状
態の粉体を言う。つまり、2種類以上の固体粒子が機械的な力でこすり合
わされて、圧着、接合し一体になったものである。なお、一体化という文
言は広辞苑にも記載のある一般語である。

【0068】従来、複合体あるいは複合化物という名称が一般的に用いら
れているが、複合とは2種類以上の物質が付着した状態にあるのか、また
、不均一に混合された状態にあるのか、または、均一に混合された状態に
あるのかが、あるいは化学反応した状態で存在しているのかが不明確であ
る。
本発明の一体化物は、2種類以上の物質が単にこすり合わされた状態、
つまり、互いに界面を維持したまま、圧着、接合して一体になったものを
言う。
次に実施例により、大気中の窒素分子の還元の例を説明するが、本
発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「
%」および「部」は特に別途注記しない限り重量基準である。

【実施例1】【0070】
1.1  一体化物(A)の調製
  乳鉢に関東化学株式会社製試薬1級の四三酸化(粉末、純度95%以
上)の0.5gと関東化学株式会社より購入のアナターゼ型の結晶構造
を有する白色の微粒子二酸化チタン粉末(NO-0058-HP-002
5粒径10-30nm  99.5%)の0.5gを取り均一にかきまぜた
後強く擦りながらかき混ぜて一体化物(A1)(四三酸化/二酸化チタ
ン=1/1)を調製した。【
0071】
1.2  大気中の窒素分子の還元実験
  内径55mmと62mmのガラス製シャーレを2重にして底部に銅板を
敷いたものに1.1で得られた一体化物(A1)0.2g(実験のための
使用回数7回目のもの)を銅版上に一様に散布し、(以降、シャーレ内に
銅板と一体化物を配置させたものを試験体と呼ぶ。)静電気除去器(春日
電機製KD-150W)を用いて試験体にイオン化空気を当てて(一体化
物の上方に静電気除去器を置き一体化物と静電気除去器の間隔を約15c
mとした。)一体化物表面の電荷を除去した後、試験体を家庭用冷蔵庫に
付属のフリーザー中で冷却した。冷却後取り出し(取り出し時のフリーザ
ー内温度はマイナス22.0℃)、ガスバリア袋(大倉工業株式会社製、
OE-4)に入れ、藤田電機製の温度計(WATCH  LOGGER  KT
-255U)も入れて入り口を熱シールする。ガスバリア袋に1cm角の
ウレタンテープを貼り袋内の空気が約1000mlになるように注射器で
空気を注入し、紫外光を含む真夏の太陽光下に5分間静置した。実験日は
2022年9月6日(天候晴れ)、実験場所は千葉県船橋市  北緯35.
70°東経140.02°である。太陽光照射中の365nm紫外線平均照
度は1.04mW/cmであった。(紫外線照度はウシオ電機製UNI
METER  UIT-201にUVD-365PDセンサーをつけて測定
した。)
太陽光照射後、試験体の入ったバリア袋を保冷剤の上に置き袋内
の気体温度が35℃に降下した時点で、袋内のアンモニアガス濃度を株式
会社ガステック製検知管No.3La(検出範囲:2.5~220ppm)
を用いて測定し、光触媒1gで1時間照射あたりのアンモニアガスのμm
ol数を算出(ガス濃度(ppm)×温度補正係数(0.93)×残存空気
容積(ml)/{照射時間(Hr)×光触媒重量(0.2g)×2240
0})した。注入した空気(室内空気と同じ)の温湿度と実験条件および
実験結果は表1の通りであった。
なお、ブラックライト照射後にバリア袋
内に残った気体はガス検知管の測定で吸引した吸引量を含め1000ml
であった。

【実施例2】【0072】
2.  大気中の窒素分子の還元実験
  実施例1で調整した一体化物(A1)の0.2g(実験のための使用回
数9回目のもので,実施例1で使用したサンプルとは別のもの)を用い、
光源を365nmLEDライトと300W白熱灯の両方を用いて、実施例
1の大気中の窒素分子の還元実験と同様に実験した。
試験体をフリーザー
内に保存冷却後取り出し(取り出し時のフリーザー内温度は、マイナス
21.2℃)、365nmLEDライトの直下約30cmに置き、試験体
内の一体化物付近の365nm紫外線照度が1.5mW/cmの照度に
なるようにLEDの光量を調節し、また試験体が300W白熱灯の斜め下
約30cmになるようにして白熱灯の光を照射した。

365nmLEDライトと白熱灯を同時に5分間照射後、袋内の気体温度
が35℃に降下した時点で、袋内のアンモニアガス濃度を株式会社ガステ
ック製検知管No.3La(検出範囲:2.5~220ppm)を用いて
測定し、光触媒1gで1時間照射あたりのアンモニアガスのμmol数を
算出した。実験条件および実験結果は表1の通りであった。

なお、ブラックライト照射後にバリア袋内に残った気体はガス検知管の測
定で吸引した吸引量を含め1000mlであった。

【実施例3】【0073】
3.  大気中の窒素分子の還元実験
  実施例1で調整した一体化物(A1)の0.2g(実験のための使用回
数8回目のもので、実施例1で使用したサンプルと同じもの)を用い、光
源を365nmLEDライトと300W白熱灯の両方を用いて、実施例2
の大気中の窒素分子の還元実験と同様に実験した。
試験体をフリーザー内
に保存冷却後取り出し(取り出し時のフリーザー内温度は、マイナス23
.1℃)、365nmLEDライトの直下約30cmに置き、試験体内の
一体化物付近の365nm紫外線照度が1.5mW/cmの照度になる
ようにLEDの光量を調節し、また試験体が300W白熱灯の斜め下約3
0cmになるようにして白熱灯の光を照射した。

365nmLEDライトと白熱灯を同時に5分間照射後、袋内の気体温度
が35℃に降下した時点で、袋内のアンモニアガス濃度を株式会社ガステ
ック製検知管No.3La(検出範囲:2.5~220ppm)を用いて
測定し、光触媒1gで1時間照射あたりのアンモニアガスのμmol数を算
出した。実験条件および実験結果は表1の通りであった。
なお、ブラック
ライト照射後にバリア袋内に残った気体はガス検知管の測定で吸引した吸
引量を含め1000mlであった。

【実施例4】【0074】
3.  大気中の窒素分子の還元実験
実施例1と同様に調整した一体化物(A2)の0.2g(実験のための使
用回数9回目のもの)を用い、光源を300W白色灯のみで、実施例1の
大気中の窒素分子の還元実験と同様に実験した。

試験体をフリーザー内に保存冷却後取り出し(取り出し時のフリーザー内
温度はマイナス25.0℃)、試験体が300W白熱灯の斜め下約30c
mになるようにして白熱灯の光を5分間照射した。

白熱灯照射後、袋内の気体温度が35℃に降下した時点で、袋内のアンモ
ニアガス濃度を株式会社ガステック製検知管No.3La(検出範囲:2
.5~220ppm)を用いて測定し、光触媒1gで1時間照射あたりの
アンモニアガスのμmol数を算出した。実験条件および実験結果は表1
の通りであった。
なお、ブラックライト照射後にバリア袋内に残った気体
はガス検知管の測定で吸引した吸引量を含め1000mlであった。

【実施例5】【0075】
3.  大気中の窒素分子の還元実験
実施例1で調整した一体化物(A1)の0.2g(実験のための使用回数
6回目のもので、実施例1~4で使用したサンプルとは別のもの)を用い、
光源を300W白熱灯のみで、実施例4の大気中の窒素分子の還元実験と
同様に実験した。
試験体をフリーザー内に保存冷却後取り出し(取り出し
時のフリーザー内温度はマイナス22.9℃)、試験体が300W白熱灯
の斜め下約30cmになるようにして白熱灯の光を5分間照射した。

白熱灯照射後、袋内の気体温度が35℃に降下した時点で、袋内のアンモ
ニアガス濃度を株式会社ガステック製検知管No.3La(検出範囲:
2.5~220ppm)を用いて測定し、光触媒1gで1時間照射あたり
のアンモニアガスのμmol数を算出した。実験条件および実験結果は表1
の通りであった。
なお、ブラックライト照射後にバリア袋内に残った気体
はガス検知管の測定で吸引した吸引量を含め1000mlであった。

【0076】【表1】
000002 
実施例1~5により、本発明の一体化物は太陽光、365nmLEDライ
トと白熱灯、および白熱灯の短時間の照射で、多量のアンモニアを生成し
た。【0078】
 実施例5(300W白熱灯のみ照射)で最大のアンモニア収量が得られた
が、これはフリーザー内に10日間保存した場合であった。
実施例2,3(365nmLEDライトと300W白熱灯の同時照射)で
も多量のアンモニア収量が得られたが、照射時間が5分以上の実験では収
量が低下した。5分間照射でも室内温度が低いと収量は低くなり、バラツ
キが大きかった。室内大気の温度と湿度が小さいと、水の膜厚が薄く光線
の照射による昇温で水の膜が蒸発消失して光触媒作用が還元作用から酸化
作用に変化してしまい、生成していたアンモニアを分解してしまったと思
われる。室内温湿度の最適条件(温度30℃以上、湿度75~90%)は、
2022年夏の実験では得られず、最適条件よりもやや低い温湿度では、
300W白熱灯のみの照射の方が安定して高い収量が得られた。
【産業上の利用可能性】 
大気中の窒素分子を温和な条件でアンモニアに変換でき、従来法における
メタンガスからの高純度水素ガス精製プラントも省略できるので、製造設
備の大幅コストダウンが可能になる。小規模生産にも適するので、アンモ
ニアの消費地近傍での生産にも適している。さらにアンモニア合成以外に、
安定な分子を還元したい場合にも応用が可能である。
                            この項了

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