マブールからシパダンに人魚がいた!
というのは、今年前半に公開されたマレーシア映画「DUYUNG」でのお話。DUYUNG、ドゥユンは、マレー語で人魚のこと。
この映画の撮影地がシパダン&マブールなので、どんなふうにシパダンの海が描かれているかを見てみたくて、KKのショッピングセンターでDVDをさがしてみた。ところが、ショップの陳列はごちゃごちゃ。English, Malay, Chinese, HindiそしてJapanといったジャンルに分けられてはいるものの、あとはアルファベット順になっていたり、なっていなかったり。粘り強くない私は、すぐに探す意欲をなくしてしまった。
せっかく入った店だから、日本作品のところを見ると、「anego」や「L change the World」があった。赤西仁ずきであるが、ここはがまん。Lの松山ケンイチもたまらないがスルー。そして、「水男孩1」というのがあった。ウォーターボーイズだ。ちゃんと台湾の正規版DVD。海賊版ではない。このドラマ自体大好きだったし、なんといっても、福山の虹がいい。で、49.90リンギットで買ってしまった。限りあるリンギットから、予定外の出費。これで、ドゥユンのことは忘れるともなく忘れていたが、セレベス・エクスプローラーの帰りに寄ったタワウのスーパーの片隅に、小さなCDショップがあり、ふと見たワゴンを見ると、ドゥユンのVCDがあった。店員は、日本人の私が、全篇マレー語の映画を買うのを怪訝な顔で見ていた。そして値札は12.9リンギットだったので13リンギット出そうとしたら、12リンギットでよいと言われた。わからん。
ドゥユンの主人公は、マブールのカンポンに住むジミー。ジミーはいつも、猿人のオリックスと小舟で海のゴミを集める超エコ人で、人魚はきれいな海だけに現れると信じている。自然のため、サカナは食べない。そんなジミーは、カンポンの面々からは変わり者扱いされ、バカにされている。
ジミーは、アスパレラという幼なじみの女の子に結婚を申込んでいて、アスパレラもジミーのことが好き。ところが、アスパレラのおやじは、「娘を嫁にやるなら自分の土地と家を持ってからだ!」がと言う。ジミーは水上生活者だから土地はない。そしてアスパレラには、コルディという、でかくて金も力もある男が言い寄っている。
アスパレラの親父の言葉にこたえるべく、ジミーは猿人と、海で拾い集めたペットボトルでリサイクルアイランドを作りはじめる。その島はどんどん大きくなるが、実はひそかに人魚が手助けをしていたのだ。
ジミーのことを邪魔に思うコルディが、ジミーの島にボートをぶつけ、島がくずれかけたとき、島の基盤となるペットボトルがばらけ、そのネットをあわててひいたところに人魚が引っかかってしまう。それを助けるジミー。人魚はプトゥリ(英語でプリンセス)と名乗り、ジミーが子どもの頃からずっと、彼女の暮らす海をきれいにしてきてくれたことに感謝してきたという。
ジミーを待つアスパレラ、ジミーの最大の理解者である母、ジミーを勘当してしまう父、手ごわいアスパレラ父と、好意的なアスパレラ母、にくたらしいコルディ、そして、ジミーに思いを寄せるプトゥリ・・・こんな面々を中心にストーリーは展開する。
コンセプトは、「ロマンチック・ファンタジー・コメディ」らしい。人魚が主人公に幸せをもたらすおとぎ話だがラストの展開は、コメディということもあり、なんだかファンタジーという肩書きを台無しにしてるようにも思えた。また、なんで猿人がいるの?、とか、なんでゴミ拾いしているジミーがスキューバ器材を持って、スキューバダイビングもできてしまうの?とか、つっこまないで観ような映画。
さて、人魚といえば、貝のブラか、トップレスに長い髪なイメージ。でも、マレーシアだから、露出度の低い人魚だ。人魚は胸から鱗に覆われ、尾びれがなければ、イブニングドレスみたい。それに人魚ってゆったり泳ぐイメージがあるが、人魚のフィンキックはけっこう激しい。まあ、演ずるのは人間だから、水中で両足を尾びれ型衣装で一体化された状態で泳ぐには、モノフィンスウィマー状態で泳ぐしかなく、そんなもんかな。プトゥリ役のマヤ・カリンが、海の中を泳いでいるときも、顔がキレイで長い髪がのびのびワカメにならないのと、水から上がった直後でも顔がくずれないメイク術が素晴しい。見習おうとして見習えるものではないが、女子としてはお手本にしたい。
水中は、マブールとシパダンの超浅瀬ばかりだった。マブールはヒトデだけ、シパダンは、かろうじてアオウミガメやキンギョハナダイは出て来る。映像からシパダンの美しさは十分には伝わってこないし、水中でのシーンが短いのが残念。
最初に人魚が水面に顔を出すと、はるか彼方にセレベスエクスプローラーがうつっていたり、ラストの背景がSMARTだったりした。