カサゴついでに、ミノカサゴ。
日本人には不人気め、欧米人には大人気。
私はそもそもデコラなものが好きではない。
たとえば、ロココ趣味とか。
ゴージャスは悪くないが、装飾過剰が嫌い。
私にとっては、装飾過剰と思えるミノカサゴ。
頭の飾りがオソロシイ。
そんなわけで、きょうのお題はカサゴ目フサカサゴ科のハナミノカサゴ。
シパダンで日本人率が低かった時代には、ダイブマスターたちは日本人にもしっかりミノカサゴやウツボも教えてくれてた。
シパダンに初めて行ったとき、同じボートにスイス人大学生のパオロ君と、パリのジャンおじさんがいた。
パオロ君はミノカサゴをみつければ、私の足首を引っ張ってでも、「ほら!」とうれしそう。
ジャンおじさんが肩をたたいてくるので何かと思えばミノカサゴ。
当時、私はニコノスV20ミリに36枚のリバーサルを入れていたので、好きでもないミノカサゴに貴重な1枚を使いたくない。
でも、ふたりともいいのを見つけたと信じて疑わずに教えてくれてるし、さらに私が撮るのを見届けるまで、暖かく見守ってくれるし、エキジット後に感想を求められるので、撮らないわけにもいかず…
シースルーにドットはおしゃれ?
でも、このデコラなヒレヒレが、いかにもビリっと来そうで、見たから苦手。
複数いると、ほんとうにこわい。
シパダンにリゾートがあった時代、アブディラ・シパダン・パラダイスで潜っていたイタリア人男性が、半泣きでボルネオ・ダイバーズに連れてこられたことがあった。
(当時、ボルネオ・ダイバーズには、超感じの悪いオランダ人のおばはん医師がいて、応急処置をしたり、どっか痛いなんて言うダイバーがいようものなら、即刻チャンバーに入れていた。私にはそう見えた。)
イタリア人は、ミノカサゴにさされたそうで、痛がり方もイタリア人流。
ミノカサゴに刺されたときの応急処置は熱いお湯に手を1時間程度つけること。
50度のお湯に手をつけさせるから、また大げさに熱がったり、痛がったり。
ギャラリーは他人の不幸は蜜の味的に、興味本位で見ているし…。
イタリア人の英語がいまいちなのをいいことに、お調子者のアメリカ人が、「夜には潜れるさ。ナイトでまたミノカサゴにさされよう」とかひどいことを言っていた。
あと、シパダン・ダイブ・センターの某ダイブマスター、タートルカバーンで夜、ヒカリキンメのイルミネーションショーを、どうしてもカバーンの奥の穴の中で見るといいと言い張り、みんないやいやついて行ったら、カバーン内のヒカリキンメはしょぼかった。
私は、足首をクリーニングシュリンプに這われ、ちくちくして、そのつど「あたっ!」と騒ぎ、ほかのダイバーも、「カバーンの中はやめよーよー」と訴え、自分の意向が通らないことに、DMはむっとしていた。
案の定、奥の穴から出たら、オーバーハングでのヒカリキンメは、実に美しかった。
みんな満足して、カベ一面黄色いお花畑状態、エビの目が幾千もキラキラ光る夜の壁を楽しみながらゆっくりしていると、浮上予定より10分以上前に、突然目の前に親指突き出され、上がれ!上がれ!
なんじゃ?と思ったら、DMは、ミノカサゴにさわってしまったのであった。
みんなに穴の中を拒否られ、ミノカサゴにも刺され、すっかり不機嫌に。
人を傷つけたり不機嫌にさせるミノカサゴ。
彼らは彼らで防御してるんだけど、お互い幸せに過ごすには、離れているのがいちばん。
漢字で書けば花蓑笠子、華蓑笠子。
英語名はCommon Lionfish、Turkeyfish、Red lionfish、zebrafish、firefish、ornate butterfly-cod、red firefish。
たくさんの名まえがありすぎ。
でも、花や華のキレイでかわいいイメージよりも、英名の数々のほうがしっくりくる。