「ラパスにでもいこーかなー...」
7月の終わりに外務省のサバ州東海岸への渡航延期勧告が出たとき、ほんの思いつきでボソッ。
すると、この「ボソッ」に反応した友だちが約1名。
ラパスには、2000年9月にいちど行ったきり。
アシカとマンタが同時に見られたレアな年で、ハンマーヘッドシャークの大群に遭遇し、アシカの1歳児にもてあそばれた。
水面では、移動中のボートがオキゴンドウの群れや100頭以上のハシナガイルカの群れに囲まれたり、ジンベイこそまわってはいなかったものの、それはもう大物バンバンで、素晴らしい海だった。
あとは、おいしいコロナとソルとタコスの思い出。
ただ、9月の1週目だったので、その年生まれのアシカの赤ちゃんは幼すぎた。
彼らは岩陰からダイバーを好奇心に満ちた眼差しで、ただただみつめるだけだった。
0歳児がダイバーにからむのは9月の終わりから10月と聞いて、いつかは0歳児と遊びたいとずっと思い続けてきたものの、9月=シパダン月なので、なかなか実現できずにいた。
何年も続いたシパダンがよいが途切れることに抵抗はあったけれど、目先を変えるいい機会かも。
ことしのシパダンは9月下旬を予定していたので、ちょうどアシカの赤ちゃんと遊べる時期だ。
でもでも、それと同時に、バハ・カリフォルニアの9月はハリケーンの季節。
私のダイビング仲間だけでも、少なくとも5~6組が、過去、ラパスでハリケーンの影響をくらっている。
でも、前回もハリケーンのハの字もなかったし、私はハリケーンはくらわないと根拠のない確信があった。
旅の手配
ダイビング仲間からは、ラパスのクルーズ船についてあまりいい話を聞かないし、キャンプには無関心。
よって、陸スティ。
まずは航空会社選びから。
旅行会社のパッケージツアーを見ると、アエロメヒコ、アメリカン、デルタ、大韓といったところか。
アエロメヒコはラパスへ乗り入れているが、その他の会社だと、サンホセデルカポ(ロスカボス)からラパスまでは車で3時間走らないと行けない。
これでまず、アエロメヒコに傾く。
でも、アエロメヒコはスカイチームで、今の私には、乗る機会のない航空会社がせいぞろい。
ダイバーなら、デルタでパラオとか、ガルーダでインドネシアっていう使い道もあることはあるが、パラオ通いはしないし、インドネシアに行くときは、だいたいSQだ。
おいしいと噂のビビンバのために、大韓に乗ろうとは思えない。
米系の航空会社は押し並べてきらいだけれど、マイレージを優先するのなら、ワンワールドのアメリカンで、沖縄ゆきのJLや、コタキナバルゆきのMHの特典交換のたしにする?
結局、どの会社を使っても、8日間のパッケージで、燃油込みで27~28万台が主流。
パッケージはどれもホテルがいまいちそうで、なかなかふみきれない。
ラパスの場合、個人手配にしたら安くなるのか高くなるのか?
航空券は、航空会社のホームページで最安値を探すのがいちばんだが、どの会社の運賃も値ごろ感がない。
もっと早い時期だったら、安い席があったのかもしれないが、なにぶん出発まで2か月切ってからのアクションだし、アジアとはちがい距離もあるので仕方ないのだけれど...。
J○BやH○Sといった、大手でも、知識不足のスタッフ多めの会社にではなく、フライトサーチ能力、運賃計算能力の高い職人系のスタッフがいる、格安航空券専門の小さな旅行会社に、「すぐに発券しなくてよくて、いちばん安くラパスにゆける航空会社を探してください!」と丸投げしたら、最低価格保証をうたう会社のwebよりも安い、アエロメヒコの格安航空券をしっかりみつけてくれた。
地理的には、先に遠いメキシコシティに飛んでからラパスに戻ることになるし、成田からメキシコシティだけでも13時間10分もかかる。
私がノンストップ便で飛んだ最長不倒距離は、ロンドンヒースローだがそれを上回る。
考えただけでしんどいけれど、同日乗り継ぎでラパス入りができることと、お値段に勝てず、AIRはアエロメヒコで決まり!
次はホテル。
前回は、ネクサスのお世話もあったし、ダイビングを最優先して、バハダイビングサービス併設かつリゾートの前からボートの出る
クラブ・カンタマールに泊まったが、ハエの多さに辟易し、町に出るのが大変だった記憶。
だから、町に出やすいホテルがいい。
旅行会社のパッケージで使われるホテルは、セブンクラウンホテルマレコン、パルミラ、ラコンチャ、ラペルラといったところで、いずれもTrip Advisorで、ときに酷評されているのが気になる。
他にもっといいホテルはないもの?
Trip AdvisorやAgodaの評価を読んで、いろいろチェックしても、なかなかこれ、ってのがない。
ハイアットなんかもあるが、場所が不便。
素敵そうなリゾートホテルはバスルームがシースルーだったり気まずい感じ。
これは女子旅。
カップル向けのナイスなリゾートって感じでもないので、Trip Advisorで2位に輝く、安かわいい「
ポサダ・ルナ・ソル」に決定。
そして、かんじんのダイビングサービス。
2011年3月、ブルーシャーク2に乗っていたバハダイビングサービスのマルコがログにメアドを書いてくれてたなと思い出し、ログブックをひっぱりだし、メアドからFacebookで探して、「今もバハダイビングサービスにいるの?」とメッセージを送ってみた。
すると、友だち申請してくれて、
サンライダーというサービスにいるというレス。
前回、船足が超遅かった記憶があり「サンライダーは、船足早い?」と聞いたら、町一番とのこと。
サンライダーのホームページには、日本語マークもついているが、google翻訳か、おかしなことになっていて、さっぱりわからない。
サンライダーのオフィスに直接メールをしたらUSD145.00/3本/1日。
ラテンの国とは思えないほど、レスが早くて好感が持てたし、自称だけど、船足も町一番だから、これはもう、サンライダーしかない。
すべて込み込み総予算27万。
わずか1~2万けちるがために、なにもかも自分でやらなければいけないけれど、自己満足。
ハリケーン オディール
出発日のちょうど1週間前、9月15日、バハ・カリフォルニアにハリケーン・オディールが上陸し、ロスカボスに甚大な被害をもたらしたことを知った。
ただ、詳細情報はない。
ラパスはロスカボスから車で3時間だから、同じ状況にある予感。
でも、バハカリフォルニアはハリケーン銀座だから、ハリケーンには慣れているだろうし、まだ1週間あるし、次のハリケーンでも来ない限り、きっと大丈夫と、軽く考えていた。
ところが、出発前々日になって、サンライダーとマルコの両方から「ラパスに予定通り来られるのか、ホテルの電機や水道はちゃんと供給されているのか、ラパス便がちゃんと運航されているか、チェックするよーに」とメッセージが来た。
沖縄の離島だって、台風が過ぎればライフラインの復旧にはそんなに何日もかかるわけではないので、ハリケーンから4~5日たっても、まだそんな心配があるのかと思うと、先行き不安。
リサーチの結果、ホテルはほそぼそと営業しているようだし、ラパス空港も稼働しているようなので、ラパス行きは敢行。
アエロメヒコ57便 成田1525 メキシコシティ1435
今回も成田空港への移動は、銀座から「THE アクセス成田」。
12時のバスに乗ろうと、11時過ぎに家を出たら、あぢー。
なんできょうに限ってこんなに暑いの?
これから延々24時間、シャワー浴びられないのに。
さらに、強い日差しのもとで見たら、クレッシーのキャリーバッグがボロボロ。
軽いのはよいが、やっぱり弱っちいかも。
近所のキャンドゥに寄って、セメダインをGETし補修。
願わくば、乗車前に軽く何か食べようと思っていたが、これでタイムロス。
荷物があって小回りが利かないので、腹ごしらえはあきらめて、そのままバス停へ。
八重洲でバスは満席になり、月曜日だから混んでるかな?と思ったけれど、しっかり1時間で成田に着いた。
ところで、アエロメヒコは第一ターミナルの北ウィングから出発するのに、バスは南ウィングどまり...。
ちぇ。第二ターミナルには2カ所で停車するくせに。
ダイビングバッグをひいての、南から北移動は、けっこうな距離だ...。
しかも、アエロメヒコのカウンターは、すみっこの方にあった。
やっとアエロメヒコ前に到達し、チェックインカウンター手前に設置されているチェックインキオスクに近づくと、おじさんがヌッと現れた。
どうやら、懇切丁寧に教えてくれたいらしいが、私はきのうのうちにオンラインチェックインずみで、ボーディングパスをプリントしたいだけなのだ。
ところが、きのうwebで入力したのと同じ情報を、キオスクでは、またいちいち入力させられ、なんなんだ?
オンラインチェックイン画面では、席は、ポツポツと、1席ずつしか空いていなくて、ほとんど選択の余地がなかったが、そんなに混んでいるのか?
でも、キオスクでも状況は変わらず、webではチェックインできなかったメキシコシティーラパスの席は問答無用で決められていた。
ボーディングパスが出て来たら、あとは荷物を預けるのみ。
でも、webチェックインの表示のあるカウンターがみあたらない。
おじさんにバゲージドロップ専用カウンターはないのかたずねるが、普通に列にお並びくださいとの返答。
これじゃあ、座席指定以外、なんのためのオンラインチェックイン?
アエロメヒコの成田発のオンラインチェックインは、デルタ航空のサイトに飛んで行うようになっていたので、これが限界?
カウンターを見渡すと、チェックインスタッフにはメヒコと思われる女性が多い。
メキシコはバッグに鍵かけていいんだっけか?・・・、ふと思い、通りかかった背高めの日本人女性職員に「すみません」と声をかけると、「ちょっと待ってください!」とつっけんどんに、つかつかと歩き去られた。
客にたいする態度も言葉づかいもなっちゃない。
たぶんこの人、本日のチェックインの責任者ぽいけれど、感じ悪っ!
そいつが向かったカウンター前では、日本人のダイバーのグループが、なにやらウェットスーツを引っ張りだしたりしているので、たぶん、無料許容量の範囲におさめるがためにテンパリ中のもよう。
私がすすんだカウンターのスタッフは、日本人の若い子で感じはよかった。
「荷物に鍵はかけてもいいですか?」とたずねると、「往きはかけてもいいみたいですけれど、帰りはかけないほうがいいと聞いています」というファジーなお答え。
ちなみに私の荷物は16キロ!
23キロ×2個預けられるのに、なんだか損した気分。
チェックインをすませたら、朝にブランを食べただけで空腹なので、ローソンへ寄っておにぎりをGETし、展望デッキでむしゃむしゃ。
その後、友だちと落ち合ったら、もうそんなに時間がないことに気づいた。
出国審査場は、閑古鳥が大合唱していたが、ゲート前は混み合っていた。
アエロメヒコの搭乗順は、どうやら、シートナンバーの数字ではなく、アルファベット順のようだが、スペイン語のアナウンスからはじまり、わからないので、よく聞いちゃない。
ラストコールになってから乗っても、頭上のコンパートメントに荷物が入るかどうかだけだから、ま、いーかとのんびりしていると、「お乗りください!」とアナウンス。
額にコンペイ糖マークが出ている声音だ。
よく見ると、チェックインのときに通りかかった感じの悪い女性。
日本人ではあるが、きっとスペイン語のほうが得意で、日本語の丁寧語の使い方を知らないのだろう。
そのこわい日本人にボーディングパスを渡し、機内へ移動。
機内に入ると、オールディーズな「Happy Together」が流れていた。
なんか不思議な選曲。
自分の列にたどり着くと、通路側から2人、年かさな日本人女性がすわっていた。
手首にはパステルカラーのダイコンで、ダイバーさんらしい。
たぶんチェックイン・カウンターの前で、荷物をおっぴろげていた人たちね。
この人たちも、ラパスへゆくのね。
私よりもお姉さんであることはわかるが、ひざをちょっと引っ込めただけで、席を立ってはくれないので、ふたりの膝をごしごしこすりながら窓側への席へ入る。
他人の尻が目の前を通過するより、ほんの数秒立った方が、よほどマシと思うのだけれど。
せっかくダイバーどうしなのに、Happy Togetherとはいかなそう。
そうこうするうちに、これまたさらにオールディーなPPMの「500マイル」が流れ始めた。
500マイルなんてなにさ、私はこれから7000マイルさ、と思うとブルーになる。
ついで、ロックおたくの私が知らないナンバーが流れ、シンディ・ローパーの「オール・スルー・ザナイト」。
これまた、オール・スルー・ザ・ナイト飛んだって、まだ着かない遠さじゃん...とブルーの上塗り。
さて、私にとっては、アエロメヒコデビューと同時にボーイング787デビューでもある。
席についたら、窓が真っ青でなんじゃこりゃ?
シートポケットには機内誌1冊と、セーフティインストラクションと、エアシックバッグだけ。
機内誌どこを見ても、シートや機内エンターテイメントの詳しい操作方法が出ていない。
スクリーンはスペイン語がデフォルト表示されている。
学生のとき1年で挫折したスペイン語。
うーんと記憶をたどってなんとか推測して、読書灯オンオフとか、言語選択とかにいたった。
真っ青な窓は、窓の下のボタンをいじっていたら、透明になった。
シェードがハイテクなのね。
クルーはラテンの美男美女が多いのかと思ったら、そうでもなかった。
おまけに、日本発着線には日本人クルーがいるのかと思ったら、それもいなくて、機内通訳が乗っているだけ。
ユーザーフレンドリーじゃないな。
15:22 push back。
滑走路に出るために、機体がカーブしたら、すぐ後にはマレーシア航空。
月曜のこの時間だから、KKゆきだ。
私には、マレーシア航空がうらめしそうに見ているようにすら思える。
ああ、やっぱりシパダンに行きたいよ。
渡航延期勧告がなんだ!
と、いまもってシパダンに未練たらたら。
15:33 take off。
電子機器使用可アナウンスが流れたら、さっそくUSBポートにiPhoneつないでチャージ。
しかし、映画も音楽もメニュー少なすぎ。
なぜか古典映画「オズの魔法使い」を見る。
となりのおばはんは「マレフィセント」をみていた。
ほどなく、機内サービスがはじまり、まずはcacahuates japones。
ピーナツ。
ドリンクはコロナと思ったのに、問答無用でサッポロを出された。
滅多に飲まない銘柄だけれど、キンキンに冷えてて、おいしくぐびぐび。
そして、長時間フライトなのに、1回目のミールがさっさと出てきた。
まだおなかがすかないから、もっと後でいいのに。
機上限定ベジタリアンなので、きょうもスペシャルミール、Lacto ovo vegetalian、乳製品卵が含まれる、ウェスタンスタイルのベジタリアン。
スペシャルミールを先にサーブする会社が多い中、普通食と一緒のタイミングにサーブするのはえらいと思う。
その反面、先にサーブしてもらった方が、食後のトイレラッシュに巻き込まれなくてよいともいえよう。
ズッキーニやトマトのはいったパスタ。
暖めがいまいちで、全体的にぬるいのが残念。
最初はまあおいしくいただいていたのだが、ビールでおなかがふくれ、途中からは苦痛になってきた。
パンの硬さは半端ない。
やがて、冷えすぎビールでおなかが急降下。
「すみません」と、お隣のご婦人ふたりに声をかけるが、この人たち、絶対立たない主義らしい。
人の尻でごしごし通られたり、踏まれるより、私は立ったほうがよほど簡単と思うのだがね。
食後、しばらくすると、外は紺色になり、やがて暗闇がはじまった。
暗くなると、もう目が開けてられない感じで眠れないけど目をつむっていた。
ときどき目を開け、マップを見ると、メキシコシティまで7時間。
あー、まだ成田からKLまでゆく時間乗っていないといけない。
また目をつむって、ホワイトホースが斜め上くらいのところまで来ても、まだ成田からKKゆきくらい乗っていなくてはならない。
窓の外を見ても、星が見えるわけでもなく、ひたすら濃紺の闇の中。
遠い...遠すぎる。
それでも、暗闇の世界に終わりは来た。
だんだん明るくなって、遠くになにか細長いものが見えて、あれはアメリカ大陸?と思ったら、単なる雲だったりして、まだまだ先は長そう。
そして日が昇ると、窓のシェードはまたまた強制的に真っ青になった。
着陸3時間前...。
外は明るくなったし、このあとミールが出たら、トイレラッシュは必至だろうから、今のうちに...。
またまた「すみません」と声をかけても、うんともすんとも言わず、ただ膝を引っ込めるだけのお隣さんたち。
本当は、もっと早くに行きたかったし、お隣さんが立ったら、そのチャンスに私も、と思っていたのに、このひとたち、13時間にもわたる長時間フライトなのに、トイレにいっさい立たないのだ。
もっとトイレが近いひとたちだったら、きっと私は、少なくともあと2缶はビールを飲んだことだろう。
立つのがいやならaisleとるんじゃねーよ、と心から思う。
そしてトイレは、途中、簡単な清掃をしないらしく、なんだか不快な状況になっていた。
2回目のミールは、普通のミールが出てきた。
乳製品卵OKのベジタリアンなら、オムレツとブロッコリーとハッシュドポテトでありか、と思ったら、ソーセージが入ってるやんけー。
メヒコとの英会話はけっこうしんどいので抗議をするのもめんどくさい。
あとから、ベジタリアンを持ってきたようだが、私がミールに手をつけてしまったので、そのまま引っ込めた。
これがアジア系だったら、取り替えますと言ってくれるんだけれど・・・
アエロメヒコのサービスは雑である。
メキシコシティへの着陸態勢に入ると、下界は大都会。
ダイバーなだけに、いつもは海上からアクセスする路線に乗ることが多いので、高層ビルや民家が建ち並ぶところでどんどん高度をさげてゆくのはなんか新鮮。
日本なみに建物が密集しているが、ちがうのは集合住宅のカラリングが黄色だったりすること。
そして、13時すぎに早くも着陸。
えんえんとタキシングのあと、ゲートに着くと、こんどはなかなか降りられない。
でもまだ、定刻より1時間以上早い。
追い風の影響らしい。
成田でも、メキシコシティでも、なぜか自らが搭乗したB787の全貌が見れなかった。
到着ホールに降りると、イミグレーションは長蛇の列。
グァムなみか?
いや、グァムとはちがって動く渋滞だ。
ぐるぐる蛇行するので、寝不足とあいまって、目が回る。
イミグレ抜けて、機内アナウンスで荷物は1番テーブルと言っていたので、1にゆくが、すでにカルーセルは止まっていた。
でも、そこに私の荷物はない。
まだ数名、荷物を待っている人がいて、どうやらまだ流れきっていない様子。
1番にある掲示板の便名が違うけれど、日本人グループもいるので、なんの疑いもなく待つ。
アエロメヒコの雑さを考えれば、こんなもんなんだろうと。
カルーセルに残された多くの荷物はラッピングされていて、そんなサービス、成田にはあったかしらん?と不自然に感じつつも、待ってみる。
待つこと10分強。
ふたたびカルーセルが回りだし、日本人らは、出てきた!とみんなピックアップ。
そして止まったが、私のぼろクレッシーの姿はそこにない。
中の器材は、さらにボロすぎて、ロストされても、携行品保険の対象にもならない。
頭にあることは、トランジットで水着は買えるのかしら、アエロメヒコはinterim expenseをいくら払ってくれるのかしら、きっと渋いだろーなということ。
係員のところに行き、「荷物出てきませーん」と訴えると、「TOKIOはTRES」とあっさり。
ちぇ、いつの間にか3に変わってた。
そこには、ぼろぼろのクレッシーが、とうの昔から待っていたような風情でたたずんでいた。
なぜかフレンドリーなカスタムを通過すると、出口手前の乗り継ぎ用バゲージドロップのレーンで荷物を預け直して外に出る。
ここで友だちと、13時間ぶりに再会。
ベニート・ファレス空港
乗り継ぎ便までは8時間もあるのだから、急ぐことはなく、そのまま到着階をうろうろしてみる。
まずはお茶でもという話になり、スタバを見に行くと、席なしスタバで却下。
席があるのは、バーやレストラン形式のお店。
カフェだけでもよいと言ってくれたので、イタリアンレストランでコーヒータイム。
Wi-Fiつながらず。
その店でだいぶ粘ったあと、出発階にあがって散策。
フードコートに出て、微妙におなかもすいてきたので、何か食べようと言う話になった。
どうやらフードコートにいる人びとの多くは、空港関係者の人びと。
中には、アエロメヒコのクルーのユニフォームを着たまま、デートっぽい女子もいる。自由だな。
トランジットではタコスを食べようと思ったが、とてもボリューミーなハンバーガーとドリンクを前にしている人びとを見て、ついついバーガーに走ってしまった。
うーん、大陸サイズ♪
ここでやっとWiFiゲット!
...できたと思ったら、マルコから「君たち今夜来れるの?」とまたメッセージが入っている。
メキシコシティなうの旨レス。
そんなにハリケーン被害はやばいんか?
この先行き不安でしばしよどんだあと、中に入ってしまおうと言うことになった。
セキュリティチェックを通過すると、国際線と国内線が混在していて、よくわからない。
モニターを見ても、ラパス便のゲートはブランク。
うろうろしているうちに、飛ぶ牛発見。
アエロメヒコ・カウだ。
目つきが...。
正面。
いろんなお店を冷やかすが、わりとみんな高い。
普通にスカーフがぶらさがっているような店で、ケースにも入れずに展示しているのだから、きっと数千円だろうと思ったら、2万とか5万とか。
ぶらぶらしていると、Lushの石鹸ふうにドライフルーツを並べているお店に呼ばれて、試食させてもらった。
見た目が珍しいのだけれど、写真はNGだそうだ。
かなり甘いけれど、おいしくて、ちょっぴり欲しいけど、いまいち安くない。
旅に出ると、頭の中はマレーシア価格にスイッチするので、なんでも高いと感じる。
ひととおり冷やかしたら、PCコーナーで各自、ケータイに充電。
それにしても、ゲート番号が決まらない。
ラパス便より遅いフライトのゲート番号も決まっているのに。
本当に今夜飛べるのかと、やや不安になってくる。
そういえば、ホテルは朝食なしだっけ?
何か買っておかねば。
そんなときには、セブンイレブン。
ドーナツとミネラルウォーターとココナッツ風味のヨーグルトドリンクを買っておく。
なんどとなく、ラパス便のゲートをチェックしにいくが、いっこうにモニターはアップデートされない。
1時間前になろうという時点でもまだ。
いよいよアエロメヒコのカウンター探して、どうなっているか聞きにいくかぁ、と重い腰を上げたときに、やっとゲート番号が出た。
AM2074 メキシコシティ2125 ラパス2247
私の席はエコノミークラスの前から2列目。
おとなりは不在。
前回はロサンゼルスから、今は亡きアエロカリフォルニアというのでラパスに飛んだ。
途中でエルモージョという空港を経由し、着陸した瞬間、草食動物みたいなのがいっせいに走りだしたのを覚えている。
エルモージョからは日が暮れて、下界には何も見えなかった記憶。
それもそのはず、帰りは昼だったが、ひたすら砂漠と、点在するサボテンと彼方に海岸線。
夜の砂漠じゃ、なんにも見えないだろうな...。
機内冷え冷えとしているので、あえて隣の冷え冷えとした席に移ってまで外を見ようなんて思えなかった。
さて、旅程表には「軽食」が出ると書いてあったけれど、出て来たのは、またまたピーナッツとドリンクだけ。
日本線だからハポネスが出るのかと思ったら、ここでもcacahuates japones。
(あとから知ったが、カカウアテ・ハポネスというのは、醤油味のピーナツで、メキシコでは超普及しているスナックらしい。)
ドリンクは、コロナライト。
コロナずきなのだけれど、ライトを飲んだことがないので、あえてライト。
レッドブルのロング缶のような、さわやかなルックスだった。
空き缶を回収すると、ほどなく着陸。
タラップを降りると、砂漠地帯なのに、なんとなくもわっとしている。
とにかく、着いた着いた!
成田を飛び発って、22時間ちょい。
家を出てから、26時間半。
ラパス
空港の建物に入ると、小さいがきれいな空港。
日本人は一人もいない。
トイレに行かないダイバー婦人たちは、ラパスじゃなかったんだ。
それに、アメリカ人すらいない。
到着した人びとは、皆知り合い同士のようにみえる、ローカルな感じ。
ターンテーブルには、犬が入ったケージもあった。
無事われわれの荷物も出て来て、外に出ると、出口横のタクシーカウンターでチケット(USD32)買ってホテルへ。
空港を出ると、街灯がない。
ところどころ道が冠水している。
木も倒れている。
こわれた看板...
そこらじゅうにハリケーンの爪痕くっきり。
有名なくじらのテールのモニュメントのあたりも、ぼろぼろ...。
やがて町中に入ると、灯りはあった。
ポサダ・ルナ・ソル
ホテルに着くと、おじいさんが出て来て、宿帳ファイルをパラパラ。
かなりマニュアルちっくな管理である。
「これ?」「それじゃない」なんてやりとりを数分。
「これ?いや、もうPAIDだね」とのんびり。
やっと見つかったと思ったら、サンライダーズから連絡するようにメッセージを預かっているとのことで、電話をかけてくれる。
オフィスの男性と話をすると、「あしたのトランスファーは8時、ダイビングは3本ですね」という確認と、ショップでコンチネンタルブレクファストを用意するとのことだった。
な~んだ、セブンで買い物しなくてよかったじゃん。
予想はしていたが、このホテルにエレベーターはなく、おじいさんひとりしかいないので、荷物の軽い私は、2階の部屋までダイビングバッグをひっぱりあげた。
ホテルは外装、内装ともにかわいらしいのだが、古さは否めず、はっきりいってぼろい。
でも、この値段だからね、と妙に納得。
ダイビング器材をひっぱりだして、シャワー浴びたら、さっさと就寝。
長い長い長い1日がやっと終わった。
バルセロナやアテネも遠かったが、これが1日の移動距離をゆうに更新したと言えよう。