7月8日。セレベス・エクスプローラー下船日。
朝食は午前6時半、下船が7時というスケジュール。この日は、マレーシアの有名なアーティスト(アーティストという名詞が最適なのかは疑問。俳優であり、歌手であり、コメディアンで、サモ・ハン・キンポーみたいなルックスらしい。)ご一行様を新たに迎え入れるそうで、かつ、シアミルへの移動日ということもあって、下船が早かった。船のスタッフいわく、そのアーティストは、マレーシアでだけ超有名で、他に行ったら、ぜ~んぜん、なんだそうだ。
前の晩、朝食は、ナシゴレン、ミーゴレン何がよいかと聞かれた。ミースープかミバサとお願いしたが、ミバサが出てきた。きょうはどうも塩の量を間違えたようで、かなりしょっぱい。お米の水も、時々間違えるようで、とても固いごはんが出てくることもあった。新しいコックは、分量は超ざっくり系なのだろう。
下船時間がちょっと早すぎるんでないの?と思ったが、日の高くならない涼しい時間帯でのボート移動は、楽だった。朝8時にはセンポルナに着き、シーフェスト・ホテル側ではなく、ドラゴン・イン側のJETTYにボートを着けた。私は、タワウにゆこうともくろんでいたので、ドラゴン・インでの休憩つきにはしていない。一緒に下船した人が、ドラゴン・インで休憩つきと思っていたのに、彼女のクーポンにはNO DRAGON INNと書かれていて、ドラゴン・インなしだったことが判明。荷物も一度、ボートからあげたのに、また積みなおし、シーフェスト側のJETTYに移動。労力とガソリン、両方ともムダだなぁ。このドラゴン・インを使わない場合は、シーフェスト・ホテルの隣にある、ボルネオ・グローバルというバックパッカーむけダイビングサービスのオフィスで休憩することができる。アリババによるタワウ空港への送迎はお昼すぎだから、私はミニバスでタワウへゆく。ミニバス乗り場は、SHELLとKFCの間にあるが、ここまでの、徒歩10分弱で、すっかり汗をかきどろどろになった。ドブをまたいで乗り場に着くと、すかさずドライバーから「TAWAU?」と聞かれ、車内に乗り込むように言われる。ミニバスは、人が集まり次第発車するシステムなので、無駄なく人を詰め込んだら出発。満員になるまで、約15分ほどかかっただろうか。発車直前に13リンギットの集金があり、1時間半、猛スピードでドライブ。エアコンがないので、窓は全開、吹き込む風で、髪の毛ボサボサ。走行中ずっとiPhoneをいじっていたら、バッテリーがほとんどなくなってしまった。
タワウでは、スーパーを2件ハシゴし、いろいろ買い込む。ココナッツプリンが食べたくてタワウに来たのだが、おめあてのオーシャン・レストランは、残念ながら改装中でクローズ。タワウの佑記茶室に行って、ミースープを食べた。テタレも飲んだ。おいしい。SABINDOの屋台のミースープより、町のミースープの方が、私の口にはあう。
タワウの昼はもちろん暑いが、日本の猛暑時に比べれば、ずっと楽だ。タワウ空港に戻り、おみやげをスーツケースにつめて、チェックイン。このチェックインのおじさんも、いつも見る人だ。去年、外国でのコミュニケーションも、すべて日本語でやり通すという同行者たちが、「いてて、いて」とひざを押さえ、演技したら、「Emergency Row!」と、非常口の列をくれたおじさんだ。KLから東京は、時間が長く、足をのばして眠って帰りたいので、「Emergency rowがあったらお願い」といったら、なんでこんなに時間がかかるの?と思うくらい時間がかかった。いつも他人のチェックインは、なんでこんなに時間かけてんだろう、と思うが、まさに自分がそのケースだ。
KK着は15時すぎ、KLゆきの便は19時だ。わずか3時間強だけでも町に出る。今回はスパに寄る時間もない。だいぶ汗をかいたので、KKで、予算2500円くらいで服とサンダルを買って、ハイアットのトイレで顔を洗って、着替えて帰ろう。KKプラザの美容院の前でメニューを見ていると、すかさず、どーぞ、と招かれた。髪は収拾つかなくなっているし、これはもうカットしてしまいたい。カットとシャンプーをお願いすると、「スタイリストのご指名は?」とを聞いてくる。一見だし、知らない、っつーの。「誰でもいいです。」と、5リンギットのトレイニーでもいいよ、と思いながら返事をするが、「それではシニアスタイリストで。」と言われた。髪型だけは、ちょっと前の山ピーみたいな、こぎれいにしている男の子がシャンプーとカットをしてくれることになった。シャンプーは、カット席で髪を湿らせつつ、その場でシャンプーするのだ。かなり時間をかけて泡立てるが、前髪があがったら、変眉になっていて、しまった!と思った。セレベス・エクスプローラーを降りる前に、日焼け止めとアイブローだけ描くという手抜きだったが、薄暗い船室で、適当に描いたので、おかしなことになっている。長いシャンプーののち、頭はソフトクリーム状態でシャンプー台に移動し、すすぎ。マレーシアやシンガポールのサロンでは、よくシャンプーボーイならぬシャンプーババァがいて、乱暴に髪を洗ってくれるが、ここはスタイリストがシャンプーボーイも兼ねている。もちろん、顔にガーゼを置く、なんて配慮は、日本ならではだから、そのまま顔に水もしゃばしゃばかかる。でも、日本のサロンのサービススタンダードとのギャップにももうなれた。カット席に移動すると、「どの髪型がいいですか?」と、日本のヘアカタログを差し出されるが、髪質や顔の形によって、カタログどおりにはならないので、長さと要望だけ言って、おまかせにする。最初は、控えめに切っていたが、そのうち、そうでもなくなってきた。途中、髪型にはとても気合の入った男性スタッフが外から戻ってきて、鏡に映る自分の姿に魅入り、合わせ鏡までして後頭部チェックをし、ポーズを延々と決めていた。髪とファッションだけキメキメで、他が髪について行っていないアンバランスさと、ナルシストなのに、始終ミロのパックをチューチューすっている、というのがおかしくて、笑いたいやら、突っ込みたいやらだったけど、なんとか耐えた。こちらは、これでもかこれでもかと思うほど、レイヤーを入れられた。おかげですっきり。費用は39リンギット、約1200円だった。同じKKプラザ内で、日本でも着られそうなワンピースを約1000円でGET。iPhoneで時間を見ると、17時1分。ハイアットに行って着替えて、即、スリメラカでサユルマニスを食べて、空港にゆけばちょうどよいだろう。
KKプラザを出ると、日は西に傾いていた。この季節、ドリアン販売車は出ていない。KKプラザから郵便局の横の道には、夕方から夜にかけて、ナシブンクス(KKのはラップに包んだごはん)やクエ(マレーシアのお菓子)、揚げ物やフルーツの市が立ち並ぶ。適度に冷やかしつつ、ハイアットにしれっと入り、トイレをめざす。トイレには誰もおらず、着替えもらくらくできる。それに、鏡の横に、さしてくださいといわんばかりにコンセントがある。そういえば、iPhoneがバッテリー切れ寸前なので、ここのコンセントをちょっとだけ拝借しようかな、と思ったところで、iPhoneがないことに気がついた。瞬時にやられた!と思った。KKプラザを出たとき、時間チェックをiPhoneでして、バッグにちゃんと入れればいいものの、取り出し容易なリュックのポケットに入れたのがいけなかった。絶対、いちばん郵便局よりに出ていた店で、クエをのぞいたとき、背後で右往左往する輩がいたので、あれだ。私の後ろから品物を見ているのかと思い込んでいたが。このマーケット界隈は、昔からスリが多く、KK出身のダイブマスターさえも、「この間KKに帰ったときに、気がついたら、かばん開けられてたから、気をつけて。」と言われるポイントなのだ。今まで何もなかったからと、油断は禁物だ。ものの5分で気づいたわけだが、どうしようもない。スキありだった私がいけないのは重々承知で、盗んだ犯人を呪いつつ、まずはソフトバンクへ停止を依頼しなければならない。もちろん、そんな連絡先は控えていないので、ネットカフェへ飛び込み、ソフトバンクの電話番号を調べる。しかし、ネットカフェはADSLとはいうものの、すさまじく遅い。SoftbankのキーワードでGoogle検索、Englishページがヒットし、そこから日本語に移り、サイトマップから問い合わせ先を探す。20分1リンギットだが、15分で、この4画面の遷移がやっとだった。探しているうちに、KLゆきの便の出発時間が近づいている。どこかのホテルにとびこんで、そこの公衆電話からかけようかと思ったが、ホテルまでゆく時間もない。サユルマニスで夕食どころではなくなった。そして、はいてきたサンダルはこわれかけで、捨てるつもりできたので、何か夏用サンダルを買わねば。センターポイントまで歩いて、グラディエーターサンダルを1200円程度で購入。もっと安いのでも良かったが、ちょっと日本ではくと違和感がありそうだった。そして、ワリサン側の出口から出て、タクシーを拾い、あわてて空港へ。ボーディングパスの搭乗時間ぎりぎりに着く計算だ。ソフトバンクには、空港の公衆電話から電話しようと思うが、携帯が普及した今日、新空港の中には電話がみつからない。通りかかった空港職員に「電話はありませんか?」と聞いたら、1箇所だけ、それも、イミグレーションより前ってことで、KLIAに着くまであきらめる。不幸中の幸い、私のiPhoneは、ほとんどバッテリー切れだったのと、さまざまな不具合があるので、そうそう使うことはできない。下手すれば、起動だってあやしいのだ。これで被害が最小限に食い止められれば、と思う。
KLゆきの便に乗って、やれやれ、とひと息。搭乗口でボルネオ・ポストをピックアップし読む。すると、シパダンへの1日あたりの人数制限を倍増する話がもちあがっていることが書かれていた。リゾートやツアーのオペレーターたちは、ゲストの満足のためにも、シパダンの人数制限の緩和を前から求めてきているが、いたずらに人数を倍に増やすことで、水中環境にダメージを与えてしまったらもともこもないので、しかるべき専門家に、いったいどのくらいの人数を許容できるものなのかをリサーチをしたうえで、適切な数を決定するべきだと、政府に要請した、といったようなことが書かれていた。専門家ってのがどんな人たちで、どんな調査をすれば、適正人数が出るんだろうか。。
KLIAに着き、ブックショップでフォンカードを買い、ようやくソフトバンクに連絡ができた。飛行機に乗ると、Emergency Rowには、すでに女性がふたり座っていた。「お間違いではいらっしゃいませんか?」、と言いたいところだったが、一応、ボーディングパスを再確認すると、私の列は1列後ろ。タワウのチェックインのおっさん、Emergencyの1つ後ろの列を、間違ってとっていたことが判明。キーっ。しかも隣の日本人ビジネスマンふうの人は、たいへん迷惑なお休みの仕方をする人で、こっちにたおれかかるは、通路側にたおれかかるは、非常に邪魔くさかった。電車じゃないんだ。悪いが、なんどか押し戻しておいた。1回目の食事はパスしてそのまま眠る。おじさんが時々邪魔だったことと、首が痛くなったことをのぞけば、まあ、よく眠った方だと思う。朝、アテンダントに起こされると、ちゃんと1回でベジタリアン・ミールが出てきた。起きぬけで味もしないし、やたら質素だし、おいしくない。食べ終わったあとで、ふたをかぶせると、ふたには「ヴィーガン・べジタリアン」とシールが貼ってあり、別の乗客の名前がついていた。私がたのんだのはアジアン・ヴェジタリアン。ヴィーガンというのは、最もストリクトな、正真正銘のべジタリアンがオーダーするものだ。きっとその人のところに私のアジアン・ベジタリアンが行ったにちがいない。アジアンで大丈夫なのかな?知~らない、っと。やっぱり、MHって、なんか抜けてる。
日本に着くと、まずはいったん家に帰る。家に着いたら、外ではもうアブラゼミが鳴いていた。まだ7月9日だが、セミが鳴いたら、梅雨明け宣言がなかろうが、梅雨明けだと私は思っている。器材洗いと洗濯をすませ、簡単に昼食をとって、ソフトバンク経由会社へゆくことにした。ソフトバンクで、「携帯を盗まれて、そのあとの手続きに…」というと、ショップスタッフのお姉さんは、大げさな表情で「さよーでございますか。」、そして端末で個人情報を調べると、さらに大げさな同情を示す表情で、「しかもなくされたのはiPhoneだったのですね!?」と女優している。iPhone購入時の分割金がまだ残っているので、ここで再び、顔も知らぬ犯人をのろってみる。新しい電話機は、なんでもいいのか、前と同じiPhoneがよいのか、新型のiPhone3G Sがよいのか、ということからはじまった。私の場合、iPhoneでなければ、別にソフトバンクを使い続ける理由もなく、iPhoneだからこそソフトバンクにしているのだ。「今までと同じiPhoneで」と言ってはみたものの、すでに一度不具合で新品交換されているし、その後も不具合が多いので、多少余分な費用はかかるが、新型にしてもらうことにした。どうせ新しいのがほしくなるんだし。新型は在庫がなく1週間待ちとのことで、携帯のない生活を何日か送ることとなった。そのあと会社にゆき、アポロケーキやマンゴグミを配りながら、携帯が盗まれた話をすると、「携帯は何かの身代わりだったと思うように」と言われた。うーむ。
そして、今日、7月16日、iPhone 3GSをとりにいった。帰りに、マンションのエレベーターで乗り合わせた中学生の男の子に、「すげー!iPhoneだ!いいなぁ。」と言われた。日本では、もうiPhoneなんて全然珍しくないので、iPhoneを使わない世代とはいえ、すげー、と中学生が言うのにちょっとびっくりした。クルーズではスタッフが「Seriously、そのiPhoneを買い取りたい」と言った。買い取ったて、SIMカードがなければ使えないのに。KKあたりでは、町の看板にiPhoneが登場しだしているが、まだまだレアなのだろう。ちなみにセレベス・エクスプローラーに乗る香港人は、1月もそうだったが、今回もiPhone所有率が非常に高く、みんなラウンジで充電するので、まぎらわしくなる。旅先でも、外国人はよくiPhoneを持っているが、なんでスタッフは、日本人のケータイと見ると、いじりたがったり、買いたがったりするのだろう。
その一方で、iPhoneは、去年の発売当初、あれだけニュースで話題になったのに、私のまわりではいまだ認知度が低く、SMS打っていると、「さっきなんで外で計算機たたいてたんですか?」とか、「新しいゲーム機?」なんていわれてしまう。これが、若い人も、年配の人もだ。興味がない人には、まったく眼中に入らない携帯なのかもしれない。船で、スタッフに「ケータイ見せて」、「だめ!」と引っ張り合いになるのもいやだし、道端で盗まれるのこりごりなので、次回からは、ケータイは、ひたすら身につけるか、常に隠し持とうと思う。目にふれなければ、盗みのターゲットにもならないし、見せて攻撃もないはず。
何事においても、常に周囲に注意をはかり、油断するなということをあらためて学んだのが、今回の旅。ケータイだけじゃなくて、ダイビングだって、エキジットのとき、もう何も起こらないものと、漫然と浮かんでいて、実際、真下にはマンタがいたり、ということもあるわけで、何事も最後まで気は抜けません!
朝食は午前6時半、下船が7時というスケジュール。この日は、マレーシアの有名なアーティスト(アーティストという名詞が最適なのかは疑問。俳優であり、歌手であり、コメディアンで、サモ・ハン・キンポーみたいなルックスらしい。)ご一行様を新たに迎え入れるそうで、かつ、シアミルへの移動日ということもあって、下船が早かった。船のスタッフいわく、そのアーティストは、マレーシアでだけ超有名で、他に行ったら、ぜ~んぜん、なんだそうだ。
前の晩、朝食は、ナシゴレン、ミーゴレン何がよいかと聞かれた。ミースープかミバサとお願いしたが、ミバサが出てきた。きょうはどうも塩の量を間違えたようで、かなりしょっぱい。お米の水も、時々間違えるようで、とても固いごはんが出てくることもあった。新しいコックは、分量は超ざっくり系なのだろう。
下船時間がちょっと早すぎるんでないの?と思ったが、日の高くならない涼しい時間帯でのボート移動は、楽だった。朝8時にはセンポルナに着き、シーフェスト・ホテル側ではなく、ドラゴン・イン側のJETTYにボートを着けた。私は、タワウにゆこうともくろんでいたので、ドラゴン・インでの休憩つきにはしていない。一緒に下船した人が、ドラゴン・インで休憩つきと思っていたのに、彼女のクーポンにはNO DRAGON INNと書かれていて、ドラゴン・インなしだったことが判明。荷物も一度、ボートからあげたのに、また積みなおし、シーフェスト側のJETTYに移動。労力とガソリン、両方ともムダだなぁ。このドラゴン・インを使わない場合は、シーフェスト・ホテルの隣にある、ボルネオ・グローバルというバックパッカーむけダイビングサービスのオフィスで休憩することができる。アリババによるタワウ空港への送迎はお昼すぎだから、私はミニバスでタワウへゆく。ミニバス乗り場は、SHELLとKFCの間にあるが、ここまでの、徒歩10分弱で、すっかり汗をかきどろどろになった。ドブをまたいで乗り場に着くと、すかさずドライバーから「TAWAU?」と聞かれ、車内に乗り込むように言われる。ミニバスは、人が集まり次第発車するシステムなので、無駄なく人を詰め込んだら出発。満員になるまで、約15分ほどかかっただろうか。発車直前に13リンギットの集金があり、1時間半、猛スピードでドライブ。エアコンがないので、窓は全開、吹き込む風で、髪の毛ボサボサ。走行中ずっとiPhoneをいじっていたら、バッテリーがほとんどなくなってしまった。
タワウでは、スーパーを2件ハシゴし、いろいろ買い込む。ココナッツプリンが食べたくてタワウに来たのだが、おめあてのオーシャン・レストランは、残念ながら改装中でクローズ。タワウの佑記茶室に行って、ミースープを食べた。テタレも飲んだ。おいしい。SABINDOの屋台のミースープより、町のミースープの方が、私の口にはあう。
タワウの昼はもちろん暑いが、日本の猛暑時に比べれば、ずっと楽だ。タワウ空港に戻り、おみやげをスーツケースにつめて、チェックイン。このチェックインのおじさんも、いつも見る人だ。去年、外国でのコミュニケーションも、すべて日本語でやり通すという同行者たちが、「いてて、いて」とひざを押さえ、演技したら、「Emergency Row!」と、非常口の列をくれたおじさんだ。KLから東京は、時間が長く、足をのばして眠って帰りたいので、「Emergency rowがあったらお願い」といったら、なんでこんなに時間がかかるの?と思うくらい時間がかかった。いつも他人のチェックインは、なんでこんなに時間かけてんだろう、と思うが、まさに自分がそのケースだ。
KK着は15時すぎ、KLゆきの便は19時だ。わずか3時間強だけでも町に出る。今回はスパに寄る時間もない。だいぶ汗をかいたので、KKで、予算2500円くらいで服とサンダルを買って、ハイアットのトイレで顔を洗って、着替えて帰ろう。KKプラザの美容院の前でメニューを見ていると、すかさず、どーぞ、と招かれた。髪は収拾つかなくなっているし、これはもうカットしてしまいたい。カットとシャンプーをお願いすると、「スタイリストのご指名は?」とを聞いてくる。一見だし、知らない、っつーの。「誰でもいいです。」と、5リンギットのトレイニーでもいいよ、と思いながら返事をするが、「それではシニアスタイリストで。」と言われた。髪型だけは、ちょっと前の山ピーみたいな、こぎれいにしている男の子がシャンプーとカットをしてくれることになった。シャンプーは、カット席で髪を湿らせつつ、その場でシャンプーするのだ。かなり時間をかけて泡立てるが、前髪があがったら、変眉になっていて、しまった!と思った。セレベス・エクスプローラーを降りる前に、日焼け止めとアイブローだけ描くという手抜きだったが、薄暗い船室で、適当に描いたので、おかしなことになっている。長いシャンプーののち、頭はソフトクリーム状態でシャンプー台に移動し、すすぎ。マレーシアやシンガポールのサロンでは、よくシャンプーボーイならぬシャンプーババァがいて、乱暴に髪を洗ってくれるが、ここはスタイリストがシャンプーボーイも兼ねている。もちろん、顔にガーゼを置く、なんて配慮は、日本ならではだから、そのまま顔に水もしゃばしゃばかかる。でも、日本のサロンのサービススタンダードとのギャップにももうなれた。カット席に移動すると、「どの髪型がいいですか?」と、日本のヘアカタログを差し出されるが、髪質や顔の形によって、カタログどおりにはならないので、長さと要望だけ言って、おまかせにする。最初は、控えめに切っていたが、そのうち、そうでもなくなってきた。途中、髪型にはとても気合の入った男性スタッフが外から戻ってきて、鏡に映る自分の姿に魅入り、合わせ鏡までして後頭部チェックをし、ポーズを延々と決めていた。髪とファッションだけキメキメで、他が髪について行っていないアンバランスさと、ナルシストなのに、始終ミロのパックをチューチューすっている、というのがおかしくて、笑いたいやら、突っ込みたいやらだったけど、なんとか耐えた。こちらは、これでもかこれでもかと思うほど、レイヤーを入れられた。おかげですっきり。費用は39リンギット、約1200円だった。同じKKプラザ内で、日本でも着られそうなワンピースを約1000円でGET。iPhoneで時間を見ると、17時1分。ハイアットに行って着替えて、即、スリメラカでサユルマニスを食べて、空港にゆけばちょうどよいだろう。
KKプラザを出ると、日は西に傾いていた。この季節、ドリアン販売車は出ていない。KKプラザから郵便局の横の道には、夕方から夜にかけて、ナシブンクス(KKのはラップに包んだごはん)やクエ(マレーシアのお菓子)、揚げ物やフルーツの市が立ち並ぶ。適度に冷やかしつつ、ハイアットにしれっと入り、トイレをめざす。トイレには誰もおらず、着替えもらくらくできる。それに、鏡の横に、さしてくださいといわんばかりにコンセントがある。そういえば、iPhoneがバッテリー切れ寸前なので、ここのコンセントをちょっとだけ拝借しようかな、と思ったところで、iPhoneがないことに気がついた。瞬時にやられた!と思った。KKプラザを出たとき、時間チェックをiPhoneでして、バッグにちゃんと入れればいいものの、取り出し容易なリュックのポケットに入れたのがいけなかった。絶対、いちばん郵便局よりに出ていた店で、クエをのぞいたとき、背後で右往左往する輩がいたので、あれだ。私の後ろから品物を見ているのかと思い込んでいたが。このマーケット界隈は、昔からスリが多く、KK出身のダイブマスターさえも、「この間KKに帰ったときに、気がついたら、かばん開けられてたから、気をつけて。」と言われるポイントなのだ。今まで何もなかったからと、油断は禁物だ。ものの5分で気づいたわけだが、どうしようもない。スキありだった私がいけないのは重々承知で、盗んだ犯人を呪いつつ、まずはソフトバンクへ停止を依頼しなければならない。もちろん、そんな連絡先は控えていないので、ネットカフェへ飛び込み、ソフトバンクの電話番号を調べる。しかし、ネットカフェはADSLとはいうものの、すさまじく遅い。SoftbankのキーワードでGoogle検索、Englishページがヒットし、そこから日本語に移り、サイトマップから問い合わせ先を探す。20分1リンギットだが、15分で、この4画面の遷移がやっとだった。探しているうちに、KLゆきの便の出発時間が近づいている。どこかのホテルにとびこんで、そこの公衆電話からかけようかと思ったが、ホテルまでゆく時間もない。サユルマニスで夕食どころではなくなった。そして、はいてきたサンダルはこわれかけで、捨てるつもりできたので、何か夏用サンダルを買わねば。センターポイントまで歩いて、グラディエーターサンダルを1200円程度で購入。もっと安いのでも良かったが、ちょっと日本ではくと違和感がありそうだった。そして、ワリサン側の出口から出て、タクシーを拾い、あわてて空港へ。ボーディングパスの搭乗時間ぎりぎりに着く計算だ。ソフトバンクには、空港の公衆電話から電話しようと思うが、携帯が普及した今日、新空港の中には電話がみつからない。通りかかった空港職員に「電話はありませんか?」と聞いたら、1箇所だけ、それも、イミグレーションより前ってことで、KLIAに着くまであきらめる。不幸中の幸い、私のiPhoneは、ほとんどバッテリー切れだったのと、さまざまな不具合があるので、そうそう使うことはできない。下手すれば、起動だってあやしいのだ。これで被害が最小限に食い止められれば、と思う。
KLゆきの便に乗って、やれやれ、とひと息。搭乗口でボルネオ・ポストをピックアップし読む。すると、シパダンへの1日あたりの人数制限を倍増する話がもちあがっていることが書かれていた。リゾートやツアーのオペレーターたちは、ゲストの満足のためにも、シパダンの人数制限の緩和を前から求めてきているが、いたずらに人数を倍に増やすことで、水中環境にダメージを与えてしまったらもともこもないので、しかるべき専門家に、いったいどのくらいの人数を許容できるものなのかをリサーチをしたうえで、適切な数を決定するべきだと、政府に要請した、といったようなことが書かれていた。専門家ってのがどんな人たちで、どんな調査をすれば、適正人数が出るんだろうか。。
KLIAに着き、ブックショップでフォンカードを買い、ようやくソフトバンクに連絡ができた。飛行機に乗ると、Emergency Rowには、すでに女性がふたり座っていた。「お間違いではいらっしゃいませんか?」、と言いたいところだったが、一応、ボーディングパスを再確認すると、私の列は1列後ろ。タワウのチェックインのおっさん、Emergencyの1つ後ろの列を、間違ってとっていたことが判明。キーっ。しかも隣の日本人ビジネスマンふうの人は、たいへん迷惑なお休みの仕方をする人で、こっちにたおれかかるは、通路側にたおれかかるは、非常に邪魔くさかった。電車じゃないんだ。悪いが、なんどか押し戻しておいた。1回目の食事はパスしてそのまま眠る。おじさんが時々邪魔だったことと、首が痛くなったことをのぞけば、まあ、よく眠った方だと思う。朝、アテンダントに起こされると、ちゃんと1回でベジタリアン・ミールが出てきた。起きぬけで味もしないし、やたら質素だし、おいしくない。食べ終わったあとで、ふたをかぶせると、ふたには「ヴィーガン・べジタリアン」とシールが貼ってあり、別の乗客の名前がついていた。私がたのんだのはアジアン・ヴェジタリアン。ヴィーガンというのは、最もストリクトな、正真正銘のべジタリアンがオーダーするものだ。きっとその人のところに私のアジアン・ベジタリアンが行ったにちがいない。アジアンで大丈夫なのかな?知~らない、っと。やっぱり、MHって、なんか抜けてる。
日本に着くと、まずはいったん家に帰る。家に着いたら、外ではもうアブラゼミが鳴いていた。まだ7月9日だが、セミが鳴いたら、梅雨明け宣言がなかろうが、梅雨明けだと私は思っている。器材洗いと洗濯をすませ、簡単に昼食をとって、ソフトバンク経由会社へゆくことにした。ソフトバンクで、「携帯を盗まれて、そのあとの手続きに…」というと、ショップスタッフのお姉さんは、大げさな表情で「さよーでございますか。」、そして端末で個人情報を調べると、さらに大げさな同情を示す表情で、「しかもなくされたのはiPhoneだったのですね!?」と女優している。iPhone購入時の分割金がまだ残っているので、ここで再び、顔も知らぬ犯人をのろってみる。新しい電話機は、なんでもいいのか、前と同じiPhoneがよいのか、新型のiPhone3G Sがよいのか、ということからはじまった。私の場合、iPhoneでなければ、別にソフトバンクを使い続ける理由もなく、iPhoneだからこそソフトバンクにしているのだ。「今までと同じiPhoneで」と言ってはみたものの、すでに一度不具合で新品交換されているし、その後も不具合が多いので、多少余分な費用はかかるが、新型にしてもらうことにした。どうせ新しいのがほしくなるんだし。新型は在庫がなく1週間待ちとのことで、携帯のない生活を何日か送ることとなった。そのあと会社にゆき、アポロケーキやマンゴグミを配りながら、携帯が盗まれた話をすると、「携帯は何かの身代わりだったと思うように」と言われた。うーむ。
そして、今日、7月16日、iPhone 3GSをとりにいった。帰りに、マンションのエレベーターで乗り合わせた中学生の男の子に、「すげー!iPhoneだ!いいなぁ。」と言われた。日本では、もうiPhoneなんて全然珍しくないので、iPhoneを使わない世代とはいえ、すげー、と中学生が言うのにちょっとびっくりした。クルーズではスタッフが「Seriously、そのiPhoneを買い取りたい」と言った。買い取ったて、SIMカードがなければ使えないのに。KKあたりでは、町の看板にiPhoneが登場しだしているが、まだまだレアなのだろう。ちなみにセレベス・エクスプローラーに乗る香港人は、1月もそうだったが、今回もiPhone所有率が非常に高く、みんなラウンジで充電するので、まぎらわしくなる。旅先でも、外国人はよくiPhoneを持っているが、なんでスタッフは、日本人のケータイと見ると、いじりたがったり、買いたがったりするのだろう。
その一方で、iPhoneは、去年の発売当初、あれだけニュースで話題になったのに、私のまわりではいまだ認知度が低く、SMS打っていると、「さっきなんで外で計算機たたいてたんですか?」とか、「新しいゲーム機?」なんていわれてしまう。これが、若い人も、年配の人もだ。興味がない人には、まったく眼中に入らない携帯なのかもしれない。船で、スタッフに「ケータイ見せて」、「だめ!」と引っ張り合いになるのもいやだし、道端で盗まれるのこりごりなので、次回からは、ケータイは、ひたすら身につけるか、常に隠し持とうと思う。目にふれなければ、盗みのターゲットにもならないし、見せて攻撃もないはず。
何事においても、常に周囲に注意をはかり、油断するなということをあらためて学んだのが、今回の旅。ケータイだけじゃなくて、ダイビングだって、エキジットのとき、もう何も起こらないものと、漫然と浮かんでいて、実際、真下にはマンタがいたり、ということもあるわけで、何事も最後まで気は抜けません!