はじめて潜った南の海が久米島。
ちょうど30本め、超初心者だった。
力量もないのに、周囲の人びとの思いやりと協力でトンバラに連れていってもらい、これで完璧にダイビングにはまった。
(ただ、「クマノミ城に行きたいんですけどぉ~…」という、いかにも若い女子っぽい要望は、ヤローども、いえ、じぇんとるめんに却下された。)
そこには、青くてクリアな海、白い砂、地形、サンゴ、回遊魚、マクロ、島に漂うのんびりした空気と、私がダイブトリップに求めるすべてがコンパクトに詰まっていた。
あーんど久米仙。
なので、今もって久米島への思い入れは強い。
シパダン、モルディブに並ぶ好きな海は久米島だと言える。
なのに、足が遠のいて久しいのは、やはり私が持っているダイビング器材がトロピカル対応しかできていないことと、コスパの問題。
毎年、今年こそは久米島へ、と思っても、限りある休みとバジェットが、それを許さない。
だから朝は久米島産あぶら味噌でごはん、夜は久米島の久米仙を、シークワーサーも久米島産にして、久米島にこだわってみる。
行かなくなって久しい久米島同様、もともとダイビングワールド派だったので、買わなくなって久しいダイビング雑誌。
月刊ダイバーは、せっかく写真はキレイなのに、あんまり旬でない芸能人をフィーチャーしているのに賛同できないから買わない。
マリンダイビングは、昔から変わらぬつくりにホッとするけれど、購買意欲はかきたてられない。
そうは言っても、毎号両誌とも、立ち読みはしっかりしている。
3月号のマリンダイビングには、ちょびっとだけ久米島の特集があって、
「海外ですか?」
「い~え、久米島なんです」
とか書かれていた。
確かに久米の写真は、特徴的な地形が入っていないものだと、シパダンと区別がつかないラインナップ。
アケボノハゼをはじめて見たのも久米島で、ちょうどアケボノがメジャーになりはじめた時代のことだ。
しかも、はじめて水深50メートルまで連れられての観察。
浅いときには水深12メートル程度から、あちこちにいるシパダンとちがって、深海に一匹、孤高に暮らす久米島のアケボノは凛として、異様なオーラとありがたみがある。
1匹だけのアケボノを、みんなDECO必至で囲むのだから、引っ込めてはたいへん、あまり近づけない。
おまけに、今は窒素酔いフリーの私も、当時はくらくら…。
スジクロユリハゼにヘルフリッチも、はじめて見たのは久米だった。
他の海ではお目にかかったことのない、コブシメのハッチアウトなんかも見せてもらった。
あとはシャイなブレニーず。
モンツキカエルウオ…寄ると出てきてくれない。
ギンポも出てこない…。
超失敗写真だけど笑える、シャイすぎて目つきが悪くなってしまった!
久米ではマンタもたまに出て、お約束のマンタポイントではない場所で見るマンタってのはうれしいもの。
トンバラの大迫力地形。
トンバラで見るイソマグロの数の方が、シパダンやモルディブより多い。
2mくらいありそうな真っ黒なGTが、シルバーに輝くメスを2匹も従えて威風堂々と現れたこともある。
ダッと来てダッと去る、ワイルドなギンガメもいる。
こうなると、いないものは、縞々のバラクーダぐるぐるくらい?
イマズニでは、タイワンカマスの群れはよく見たけれど…。
ビーチも、畳石、はての浜と美しい。
公園で水面休息、お弁当を食べていると、トカゲが人を通り道として歩いて行ったりする(鳥の足みたいで、けっこうがさっぽくて痛い)自然の豊かさ。
ダイビングをはじめるまでは、爬虫類なんて、ギャーだったが、今は南国のトカゲやヤモリは平気になった。
他の離島より、那覇から近くて、でも、久米が沖縄一バラエティに富んでいる。
こうして、久米を考えると、久米に行きたくてしかたない。
寒さを感じにくい燃焼系になるために、ロクハンでも少ないウェイトで潜れるよう、ワークアウトして、来年の冬こそは、トンバラのハンマーヘッドを狙いたいもの。
が、毎年そう言って早何年!?
毎年、秋口までは、来シーズンは、絶対冬の久米に行く!と決意も固いが、銀杏が黄色くなるころには、簡単に決意はゆらぎの繰り返し。
さて、久米からはずれて余談。
同じく3月号、月刊ダイバーの方は、「世界遺産への旅 スリランカ」という特集が組まれていた。
日本人はスリランカで心やすらぐ的なことが書かれていたが、私はその逆だった。
昔、モルディブにゆくには、エアランカ(現在のスリランカン航空)が主流で、モルディブに行くには、コロンボ1泊が必要だった。
まず、コロンボ空港に着くと、変なニオイがした。
私は成田のにおいはわからないが、成田が醤油くさいと言われるのと同じノリ?
ちなみに、ミュンヘンは牛のニオイがして、コタキナバルは夏草の匂いがする。
でもコロンボは、ぶっちゃけ、臭かった。
さらに、コロンボ観光もするというもので、とにかく一刻も早く、まだ見ぬモルディブに行きたいと思ったものだ。
仏歯寺というお寺の、お釈迦様の歯が奉納されているという、たいへんにありがたい土禁の間まで入れてもらったのに、私には響かなかった。
まあ、うちは浄土真宗。
そして、ドロドロの川にいるゾウを見に行き、ゾウに乗せてももらった。
スリランカでのすべてが、全然、楽しめなかった。
ルビーも、ぜんぜんよくなかった。
紅茶も別に…
当時、一番よいと言われていたヒルトンでもシャワーの水は真っ茶色だったし、ヒルトンでも食事がおそろしくまずかったし、ローカルレストランの名物カレーもまずかったし…
ここにいたら、難なく痩せると思ったものだ。
スリランカを好きな人はとことん好きで、世界中旅をしつくしたような人がよく、いちばん好きな場所としてスリランカをあげるらしい。
当時、海外旅行初心者だったから、私はそのよさがわからなかった、ということで。
両誌とも3月号は、私の初久米島とか、初モルディブのために、ただ一度だけ立ち寄ったスリランカといった、超初心者時代を思い出させる内容だったので、写真を貼ってみたしだい。
スリランカには、二度と行くことはないが、久米島なうなレポートを、いつの日かできるといいな。