くらぶとろぴか

きもちはいつもシパダンの海の中。シパダンとコタキナバル旅の備忘録、ときどき弾丸、そしてホームワークアウトおたく。

バリのスパ~マンゴツリースパ

2008-10-07 07:32:26 |  スパ
バリに来たら、やっぱりスパははずせない。

バリには魅力的なスパがたくさんあるが、マンゴずきの私は、迷わずクプクプバロンマンゴツリースパ

マンゴツリースパは、ウブドにあるホテル・クプクプバロンの中にある。

クプクプバロンは、ラグジュアリーという形容詞をもって表現されること

が多い、どうみてもハネムーナーやカップルむけのホテルだ。実際に

ホテルのエントランスに入ってみると、敷居の高い感じはあまりなく、

どちらかというとすっきりとまとまっている感じだ。スパのレセプション

からマンゴツリースパまでは、スパのスタッフの案内で連れて行って

もらう。しばらくホテルの敷地内の階段を下っていくと、右手にマンゴツリースパが現れる。名まえのとおり、大きなマンゴの木の

上に建てられた小屋がトリートメントルームなのだ。小屋への階段には1段1段、中央にフランジパニの花が飾られていた。

小屋の入り口側から眺める限り、正直、そんなにファンシーな感じはしない。


ひとたび小屋に入ると、目の前にはアユン渓谷のパノラマ。なかなか

感動的。そして心地よい甘ったるさのアロマが漂う。バルコニーのき

わまで行って下界をながめると、けっこう切り立っていて、眼下にヴ

ィラの屋根、そしてもっと下には段々畑があり、そのもっともっと下に

アユン川。まさに絶景。川では「キャー~」と言いながらラフティングに

興じる人たちが見えた。ボートはとても小さく見えて、すごい高度差。

さてメニューは、旅行会社経由のスペシャルパッケージで、2時間半でUS140ドルというもの。

まずはマンゴ色のKIMONOに着替え、トリートメントはフットバスからはじまる。フットバスには、お花が浮いていて、ちゃんとバス

ソルトも入れてくれ、バスフォームで足を洗ってくれる。今までのどこのスパよりも、フットバスはていねいな感じがした。

続いてマッサージ。マッサージオイルもマンゴ。マッサージのタッチはマイルドな感じで、とてもリラックスできたが、意識はあった。

それからマンゴシュガースクラブ。日焼け後だと、粗めのつぶつぶがあたるだけで痛い。そのせいかスクラビングはせず、全身に

塗ってそのままボディラップ。スクラブを洗い流すとき、シャワーの排水口になにか落ちていると思ったら、フランジパニが飾られて

いた。ちょっとかわいそう・・・。シャワーとトイレのブースには扉もないし、トイレからもアユン渓谷の絶景が広がる。外から見える

わけではないが、おそろしくかつすばらしく開放的なのだ。だいたいどこもスパでも、トリートメントルームは薄暗いものだが、ここは

自然の光が入り、本当に明るい。

そしてマンゴボディローションで仕上げのあと、濃厚マンゴジュースのサービス。ボルネオで

なじみの黄色いフィリピンマンゴとちがって、バリのマンゴの皮は緑色だった。甘さ控えめ、

繊維質たっぷりで、とてもおいしかった。ときに甘すぎると思うほど、甘いマンゴの香りに

あふれたスパだった。そして、エアコンを使わないところがなによりもよく、自然の風のみ

なので、寒くなることもなかった。またいつの日か、アユン渓谷の絶景をながめてみたい。


ライステラスへ~ワカデウマ

2008-10-06 22:20:48 |  旅行
バリにはマンボウにあいたくてやって来たが、同じくらいに田んぼも切望してやってきた。
なぜだかとても田んぼの中にいたかったので、ライステラスがウリのワカデウマをに泊まった。「Waka di Ume」、ワカ・ディ・ウメと読めるが、ローカルの人々はワカデウマと発音している。

ヌサペニダへの寒いさむ~いダイビングのあと、頭から大量に熱を放出したことによる疲れで、サヌールからウブドへの車の中は、頭をごつんごつん窓にぶつけながら、ほとんど寝ていた。ウブドパレスのあたりで目がさめ、ずいぶん人がいるなあ、と思いながら坂道を上がって数分、ワカデウマのエントランスは、道端にぽつんと現れた印象だ。入り口の右手には、ヒンドゥー教をお祀りしている。ヒンドゥー教では聖なる牛の表情がとてもいいのだ。




チェックインをすませ部屋にむかうと、待望のライステラスが一面に広がる。昼にはツバメが、夜にはホテルが舞う。



蓮も多い。


部屋のベッドは天蓋つき。床は大理石。あとは木や椰子の木の葉を使った、ナチュラルでシック。素敵な部屋だ。


部屋の前は、広めのテラスになっている。

ところがワカデウマに着くと、さっそくダイビング器材を洗い、ウェットを干し、せっかくのテラスは台無し。他のゲストから景観をそこねる、と怒られるかな、と思ったが、干すしかない。

こうしてダイビング器材を洗っているうちに、せっかくのアフタヌーンティーのサービスの時間が終わってしまっていた。ちぇ。自分のせいだし、気をとりなおしてしばらくホテル内散策をすることにした。

部屋の真上はヨガルームだったので、さっそく行ってみるが、誰もいなかった。
私はヨガも瞑想もしないが、目の前には一面のライステラスで、理想的なヨガスペースだろうな。

プールもあったが、ウブドは涼しかったので入ろうという気持ちにはならなかった。

ホテルの敷地内にはこんなぷち熱帯雨林なところもある。


そして、そこここにいろんな石像が置かれている。
バリでは神なカエルさん。


カメに乗った神様。


スパの入り口にある、いい表情の石像。


アフタヌーンティーをのがし、いまさらお茶でもないしもうディナーにしてしまえ、という話になった。そういえばせっかくバリに来て、ダイビングのときに出たランチ以外、バリらしいごはんは食べていない。ワカデウマから町へのシャトルは2時間に1本ほど、夜22時まであるが、たった1日のスティなので、ワカデウマを満喫したいし、そのままホテルのレストランで夕食をとることにした。18時からビンタンビールを飲み始め。ライステラスのサンセットを期待していくが、薄曇りなせいか、あまりパッとしない。ローカルメニューにしょうと私はナシチャンプルーを選んだ。おいしいのだが、やはりホテルだと、味、サービスともに洗練されていて、本当のローカルフードを食べた気がしない。私たちにはミーゴレンやらナシチャンプルーという、おのおのかなりのボリュームのプレートがあるのに、ビールには大量のピーナッツ、そしてペストリーまで出てきて、それだけでおなかいっぱいになってしまう。


さてワカデウマでは、毎週水曜朝に田んぼトレッキングを開催している。
たまたまチェックインを担当してくれたスタッフが、「明日のトレッキングは僕が担当。7時に。 」といわれるがまま、参加の運びとなった。

そして翌朝7時にレセプションに行くと、トレッキングのスタンバイをしていたのはスラバヤからのご夫婦が一組だけ。ミネラルウォーターはホテルが用意してくれた。友だちは小笠原の漁協で買った通称漁サン、私はグラディエーターサンダルでトレッキングという暴挙。それしかないのだから仕方ない。まあ、写真で見る限り、ホテル周辺の田んぼは段々ではなく平坦だし、特に注意事項も聞いていないし、なんとかなるだろう。スラバヤ夫妻と私たちとガイドさんの計5名だけでひっそりとワカデウマを出発。ホテルのライステラスからはじまるのかと思ったら、ホテル前の舗装された坂道を下りはじめた。しばらくは道の両側に水田が広がっているので、もしかしてただの散歩がトレッキングか?と思うくらい、舗装道路を歩き続ける。帰りが上り坂なのはいやだなあ、なんて思いながら。しばらく坂道を下っていくと、民家や商店がならぶようになる。犬たちのチェックが入りがちな道だが、彼らは決して自らのテリトリーを越えないようだ。そして、歩き始めて15分くらいだろうか、途中で舗装されていない横道に入る。そこは、小学生低学年くらいのこどもたちがなにやらおつとめをしていた。そしてトレッキングのはじまり。急勾配の土の道を降りはじめる。いきなりの山道スタートに、ゲッと思っていると、すかさずガイドから「Trecking!」のひと言。そして下りきったと思ったら、山とはいえないのだろうけれど、こんどは山道を登りはじめる。もうちょっと寝てるとか、田んぼをボーッと見てるようにすればよかったかなあ、なんて思ってしまう。こんな調子じゃ、私にはやはりキナバル山リベンジは無理だ。日当たりの悪い、なんとなくジメジメした土の道が嫌いだ。パラオやカカバンのジェリーフィッシュレイクへとゆく道も、大嫌いだった。途中、いつか落ちるのではないかと思える、太いバンブーかなにかを3本くんだ橋をわたったりする。幸いなことに、この山道は数分でとぎれ、突然視界が開け、ホテルから見えるなんてもんじゃない、一面、広大な水田が広がる。見渡す限り、田んぼ。とても爽快。そしてただただ横幅が40~50センチの畦道をひたすら歩く。畦道は、でこぼこしていたり、ときどきぬかるんでいたりする。うっかりしていると、けつまずいたり、泥にずぼっと足をとられたり、足元注意なので、せっかくの景色をきょろきょろ見回す余裕はない。田んぼを見ている限り、魚沼の田んぼとあまり変わりないように見えるが、遠くにココナッツやバナナの木があるのを見ると、南国を感じる。それとウブドの水田は、伝統的な灌漑方法らしい。スラバヤの奥さんも、「どこが違うのかわからないけれど、スラバヤのとは違うわ。」と言っていた。

ときどき、グァッ、グァッ、グァッといった声がすると、アヒルたちが稲の中から次々と出てくる。かわいい。どうか鳥インフルエンザが世の中からなくなりますように。


途中、お供えをしている農民がいた。ガイドはそれを見て「ビュククン!」と言った。ビュククンとは、収穫を神に感謝するヒンドゥー教の儀式のことらしい。


足元を見ている時間の方が長いトレッキングも終わりに近づくと、農民とすれちがうことが多くなった。女性たちは皆頭に物をのせて、バランスよく細い畦道を歩いている。おそらく近くに農家の集落があるのだろう。すれ違うたびに「すらまっぱぎ」と挨拶。そこには観光ズレしていないひとびとの笑顔があった。番犬も多く、通りかかるたびに吠えられまくる。家畜小屋が見えてきて、中には牛の親子がいた。とても穏やかな表情をしていてほほえましい。


歩き初めには、帰りにだらだらと続く上り坂を心配したものの、トレッキングコースはそのまま来た道を戻るのではなく、ホテルの近くの道に帰って来れるようになっていた。ホテルに帰るとそのままレストランへ。朝食前に1時間半のウォーキングで、とてもおなかがすいた。宿泊料金に含まれていたのはアメリカンブレックファストのみ。ホントはブブールアヤム(鶏のおかゆ)がよかったのだけれど・・・。でもコーヒーもおいしかった。そういえばバリといえばジンジャーティーなのに、ジンジャーティーを飲まなかったことに大後悔。景色見たさにレストランのテーブルは屋根のない場所へ。朝とはいえ強い南国の直射日光にうたれながら、「やっぱり田んぼは朝だね。」なんて言いつつ、オムレツ、フルーツ、パンをぱくぱく。暑かった・・・。

部屋に戻り、そこはかとなく香る、いや、確実に臭う、まだ生乾きっぽいウェットやBCをパッキングしていたら、なんだかやたらに立ちくらみ。貧血?あんなに食べたのに、血が足りないとは何事?一品片付けると、へろへろ~となってしまう。あ、冷静に考えたら、熱中症か日射病の超軽いやつくさい。きっとレストランで炎天下日にあたっていたからだ。あわててミネラルウォーターの1.5リットルを1本飲んだら、めきめき回復した。

12時チェックアウトで、20時間くらいしかいなかったワカデウマ。でも田んぼは十分堪能した。トレッキングで2度ほどぬかるみに足をつっこんだので、サンダルはドロドロになった。帰ってきたとき、ちゃんとサンダルと足を蛇口からジャージャー出る水で洗ったのだが、チェックアウトのとき、トレッキングのガイドをしてくれたレセプションのお兄さんに、「サンダルが汚れているよ。」と指摘された。確かに足元を見ると、サンダルが完全に乾いたら、塗れていたときにはサンダルの黒と泥の焦げ茶が保護色効果だったのか、流れ落ちたと思っていた土が、まだずいぶんくっついていた。「もうぼろいし、どこかでパンパンと払うから大丈夫。」と言ったが、わざわざシュークリーナー担当の女の子を呼んできてくれた。再度、丁重にお断りをしたが、女の子は私のサンダルを持って消えていった。お兄さんによれば、トレッキングのコースどりは複数あるらしいが、私たちの履き物の具合で簡単なコースを選んでくれていたらしい。しばらくたつと、さっきの女の子がひと夏はきつぶしたグラディエーターサンダルを、靴墨でピッカピカに磨いて持ってきてくれた。サンダルがボロかっただけに気まづい。たった1泊だけで、しかももう去るだけのゲストにも、なんて親切なんだろう。ワカデウマのホスピタリティは素晴らしい。

ウブドは、王宮もモンキーフォレストも何も見ていない。田んぼを見ていただけ。でも、海からやってきた私が田んぼを必要としている時間は短く、これで十分だ。多くの人はウブドにはまるが、私はやはり海優先。でも、きっとまたいつの日か、ここに来たくなると思う。ワカデウマはそんな場所だ。

エスケープ・コンドテル Scape Condotel

2008-10-04 00:33:51 |  旅行
ヌサ・ペニダへのボートはサヌールから出るので、サヌールに泊まった。
2007年2月開業という新しさと安さで、エスケープ・コンドテルを選んだ。
1泊4000円台だったし、悪くない!


予約はバリの現地旅行会社の特別料金でとってもらったが、その旅行会社も、エスケープ・コンドテルへの送客がはじめてなのか、ホテルになかなかたどりつけなかった。
サヌールのメインストリートに入ってから、ドライバーとガイドがきょろきょろしはじめるが、結局、通りのはしからはしまで、3回半行きつ戻りつしてやっとみつかった。
だって、通りぞいに建っているレストランの奥にひっそり建っているのに、看板も控えめすぎる。





レストランの敷地を荷物といっしょにぞろぞろと歩き、ホテルのレセプションにゆくと、これがまた小さい。たたみ2枚分くらいなイメージ。
ダイビング器材を持って2人でダイビングサービスからの迎えを待つと、それだけでいっぱいになってしまうほどの小さなスペース。


が、部屋はなかなか広い。しかも2階建てのメゾネットだ。
1階にはリビングになっていて、キッチン、トイレ、ソファがある。
インターネットは無料でワイヤレスが使え、レセプションでパスワードをくれる。




2階がベッドルーム。



ベッドルームの右手奥にバスルームがある。部屋は広々としていて、バルコニーもついている。でも、バルコニーでの干し物不便。


ホテルの中央には、細長いプールがある。



このプールをはさんで、2棟が向かい合わせに建っているので、部屋のカーテンを開けると、お互いまる見えな感じだ。
毎朝、7時前に従業員がプールに浮いた葉っぱやらゴミを拾っているが、水になんとなく淀みがあって、入ろう、って気持ちにはなれなかった。

ガゼボらしきものもあり、ここでマッサージが受けられるもよう。



庭やプールでのんびりくつろぎたい感じではない。部屋は、広さがあるので、まあまあくつろげる。日中、ダイビングに行ってしまい、寝るときくらいしか部屋にいなかったので、コストパフォーマンスは高く、一言で言えば、「悪くない!」な、エスケープ・コンドテルだった。

もらもらっとバリ

2008-10-01 19:34:13 |  ダイビング
マンボウにあいたくてバリへゆく。

バリには昔、サンガラキへ行く際のトランジットで1泊だけしたことがある。それも夜着いて、翌朝暗いうちには出発という、仮眠のためだけに。夜だからビーチも景色も見えず、ローカルフードを食べることもなく。バリの真髄にはなんらふれることのないまま、バリの印象を決定づけたのは、デンパサール空港のいんちきポーターとうざいホテルスタッフ。こやつらと渡り合うことに無駄なエネルギーを費やし、すっかりバリぎらいになっていたので、実質はじめてといってよいバリに、あんまりわくわくはしない。マンボウの話がなければ、バリにまた行こうとは決して思わなかっただろう。

くしくもバリへ出発する9月27日の朝、出かける間際に見たTVでえりも沖の秋サケ漁に異変、かんじんのサケは不振、かわりにマンボウばかりがひっかかるというニュースをやっていた。TVには、網にマンボウごろごろの映像。むむ、これはバリでマンボウが見られる予兆?それともこの映像で見納め?この2週間、いろんなダイビングサービスのブログを読んだが、どうも最近はマンボウの出がよくなさそうだ。でも、今回のバディは関西人で、たまたま大瀬崎にやってきたら、マンボウが出たという、マンボウの神がついているかもなバディなのだ。

ニュースでは、マンボウは本来暖かい海の魚で、えりも沖の海水温が異常に上昇しているのがマンボウ大漁の原因、と言っていた。「暖かい海」、「異常な海水温上昇」という表現でも、その水温は20度。いまやシパダンでさえ寒いと思っているやわなダイバーには、それがどんな感じか想像もできない低水温だ。バリだって、マンボウねらいのヌサペニダの水温は17~25度らしい。少なくとも5ミリのウェットスーツが必要。でも16キロ激ぶとりの結果、5ミリウェットを着るのに爪が折れるわ、なんとか着たら着たで背中はしまらないわ、自力で脱ぐこともできないわになっていた。マンボウ見たさがモティベーションづけとなり、減量をはじめたら見事に成功。5ミリを最後に着たときの体型に戻れた。出かける前に、もう一度ウェットを試着しようと思ったら、サイズ的にはぜんぜん問題なくなったが、激ぶとり中に無理やり着ようとしたときにファスナーを破壊したらしく、ファスナーが1ミリたりとも動かない。力で解決しようとしていた自分のバカさかげんがなさけない・・・。仕方がないので、3ミリのフルスーツと3x2ミリのフルスーツと半袖ジャケット2ミリ、すべてサーフィンのウェットスーツの重ね着でのぞむことになった。ウェットの重ね着は、暖かくはないので、寒いだろうなあ、と思うと、1ダイブで辞めとこうかな、と、これまたネガティブ。

ニュースもそこそこに家を出て、都営浅草線の三田駅に着くと、タイミングよく快速成田空港ゆきが来た。なかなか幸先のよいスタート。乗り換えなく、かつ他の電車に抜かれることもなく、そのまま成田空港までゆけた。今回バリにはSQでゆく。インターネットチェックインをしていたので、荷物を預けるだけだが、前に並んでいたインド人ファミリーは、なぜだかとても時間がかかっていた。でもこのインド人ファミリー、全員品がよく美形なのだ。美しい人たちを見ると、なんだかいいことがありそうに思えてしまう。そしてはじめてA380の2階席に乗ってみたが、飛んでしまえばなんらかわりはない。でもタイガービールもおいしく飲め、快適。シンガポールからバリのフライトでは隣の席が、ダビデ像のようなこれまた美形の男性で、やっぱり幸先よいスタート、と思ったり、手ごわいデンパサール空港を思って憂鬱になったり一喜一憂。

デンパサール空港に降り立つと、とにかく急ぎ足でビザ窓口をめざす。メナドのときは、飛行機から降りるのが最後の方になったら、ビザ取得に1時間も並ぶハメになった。ところが「VISA ON ARRIVAL」の窓口へゆくと、エコノミークラス乗客の中では一番乗りで、すぐに手続き完了。しかも窓口の女の子は、頭数を裁くことこそわが命と思っているようで、こちらが10ドルごそごそ用意している間に、早くしやがれといわんばかりに、あとから並んでくる人々に、次々と滞在日数を聞いてゆく。感じは悪いが、メナドと違ってすばらしい迅速さ。そして入国手続きも2分たらずで完了。シールビザを見ると、斜めっていた。ここまでは早かったが、荷物がターンテーブルから出てくるには延々と待たされた。このターンテーブルから空港出口のミーティングポイントまでが最大の難所だろう。過去の経験で、インドネシアでは、どこの空港でもポーターが半ば強引に荷物を運ぼうとした。いったん持たれようものなら、金を払わずに奪い返すのには相当なパワーが必要なので、私の荷物には指1本ふれさせぬ、とひとり殺気だっていたが、ポーターたちは、隣の動いていないターンテーブルにすわったままダベっており、客からのコンタクトを待っているだけ。この普通の有料ポーターに加え、さらにタチの悪いいんちきポーターが有名なデンパサール空港。以前のデンパサール空港の出口のごたごたぶりを思い出すと、いんちきポーターにかかわることなしにブルーバードタクシーまで無事にたどりつく自信がなかったので、今回はホテルと送迎ごとバリの現地旅行会社に手配をたのんであった。ホテルまでの送迎2000円。2000円払っても、「シェンエン、シェンエン」に会うよりはずっといい。ところが今回、いんちきポーターらしき影はまったくなかった。税関を抜け外へ出ると、バリの各旅行社の出迎えも、昔と比べるとずいぶん規律正しく並んでいて、すぐに送迎の人と会えた。なんだか拍子ぬけした。でもよいことだ。いんちきポーターは排除されたのか、それとも、2日後に控えたラマダン明けにそなえて、出稼ぎの人々が里帰りをしているからか。車に乗ると、「神の島バリへようこそ。」と言われた。旅行会社の送迎スタッフの女性は一生懸命日本語で話すし、私はいいかげんなマレー語で答える、ちゃんぷるーな感じ。いんちきなマレー語でも、そこここで「マレーシアから来たのか」と言われてしまい、やはりバハサインドネシアとバハサメラユは同じようでもずいぶん違うようだ。宿泊は、ダイビングに便利なサヌールにある、「エスケープコンドテル」というシンプルな新しいホテルに泊まった。


一晩明けて9月28日。バリに来る前の晩に発熱し、マレーシアから買ってきたサイ印の解熱水を飲んで熱を下げた状態だったので、少しでも長く睡眠をとりたかった。でも、夜明け前の真っ暗なうちから、一番鳥のコケコ攻撃で睡眠不足。

朝7時50分、ダイビングサービスの迎えでサヌールの船着き場へ移動。ゲスト3人+2ガイドという、なかなか楽な人員構成。ダイビングボートが泊まっているところまで、海の中をちょっとだけ歩くが、足に水につけた瞬間、水がとても冷たく感じる。ああ、こんな浅いビーチでも冷たいのだから、ダイビング中はどんなに寒いのか、おそろしい。それに、さすがサーフィンのバリだけあって、沖ではブレイクしているし、リーフの内側でさえけっこうな白波がたっている。そんなんで、ダイビングボートは乗り始めからけっこう揺れてくれた。サービスにはあらかじめマンボウ目的を伝えてあったので、ダイブサイトはヌサペニダ。50分、スピードボートでガンガンとばす。ずっとたたきつけられる系のゆれだ。私は船酔いはしないが、21世紀になってからは、ポイントまですぐのシパダンか、モルディブのクルーズばかりだったので、長いボート移動だけで疲れるなあ、と思ってしまった。

1本めはチェックダイブをかねてマンタポイントへ。ヌサペニダのダイビングポイントがある側は一面絶壁で、波が激しく岩に打ち寄せている。砕ける波がかっこいい。重ね着ウェットでの適正ウェイトがよくわからないまま、とりあえず4キロつけてエントリー。その瞬間からとても冷たく感じる。そしてオーバーウェイトでずぶずぶ沈む。でも病み上がりとは思えない耳の抜けのよさで、鼻さえつままない。水中は島に打ち寄せる波によるサージがあり、ずっとゆらゆら。だいたいどこでもマンタポイントといえば、着底して見るところが多く、岩になれとか動くなといわれるので、すぐロックにつかまりたくなる。でも、ここは違う。水底はほぼ不毛なのに、ブリーフィングではロックにはつかまろうとせず、ひたすらサージに揺られるようにということだった。

マンタポイントはダイバーで混みあっていた。マンタは、ブラックマンタ、ホワイトマンタとりまぜ、次から次へとクリーニングステーションである三角にとがったロックの上にまわってくる。クリーニングステーションには上がらないようにというブリーフィングだったが、ほかのボートからのダイバーたちが、ガイドもひっくるめてしっかり三角ロックの上にあがり、追うはさわるはだった。けしからん。寒いし、もうだいぶマンタを見ていた気がしたので、ダイコンを見ると、水温は25度、そしてまだ潜水開始から14分しかたっていないことが判明。いったいこの体感温度であと30分ももつんだろうか。そしてもっと寒いであろう、マンボウのクリスタルベイはどんなんだろうと、先が思いやられた。



2本目は、マンボウ期待のクリスタルベイ。寒さにびびりつつエントリーするが、ぜんぜん寒くない。マンボウは、高水温でも出ることがあるらしいが、やはり25度以下で出ることが多いようだ。となると、寒いのはいやだが、寒くないのも困りもの・・・。ガイド2名体制でマンボウを探すけれど、この水温のせいか、マンボウの影はなかった。キンギョハナダイやメラネシアンアンティアスがいっぱいいた。ここのキンギョハナダイは大ぶりだし、みな鯉の滝登り状態になっていた。他の場所のキンギョたちより、鍛えてそうだ。クジャクベラ系やスカシテンジクダイ系を観察。

2ダイブ終了後、クリスタルベイに泊めたボート上でランチ。前はお寺。ランチはBOXランチで、サンドイッチ、ナシゴレン、ナシチャンプルーのBOXがあった。私はナシチャンプルーにした。ナシチャンプルーには、白いご飯、塩味のミーゴレン、サテ、魚のフライ、鶏カラ、それとパイナップルもついていてボリュームも満点。味もなかなかよい。冷めていてもこれだけおいしいんだから、暖かかったら、さぞおいしいだろう。

3本目はトヨパカというポイント。ここにもたまにマンボウが出るらしいが、マンボウはやって来ないという確信のもとパス。ここまで来ると、マンタポイントやクリスタルベイの岩がちな感じから、いっきょに視界がひらける。ボートでぼんやり聖なるアグン山と、クイックシルバー号からのバナナボートやジェットスキーでキャーキャーやってるおそらくチャイニーズやコリアンをながめて日焼けした。皆が帰ってくると、マンボウはやはりお留守だったらしい。

サヌールに戻ると、干潮で思い切り引いていた。浅瀬には、白い花がいっぱい浮いていた。おそらくジュゴンが食べるであろう海菖蒲系が、いっせいに開花したようだ。





ビーチのカフェ(?)で、ログづけ。本日のガイドのミッちゃんが見なかったマンボウの絵を描いてくれた。かなりユニークな作品だった。足元には、犬やハトがほっつき歩く平和な昼下がり。ハトは日本のドバトとちがって慎ましやかだ。

「マンボウがいなくても、楽しかったね」と言える1日だった。今回、お世話になった「GO DIVE BALI」さんが愉快だったのだ。みんなも行けばわかる。

夕方、不慣れなサヌールをじゃらんじゃらん。空には凧がいっぱいで平和な感じだ。ローカルフードを求めてさまようが、こじゃれたイタリアンとか、通りには欧米風の店ばかりだ。せっかくだから土地のものがたべたい。しばらく歩くと、パサールがあった。おいしそうだが、めちゃめちゃハエが止まっていたり、ピサンゴレンもみんな手づかみだったりして、ちょっとひいてしまった。また、いつも行き当たりばったりな私たちは、どっちに行けば何がある、なんて調べてないので、「スーパーでなんか買って帰ろう」ということになった。でも、たいしたスーパーもない。結局サークルKで、カップめんとビンタンビールとマグナムアイスを買った。カップめんも、マレーシアより個性がないし、NISSINが主流だった。こうしてビーフ風味のカップ麺でしょぼいディナーとなった。


2日目。朝食がついていないので、前の晩、Kマートで買ったチキン味のカップ麺を食べる。レッドブルでタウリン1000g注入してから出かけた。この日はガイト1名にゲスト2名だけ。なんとなくマンボウとの出会いは、来年以降に持ち越しかなと、ネガティブになりつつも、懲りずにクリスタルベイをリクエスト。サヌール沖では、何人ものサーファーが波乗りしていた。サーフィンも自転車やスキーのように、一度おぼえたらずっとできるものなのかしらと、今世紀になって一度も波乗りしたことがない私は、ちょっとサーファーたちをうらやましく思った。ボートはやはり揺れたが、波と遊ぶバンドウイルカの群れがボートの近くにやってきて、なんとなくいい1日になりそう。

クリスタルベイにエントリーすると、前の日とはうってかわって水が冷たい。こんな寒いんだからマンボウは絶対来る!と思ったり、寒いだけで終わったらいやだなあ、と思ったりの繰り返しで、時間だけが過ぎていく。水面で27度あった水温は、深度下を泳いでいるうちに、冷たい潮がいろんな方面から来て、25度、24度とどんどんさがってくる。マンボウ出ないなら早く上がりたいくらいだ。18分たったとき、前方に、10名ほどのダイバー軍団が見えてきた。こんなに混んでちゃね、と思っていたら、ガイドがその方向を指差している。よくみると、ダイバーたちの手前にうっすら、これまで見たことのない形のものが、もらもらっと見えてきた。別のサービスからのダイバーたちは、皆、マンボウから相当の距離を保って、お行儀よく見ていた。そしてマンボウがクリーニングを終えて深みに消えていくとともに、彼らもいなくなった。

彼らが消えると、私たちのガイドは少し外洋側に移動し、深度をさげると、またまた斜めの物体が。そこにはまた別のマンボウがいた。水深31メートルで間近に見るマンボウ。あとで聞いた話では、わたしたちのガイドからは、下の方に別のマンボウがいるのが見えていて、みんながワッと集まるのを避けるために、彼らが去るのを待っていたらしい。マンボウさがしのポイントはうろうろしているハタタテダイにあるよう。マンボウはダイバーには無関心で、クリーニングに夢中。ときどき動く目がかわいい。それに、クリーニングしている連中も、なんだかきれいどころばかりだ。ハタタテダイにタテキン、そして黄色いチョウチョウウオたち。このときの水温は23度。




2本目。もう一度マンボウが見たいと、再度クリスタルベイをリクエスト。冷水塊が次々おそってきて、そのつど「ギャー!」「ぎぃえ~!」と叫んでしまう。そういえばさすがに寒くてもスプリングで潜りがちな白人たちも、みんなここではフルスーツを着ている人ばかりだ。そして21度にまでさがったとき、その冷たい潮とともに、3度目のマンボウが現れた。

念願のマンボウで、デジカメのぞいているのももったいなくて、あまり写真はとらなかった。マンボウはいつももらもら~っと漂いながら現れ、ぽよーんと夢見心地の表情でクリーニングされ、またもらもら~っと深海に去っていく。マンボウは海の大物にちがいないが、テンションはあがらない。マンボウのちょっと間抜けな目と口、不思議な形の愛され顔で、ひたすら癒されてしまう。

2ダイブ後はまたボート上でランチ。前の日、ランチの希望を聞いてくれていて、ミーゴレン、それもう~んと辛くして、と頼んでおいたら、本当にからかった。ものすごい量のチリが乗っていた。でも、そんなチリてんこ盛りでも汗ばまないほど、体は冷えていた。2ダイブだけでサヌールに帰ったら、まだ12時半だった。
今回はダイビングは2日間だけで、ウブドへ移動だ。ウブドじゃなくて、ダイビングにしておけばよかったかなぁと、バリの海に未練を残しつつ、サヌールをあとに。


マンボウに遇えて本当によかった。マンボウで癒され、マンボウで減量でき、マンボウでバリのよさも見出すことができた。えらいぞもらもら。