シンガポール~KKへ朝5時半に、チャンギ国際空港ターミナル2の「
プラザ・プレミアム・ラウンジ」の仮眠エリアを出たが、KKゆきのシルクエアーの出発時刻は、午前8時50分。まだ3時間半近くあった。ラップトップコーナーで、しばらくネットにつないだり、免税店をひやかして時間をつぶした。おなかがすいたが、機内食もあるので、不要なカロリー摂取は避け、カフェでホットコーヒーとココナッツクッキーのスナックだけにした。
ボーディングパスに書かれた搭乗時間は出発1時間前。ふだんはそんなにゆとりをもってゲートには行かないが、することもないので、今日はさっさとゲートへすすんだ。KKゆきのシルクエアーのゲートにゆくと、私の前に並んでいた、マレー系とおぼしきおじさん4人連れが、セキュリティゲートのところを、行きつ戻りつになっていた。4人が4人皆、ゲートを通るとブザーが反応して、携帯を出しに逆戻り。そして、ラップトップを手荷物に入れたままスクリーンを通し、これもまた取り出すといった具合で、誘導係の若い男性職員が、奥の検査官に、「手際が悪いぞ、コラ!」と叱られていた。みんなの前で叱られるのは気の毒だったし、おじさんたちもわかっちゃなかったが、おにいさんの要領が悪いのだ。ボーディングパスリーダーにボーディングパスを通すと、半券と一緒に、マレーシアの出入国カードを渡された。げ。1回廃止になっていたのに、また復活?
ゲートでぼんやり外を眺めていると、まだ朝も早いのに、KKゆきとなる便の機材は、どこかから飛んできて到着したばかりのようで、貨物室から荷物をおろしているところだった。到着便の荷物をトロリーに載せ終わると、こんどは出発便に積み込む荷物がやってきた。自分のスーツケースが、ベルトコンベヤーで貨物室へと消えていくのを見て、一安心。全部の荷物が積み込まれると、スーツケースが2個、貨物室から押し戻されてきた。きっと、KKゆきの荷物じゃなかったのだろう。こうしてロストバゲージが起こるんだな、と思った。そのあと、別の荷物を積んだトロリーが走ってきて、ぐいーんと急カーブをきったら、スーツケースがドサドサッと、2個、振り落とされるのが見えた。こうして荷物のダメージが起こるんだな、と、チェックドバゲージの受難を垣間見た気がした。
シルクエアーの座席番号は24Aだった。機材のエアバスA319が小さめなので、24にして最後列。さて、シルクエアーで後方に座ると、いつも必ずといっていいほどミールのチョイスがなくなるが、今日は珍しく選べた。シーフードにすると、「スパイシーOK?」と聞かれたが、確かに、スパイシーなシーフードビーフン。悪くない。よく機内で上映される、カナダのドッキリ番組、「Just for Laughs」を見ていたが、続いて、犬らしき動物が車で事故るとか、スポーツで怪我するとか、いつもなんらか痛い目にあうアニメが始まった。ハングルが出てくるから、韓国製なのかな。犬は毎回受難続きで不死身なのだが、私はこのアニメが嫌いなので、しばし眠ることにした。
さて、KK到着が近づくと、窓の下には、次々といろいろな島が見えてきた。天気もよく、南シナ海の青がきれい。
ところが着陸寸前になると、ひどく海が濁ってしまっている。海と滑走路の境目から、コーヒー牛乳色→緑色→青へと、沖にむけて、くっきりと水の色が変わっていく。KKの海に透明度は期待できないが、この赤茶けた色は、明らかに以前の濁りとは違う。空港の新ターミナル建設や、滑走路延長工事の影響で、赤土が流出してしまっているのだろうか。
6月に来た時には、飛行機の離発着のみ新ターミナルで、イミグレーションやバゲージクレームは旧ターミナルという運用だったが、すべての機能が新ターミナルに移っていた。到着ゲートからコンコースに出ると、スタバが目に飛び込んできて、KKらしくないなあ、と思ってしまった。新空港の雰囲気は、KLIA(クアラルンプール国際空港)に似ていて、なんだか無機質な感じだ。規模が大きくなったわりには、人の流れが少なく、まだまだ空きテナントも多く、がらんとして感じる。イミグレーションは結構な行列で、待たされた。黄色いラインの後ろに並ぶように書いてあるわりには、黄色いラインがなかったり、まだまだ完璧じゃない新空港。荷物をピックアップし、外に出ると、ますます人影もまばら感が強くなった。とりいそぎ、街中に比べるとかなり不利なレートだが、MAY BANKで5000円だけ両替したら、MAY BANKラベルのミネラル・ウォーターをくれた。水はいいから、もっとレートをよくしてちょうだい。そしてタクシーチケットを買い、ワリサン・スクエアにある、きょうのホテル、「ラディウス・インターナショナル」へとむかった。チェックインが14時なのを承知でホテルへ行くと、案の定部屋の用意ができておらず、「14時に戻ってきてね。」と言われた。荷物だけ預けて、時間つぶしにひとりじゃらんじゃらんに出発。
きょうのKKランチ
日本にいるといつも恋しく思う、KKのミバサ=ミー・ゴレン・バサと、バクテスープ。バクテは夜だけなので、まずはミバサからだ。WISMA WAWASANというショッピングセンターのフードコートへ行く。平日だったので、まわりはほとんどこのビルのオフィスで働いているらしきビジネスマンやOLっぽかった。このフードコートのNEWSTARという中華の店の前を通ると、いつも女の子たちが、「マカン、マカン」と(makan=eat)と言っているので、ついNEWSTARでマカンしてしまうのだ。NEWSTARは、ナシゴレンもおいしいが、ナシゴレンのことなど、思い出しもしなかった。それほどミバサを切望。機内食を食べてから、そう時間がたっていないので、おなかはぜんぜんすいていない。なのに、ポークの肉団子スープまで頼んでしまった。船に乗ったら、しばらくポークが食べられないと思うとついつい・・・。2品で10リンギット。うーむ。値上がりしたな。きょうは、ついてきたチリが、なぜか青唐中心で、しっかり全部入れたら、とてもHOTだった。ミバサは、やはりこの濃い色のスープ、黄色い麺、シーフードの組み合わせに限る。味はとてもよいのだが、こうしたショッピングセンター内のフードコートや、安めのKEDAIでは、エビやイカといった具の鮮度が悪く、たいていぐだぐだな感じなのが残念だ。おなかがすいていないといったわりには、難なく完食。
1Borneoへ
6月にオープンした、KKの一大ショッピングモール、1Borneo。東マレーシア最大規模で、メガモールだとか、ハイパーモールだとか、普通のショッピングセンターとは違うぞ、な形容詞がくっついている。KKの中心からは離れているし、有名店や高い店ばかりという話で、KKで、そんなブランドものを買うというアイデアはわかないので、あまり興味がなかった。ところが、きょうKKに来るときに読んだ、シルクエアーの機内誌に、1Borneoには水族館もあると書いてあったので、さっそく行ってみることにした。
1Borneoは、KKから車で約20分、UMS(マレーシア大学・サバ校)に近い。UMS自体が、まだ若い大学で、まわりには何もないように見える。エントランスから外を見ると、だだっぴろい野っ原がひろがっていた。1Borneoには、ノボテル、メルキュールといったおフランス系のホテルが2件に、ベストウェスタン系のホテル、他にもコンドミニアムやら、ボウリング場、スパ、フィットネスクラブ、アミューズメントパーク等、さまざまな施設が併設されている。何もない田舎に、唐突に巨大施設ができた感じで、周囲の景色となじんでいない。
ショッピングモールは、オアフのアラモアナ・ショッピング・センターを思い起こす大きさ。ヴィトンなど、高級ブランドが並ぶのかと思ったら、そんなことはなかった。敷居高い系のブランドではなく、CKだとか、高級というよりは、カジュアルな有名ブランドがほとんだ。それでも、こちらの物価水準から比べるとぜいたく品ばかりに思える。ここに来た目的はショッピングではなく水族館だ。インフォメーションに行き、「水族館はどこですか?」とたずねたら、「まだ完成していません。」と言われてしまった。「オープンはいつですか?」と聞いてみると、「今年の暮れです。」との返事。機内誌め・・・。
吹き抜けから下を見たら、地下のフロアに、水中の絵と、SEA WORLDの文字が見えた。確かに、まだまだ建築中だ。物好きに下まで降りていって、予定地の前にたたずんでみた。この囲いの隙間から、中がしっかり見えたが、まだコンクリート打ちっぱなしの、グレー一色の世界だった。水槽になるらしき部分のふちはできていたが、これでは、基盤もできてるかどうか、といった状態だった。それに、水族館の規模としては、あまり大きくなさそうだ。水槽には、どんな生き物は入るんだろうか。囲いにマンタの絵が描かれていたから、マンタは入るのかな?
せっかく来たのだから、ウィンドゥショッピングと思うが、たいしてひやかしたい店もなかった。買い物に来たわけではないが、せっかくここまで来たのだから、ムーンケーキ=月餅くらいは買って帰ろう。今年はどこに行ってもココナッツ月餅がない。なのでドリアン味にした。約270円、こっちの物価から考えると結構高い。1Borneoだから高いのではなく、月餅は、平均して高いのだ。そして、ついついクイックシルバーで、ROXYのbagを購入。店員は、このバッグ+何かもう1品を買えば、5割引になるといったが、Tシャツも、ボードショーツもほしいのがないので、バッグだけでよいとお断りした。でも、キャッシャーに行ったら、5割引きにしてくれた。無駄づかいは終わりにして、ホテルのチェックインタイムもまわったことなので、ホテルに戻ることにした。1Borneoのイメージは、お台場のパレット・タウン。ローカルの富裕層と、旅行者むけの、あまり個性のないテナントにもう用事はないかな、と思うけれど、水族館の水槽の中身しだいでは、また来よう。
ラディウス・インターナショナル・ホテル
ラディウスは去年、ビューのない部屋をとり、部屋が狭くて圧迫感があってイヤだったので、今年はオーシャンビューにしたものの、限りなくシティビューに近い、パーシャルオーシャンビュー。というか、真正面のメリディアンホテルビューといった感じだ。真下を見下ろせば、ひたすらワリサンスクエアの屋根ビュー。アップルホテルズのクーポン利用だから、しようがないといえばしようがない。同じ規格の部屋でも、外が見えると見えないとは大違いで、このホテルの印象は、昨年より大幅にアップ。
ワリサンスクエアの7階がラディウス・インターナショナル・ホテルで、60X号室も、70X号室も、皆、同じ7階のフロアにあり、廊下をはさんで向きあっている。また、ビューのない部屋の窓側の廊下には、バンブーの石庭(?)がある。ビューがない部屋だと、この屋内バンブーをはさんで、お向かいの部屋ビューなのだ。窓をあければ、パブリックスペースというわけで、わざわざここを通りぬける人も見ないが、変な格好して、窓を開けるわけにもいかないのだ。
ホテル内のミーティングスペースというか、喫煙スペースのような場所からのオーシャンビューの景色はなかなかよい。窓の外には、ツバメ系の鳥がたくさん舞っていた。KKのツバメは、飛び方はツバメだが、燕尾ではない。ガヤ、マムティク、スルといった、サピの島々が見える。穏やかな南シナ海。こんな景色が見える部屋ならば、ホテルに引きこもるのもよいが、私の部屋は、たいした眺めではないので、外へサンセットを見にゆくとしよう。ワリサンスクエアを出て、海側の道を歩いていくと、しばらくは道が乾いていたが、セガマを越えたあたりから、道がぬれている。局地的に雨が降ったようだ。
KK市場を過ぎ、SABAH PARK JETTYの手前、昔は不法滞在の人々が建てたJettyがあったあたり、前を通れば、必ず、「あいらんど?」と、島へ渡るボートの客引きがあったあたりが、範囲は狭いが、ボードウォークに生まれ変わっていた。イルカやサカナのモニュメント(?)もある。きょうのサンセットは、空が赤く染まらない、地味なサンセットだ。今まで、夕方、街を歩いていて、サンセットがどんなにキレイでも、適当な佇みポイントがなかったが、ここは夕暮れ時にぼーっとするにはよい。
佑記茶室で肉骨茶
さて、お次は、日本でいつも切望しているバクテだ。けっこう気に入っている新記茶室というバクテ屋の前を通ると、「マカ~ン」と声をかけられたが、どうしても、佑記茶室のバクテが食べたいので、わずかな未練を残しつつスルー。新記も激ウマだし、盛りは佑記よりよい。ジェッセルトンホテル前の佑記茶室に入ると、いつも仏頂面の、チャイニーズのおばあがいる。むっつりとオーダーをとるが、ときどきニヤっと笑うと、妙に愛嬌があるのも不思議だ。そして、スープの味といい、豚肉のやわらかさ加減といい、やはりこの店のバクテは絶品。佑記のよいところは、一人前であれば、食べすぎにはならないこと。腹八分目ですませられるのだ。そして、お会計のときのおばあは、いい笑顔だ。
カンダマンスパへ 今回は、月末にバリに行く予定があるため、そうそう長い休みをとるわけにもいかず、KKでの長居ができない。こうしてKKにいると、バリのことは、どうでもよくなってきて、バリではなく、KKを長くすればよかったと思ってしまう。でも、約束は約束なので、バリには行かなくてはならない。なので、短いKKでの時間で、極力やりたいことはやっておく。仕上げはピナンパンのカンダマンスパだ。そして、ここも値上がりしていた。まったくなんでもかんでも高くなったもんだ。それでも、ここのスパは、良心的な価格設定で、質もよいので満足だ。ココナッツスクラブと、ボディマッサージと、ボルネオフェイシャルで生き返った。ピナンパンからの帰りの車、アピアピセンターでおろしてもらい、やや割高だが、通宵営業(そう書いてある)のセブンイレブンで、レッドブルとタイガービールを買って、ホテルに帰った。ほとんどおっさん。
ホテルに戻ったのは、23時ちょっと前。結局、ラディウスの部屋から外を眺めた時間は、トータル数十分だったように思う。