今朝、駅で電車をぼんやりと待っているときに届いたSMS。
差出人は、タヒチ各島を潜ってきた、中でもここ数年は、ファカラバを一番のホームグラウンドとしている、ダイバー
の元同僚だ。
SMSには、まだハンマーヘッドもタイガーシャークも見ていない、とか、足元にGEKKOが・・・、などと続き、寒風
吹きすさぶ東京で、会社に向かおうとしている私には、ハンマーがいなかろうと、どれほどレアなサメが出なかろ
うと、南の楽園にいるという既成事実を思いうかべるだけで、ただただ羨望。
なんでもファカラバは、ジャイアントハンマーヘッドが、100匹単位のグレーリーフシャークをしたがえて行進すると
いう素敵なところらしい。
それにしても、数年前までは、ダイビングリゾートといえば、電話は部屋にはなく、フロントに行って借りる、それも
通信状態は良好とは言いがたいところが多かった。そんな南の島々も、携帯電話の圏内に入るようになってきた
のだ。
マブールのボルネオ・ダイバーズでは、夜間に小高いところにあがらないと、アンテナがたたないし、セレベス・
エクスプローラでは、マブール停泊中に、デッキに出ないと、携帯はなかなかつながらないが、(ローミング会社を
Maxisに手動設定するとよいらしい。)今は、よほど辺境の地に行かない限り、だいたいどこへ潜りにいっても、
携帯がつながる、というか、つながってしまう!?
5~6年ほど前、モルディブのクルーズに乗ったとき、ローカルのスタッフ達が、ひまさえあれば携帯でしゃべって
いるという、モルディブの今、を目のあたりにしたときには、ああ、ケータイはすでにここにまで普及してしまったか、
と思ったものだ。また、その翌年のクルーズで、ダイビングの時以外は、常時首から携帯をさげ、水面休息ごとに、
船のトップデッキにあがって、日本に電話をかけまくり、周りを無視する勢いで、先物取引とおぼしき件で、あーだ
こーだ指示をしているメタボなおっさんがいた。ホリデー中もカネ、カネ、カネなその精神に頭がさがると同時に、
旅情もそがれた。デッキチェアで、モルディブの強い日差しと海風を楽しんでいるときに、お金のことばかりが、あれ
これ耳に入ってくるんだから。
世界遺産キナバル山の登山道で、自分の携帯の着メロが鳴ったときも、キナバル山の山小屋にいるとき、下界から
電話がかかってきたときも、なんだかさめた。なら電源オフっとけ、なのはわかってるが、そこは貧乏性なので、ON
にしておくのだった。どっちみち、登山ガイドの携帯に、しょっちゅうガールフレンドからのSMS着信しまくりだったし。
一方、メナドのショッピングセンターの裏から、「あしたも休みます。」なんて、職場へあたかも日本へいるかのように
しれっと連絡できたり、っていう便利さも享受してきたわけだ。前は、海外からだと番号表示ができなかったけれど、
今は、ローミングだと、しっかり国番号が入ってバレバレだから、今となっては、もうできないわざだ。
しかーし。auは、いつまでたってもマレーシアでローミングできない。ふだんづかいの携帯とは別に、海外用の専用
携帯端末を入手して、ICカードを入れ替えなければダメなのだ。そんなのは面倒くさい。なので、auをついこのあいだ
解約してしまった。auをはじめたのは、もともとボーダフォンが好きだったのに、ソフトバンクにかわってしまったこと、
NOKIAの3Gは、やたらとフリーズするし、使えるアプリが少なく、オサイフケータイもできないなど、いろいろ不便な
ことが多いので、1年前、auに加入してみたのだ。DoCoMoも、モトローラのデビッド・ベッカムがイメージキャラクター
をやっていたのにひかれ(そのわりにベッカムずきではない)、ローミングが便利ならばモトローラでDoCoMoに戻る
ことも検討したが、エリアを見ると、サバ州では、KKくらいだった。DoCoMoのコールセンターに、ローミング事情に
ついて電話でたずねたら、詳しい者から折り返すと言われ、すぐに電話をくれたが、「タワウやセンポルナでは、今の
ところ、ローミングできませんし、当面、予定もありません。」と言われ、断念。それなら、ホワイトプラン980円で海外
旅行時と、ソフトバンク携帯仲間とのやりとり用に、細々とソフトバンクを継続し、メインでauを使えばいーやと思った
のだ。なのに結局、ボーダフォンからなじんできたソフトバンクの番号が、ついつい出てしまい、auはゲームとメール
が主たる用途で、通話にはほとんど使わない状況が続いたので、これこそ無駄な出費と反省。1年間利用料金を
払い続けることを考えると、近場のダイブ・トリップ代1回分くらい出そうだ。
auショップへ解約にいったら、カウンターのお兄さんは、感じよく解約手続きに応じてくれた。手続きも迅速だった。
「何か不都合なことがございましたか?」「マレーシアで使えないもんで・・・。」「ローミングが使えないということで
ございますね。申し訳ございません。またいつでもご契約いただけますので、将来、また機会がありましたらどーぞ
よろしく。」といったやりとりで、わずか数分で完了。前にDoCoMoを解約したときは、とても無愛想だったし、そうとう
待たされた。カウンターで用件を伝えてからも、異様に時間がかかり、ランチを食べそこねたくらいだ。ただ、解約前
に、問い合わせをした、KDDIの電話窓口は、なんだかていねいすぎて、まどろっこしかった。電話をかけた場合は、
NTTの方が、事務的だが、話は早い。それぞれ、一長一短があるもんだなあ。
そうそう、携帯ばかりでなく、マブールのボルネオ・ダイバーズではかなり前からワイヤレスが使えるし、12月にセレ
ベス・エクスプローラに乗ったとき、船内に、インターネットサービスの貼り紙があった。船でどういう回線を使うのか
聞かなかったが・・・。そんなにモバイル需要はあるんだろうか。確かに、ゲストの中には、緊急で、家や職場に連絡
が必要になる人が出るかもしれない。だけども、なんだか、通信もままならない日常とはかけ離れた、絶海の孤島に
いるんだという感覚が味わえる、浮き世離れした場所は減ってしまったもんだ。どこにいても、つかまえられる感じが
いやだなあ。と、やや嘆きながらも、NOKIAのケータイと、ラップトップを必ず持参で、矛盾だらけの行動をとる自分
がいる。 別に、そんなにモバイルしたいわけでも、せまられているわけでもないくせに。