20180114
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>十八番ことばの知恵袋(3)ゲーム実況者
学生の発表を聞いていると、学生にはなんでもない日常生活範囲のことだけれど、私には「お初にお目にかかります」のことがらに出会います。
毎年、学生との世代ギャップが広がる一方の教師にとって、若者文化との距離はどんどん遠くなっていきます。
日本語日本文学コースの学生が発表したことについては、知らないことはありません。でも、クリエイティブデザインなんちゃらコースで学ぶ学生の発表の中に、まったく私の知らない世界がありました。
私はやりませんが、ゲームという娯楽があることは知っています。また、トップクラスのゲーマーになると、ゲーム大会に出場して賞金を稼いだり、ゲームソフト開発会社と契約してゲーム開発に協力するなど、職業として成立していることも知っていました。
しかし、一般のゲーマーがゲームを自分たちでやりながらその進行を実況中継して、インターネットでUPする人々がいて、その人々は「ゲーム実況者」と呼ばれていることをようやく知りました。インターネットの中で、自分たちがゲームをやりながら、その実況中継を動画で見せる人々をゲーム実況者というのです。
子ども達の間で、将来なりたい職業として「ユーチューバー」が上げられたのにもびっくりしましたが、次はなりたい職業の上位に「ゲーム実況者」がくるかもしれません。昔は宇宙飛行士や野球選手、今ユーチューバー、明日はゲーム実況者です。
(あ、学者も復権したみたいですけれど、それは。理系学者が開発したものを製品化すると膨大な特許料を手にできることがわかったから。つまり、金がらみです。ほんとうに研究をしたくて学者を希望しているのではないようです。文系の学者になりたい子供、ますます変わり者になると思われます。貧乏暮らしに耐えられる人でないと)。
ゲームで遊んでいるだけに見えるゲーム実況動画ですが、職業とするには、まず、ゲームスキルが高いこと。次に言葉が大事。プレイ状況を視聴者にわかりやすく伝えることは当然として、視聴者の興味を引く雑談やリアクションを交える技量が必要。視聴者に支持されるトークスキルはかなり高度なものだそうです
ゲーム実況者を紹介した学生は、現在人気が高い有名ゲーム実況者として「兄者弟者あにじゃおとじゃ」をあげました。声がよく声優としても活動をはじめた兄と、ゲームスキルの高い弟、それに動画編集デザイナーが助っ人格で加わったグループ。
そして一番好きなゲーム実況者として「最終兵器俺達」という4人組のグルームを紹介しました。
個性ある4人の男性が、それぞれのスキルを生かしてゲーム実況をしているそうで、その実況を見て、買いたいと思ったゲームがあったと、学生は発表していました。人気実況者は、ゲーム会社からのオファーもあるので、職業として成り立つらしい。
ゲームのことは知らないのだけれど、息子がクリスマスプレゼントとして姉に贈ったスイッチマリオ「世界の旅オデュッセイ」は、自分でプレイしなくても見ているだけで面白かったので、実況を聞いて見ました。2017年10月末にyoutubeUPで、2ヶ月ちょっとで再生回数7万回になっていました。
有名ゲーム実況者になると、1ヶ月のクリック再生回数1千万にもなり、ネット広告アフィリエイト収入が1ヶ月百万円になる人もいるのですって。
ほう、そりゃ、小学生も将来なりたい職業にユーチューバーって言ったりゲームプレーヤーと言ったりするわね。朝から晩までこつこつ働いて、雀の涙ほどの給金振り込まれる親父より、ネットの中のゲームプレーヤーにあこがれる、って小学生。
私には、実況を聞いていて面白い、とは感じられるものはありませんでした。
でも、私にはわからない世界がこうして広がっていること、若者にはこういうのが面白いんだ、ということは、わかりました。
キュビズム絵画を見て「これを芸術というなら、芸術は死んだ」と言った美術愛好者もいたし、ロックを初めて聞いた高齢者は、「こんなのは音楽じゃない」と嘆いたもんでした。
私も、ゲーム実況の何が楽しいかわからなかったけれど、私にわからないものを、面白いと感じる若い世代がいることは理解できます。
ああ、しかし、わからん。
これらの発表は、日本語教師養成コーズの最終課題として実施されました。
「あなたが外国を旅行中、知り合いの所属する日本語科の教室で、日本の文化、歴史、現代社会、現代文化を紹介してほしいと頼まれました。日本語能力試験2級レベル合格者が在籍する中級クラスで講義をすると想定して、自分が紹介したい得意な分野について、10分~15分の発表をしなさい」という課題の発表です。
「日本の忍者について」「歌舞伎の成り立ちと現代アイドル文化」「日本の妖怪」「僕の自炊生活から学んだ日本料理の調理器具と野菜の切り方」など、自分が興味を持った題材について、パワーポイントスライドなどを用いて、わかりやすくまとめていて、感心しましたが、日本語日本文化コースの学生発表で私の知らないことはありませんでした。
クリエイティブデザインなんたらコースというのは、アニメやゲームなど、最先端の文化の創造に関わるコースらしいです。
私にわからんことをわかっている学生がおり、そこには何やら新しい産業の芽もあるらしいということは、なんとなくわかったようなわからんような。新しい世界を知る楽しみがあるのもスズメの涙ほどの給金を補う役得かも。
<つづく>
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>十八番ことばの知恵袋(3)ゲーム実況者
学生の発表を聞いていると、学生にはなんでもない日常生活範囲のことだけれど、私には「お初にお目にかかります」のことがらに出会います。
毎年、学生との世代ギャップが広がる一方の教師にとって、若者文化との距離はどんどん遠くなっていきます。
日本語日本文学コースの学生が発表したことについては、知らないことはありません。でも、クリエイティブデザインなんちゃらコースで学ぶ学生の発表の中に、まったく私の知らない世界がありました。
私はやりませんが、ゲームという娯楽があることは知っています。また、トップクラスのゲーマーになると、ゲーム大会に出場して賞金を稼いだり、ゲームソフト開発会社と契約してゲーム開発に協力するなど、職業として成立していることも知っていました。
しかし、一般のゲーマーがゲームを自分たちでやりながらその進行を実況中継して、インターネットでUPする人々がいて、その人々は「ゲーム実況者」と呼ばれていることをようやく知りました。インターネットの中で、自分たちがゲームをやりながら、その実況中継を動画で見せる人々をゲーム実況者というのです。
子ども達の間で、将来なりたい職業として「ユーチューバー」が上げられたのにもびっくりしましたが、次はなりたい職業の上位に「ゲーム実況者」がくるかもしれません。昔は宇宙飛行士や野球選手、今ユーチューバー、明日はゲーム実況者です。
(あ、学者も復権したみたいですけれど、それは。理系学者が開発したものを製品化すると膨大な特許料を手にできることがわかったから。つまり、金がらみです。ほんとうに研究をしたくて学者を希望しているのではないようです。文系の学者になりたい子供、ますます変わり者になると思われます。貧乏暮らしに耐えられる人でないと)。
ゲームで遊んでいるだけに見えるゲーム実況動画ですが、職業とするには、まず、ゲームスキルが高いこと。次に言葉が大事。プレイ状況を視聴者にわかりやすく伝えることは当然として、視聴者の興味を引く雑談やリアクションを交える技量が必要。視聴者に支持されるトークスキルはかなり高度なものだそうです
ゲーム実況者を紹介した学生は、現在人気が高い有名ゲーム実況者として「兄者弟者あにじゃおとじゃ」をあげました。声がよく声優としても活動をはじめた兄と、ゲームスキルの高い弟、それに動画編集デザイナーが助っ人格で加わったグループ。
そして一番好きなゲーム実況者として「最終兵器俺達」という4人組のグルームを紹介しました。
個性ある4人の男性が、それぞれのスキルを生かしてゲーム実況をしているそうで、その実況を見て、買いたいと思ったゲームがあったと、学生は発表していました。人気実況者は、ゲーム会社からのオファーもあるので、職業として成り立つらしい。
ゲームのことは知らないのだけれど、息子がクリスマスプレゼントとして姉に贈ったスイッチマリオ「世界の旅オデュッセイ」は、自分でプレイしなくても見ているだけで面白かったので、実況を聞いて見ました。2017年10月末にyoutubeUPで、2ヶ月ちょっとで再生回数7万回になっていました。
有名ゲーム実況者になると、1ヶ月のクリック再生回数1千万にもなり、ネット広告アフィリエイト収入が1ヶ月百万円になる人もいるのですって。
ほう、そりゃ、小学生も将来なりたい職業にユーチューバーって言ったりゲームプレーヤーと言ったりするわね。朝から晩までこつこつ働いて、雀の涙ほどの給金振り込まれる親父より、ネットの中のゲームプレーヤーにあこがれる、って小学生。
私には、実況を聞いていて面白い、とは感じられるものはありませんでした。
でも、私にはわからない世界がこうして広がっていること、若者にはこういうのが面白いんだ、ということは、わかりました。
キュビズム絵画を見て「これを芸術というなら、芸術は死んだ」と言った美術愛好者もいたし、ロックを初めて聞いた高齢者は、「こんなのは音楽じゃない」と嘆いたもんでした。
私も、ゲーム実況の何が楽しいかわからなかったけれど、私にわからないものを、面白いと感じる若い世代がいることは理解できます。
ああ、しかし、わからん。
これらの発表は、日本語教師養成コーズの最終課題として実施されました。
「あなたが外国を旅行中、知り合いの所属する日本語科の教室で、日本の文化、歴史、現代社会、現代文化を紹介してほしいと頼まれました。日本語能力試験2級レベル合格者が在籍する中級クラスで講義をすると想定して、自分が紹介したい得意な分野について、10分~15分の発表をしなさい」という課題の発表です。
「日本の忍者について」「歌舞伎の成り立ちと現代アイドル文化」「日本の妖怪」「僕の自炊生活から学んだ日本料理の調理器具と野菜の切り方」など、自分が興味を持った題材について、パワーポイントスライドなどを用いて、わかりやすくまとめていて、感心しましたが、日本語日本文化コースの学生発表で私の知らないことはありませんでした。
クリエイティブデザインなんたらコースというのは、アニメやゲームなど、最先端の文化の創造に関わるコースらしいです。
私にわからんことをわかっている学生がおり、そこには何やら新しい産業の芽もあるらしいということは、なんとなくわかったようなわからんような。新しい世界を知る楽しみがあるのもスズメの涙ほどの給金を補う役得かも。
<つづく>