
鏑木清方「七夕」
20190707
ぽかぽか春庭ことばの知恵の輪>再録感じる漢字(2)七夕
漢字についての春庭コラム再録です。
七夕とは、日本古来の「棚機(たなばた)・棚幡」に中国伝来の「七夕チーシー」「乞巧奠(きっこうてん)」が習合(ミックス)し、棚機を七夕と表記するようになったのです。2013年のコラムから復習します。
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2013/07/07
ぽかぽか春庭@アート散歩>織り姫たちの千年(1)たなばたさま、おりひめさま
七月七日には、「字がじょうずになるように、短冊に書く」そして「さまざまな願い事を星に祈る」など、地方地方によっていろいろな行事が行われます。たなばたに「七夕」の漢字をあてる熟字訓は、中国の節句の文字「七夕チーシー」をそのまま当てたためで、古来の日本の行事の意味では、漢字を当てるとしたら「棚機(たなばた)」や「棚幡」でした。
先祖の魂を呼ぶため「機織りによって出来た幡」を飾ってきました。この「ひらひらすることによって魂を呼ぶ」「幡」は、現代でも「盆棚」を座敷にしつらえる地方では、葉のついた枝を飾ったりするなど、残されています。七夕笹飾りの笹の葉も、もとは魂を呼ぶための依り代(よりしろ)であったのです。
先祖の魂祭のほうは、仏教伝来後は「盆」行事に移行し、「たなばた」は中国の織り姫彦星伝説と日本の「棚機津女(たなばたつめ」の伝説・神話が習合して、現在のたなばた祭りになりました。
牽牛が牛を引いて耕作した野菜などの「種物(たなつもの」と、織り姫が養蚕によって絹を織り上げた産物の「はたつもの」を供えることにより、食と衣の安定供給を願いう行事なのだとも。
月岡芳年「月百姿 銀河月」

織り姫の伝説から、織物に関する行事も多くの地方で行われてきました。
奈良平安時代の宮中や貴族の館では、中国唐時代に盛んであった「乞巧奠(きっこうてん)」の行事がとりいれられ、庭に針や糸を飾って、針仕事ほかの手仕事技芸の上達を願ったそうです。
機織り仕事をする者にとっては、1年1度のたいせつな行事でした。
糸をあつめて布を織る、編む。布をあつめて糸と針で身にまとう衣服を縫う。糸や布をさまざまな方法で色鮮やかに染める。
布仕事は、人類が手によって成し遂げてきた仕事の中でも、「食べ物を手に入れる」という生存に直接関わる作業のほかの仕事では、もっとも古くから延々と続けてきた仕事と思います。
日本には古来より、大陸からまた南方から、さまざまな染織方法が取り入れられ、友禅染など日本独自に発達を遂げたにすばらしい染め物や織物が生まれました。
最近の織物情報、糸情報で一番興味深かったのは、「くもの糸」を蚕に作らせる方法が開発された、という記事。遺伝子操作であることはちょっとひっかかりますが、蜘蛛の遺伝子を蚕に移し、蚕の吐く糸が蜘蛛の糸と同じに強くしなやかな糸になるよう、遺伝子組み換えが成功したというニュースでした。お釈迦様がたらした一本のくもの糸に何万もの地獄の人々がつかまった、というのは「おはなし」であるとして、蜘蛛の繊維は、鉄鋼とおなじくらいの強度をもっているそうです。
歌川広重「市中繁栄七夕祭」名所江戸百景より

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20190707
「七夕」は、中国の「チーシー七夕」を日本語の「たなばた棚機」に当てはめた熟字訓です。「熟字訓の話題は、またのちほど。
7月後半は、春庭漢字コラムの再録を続ける予定です。
さて、今年の七夕短冊にはどんな願い事を書いたでしょうか。私はむろん、いつもの「家内安全国家安泰世界平和宇宙長久。それにつけても金の欲しさよ」です。なにせ100歳まで生き抜くには2000万円必要だという国に住んでいますからね。18歳から70歳まで延々と働き続け、細々とした収入の中から年金も納めてきたけど貯金なし。自分が年金をもらう年齢になったら、年金では老後はまかなえず、これからも働き続けることになっています。今のところ、週に5日の労働もこなせていますけれど、持病持ちの身、これから先、何が起こるかはわかりません。心細いです。
家内安全。なんといっても、家族の健康がなにより大事。
娘息子、私、健康を大切にしたいです。夫?去年足の骨折で骨をつないだボルトを抜きだす手術をすると騒いでいますが、たぶん大丈夫でしょう。心配なら、2000万の保険でもかけておいてくださいまし。
星に願いを。
<おわり>