閑寂肆独白

ひまでさびしい本屋のひとりごと

古本屋の消長

2024-06-02 22:39:02 | 日記

 このところ 廃業する店 そのつもりのはっきりしている店、幽霊的存在の店の話がよく聞こえてくる。斯くいう我店も 店じまいを視野に入れているのだが、 同世代、ほぼ同時に業界に入った仲間で今も生き残っているのは半数に満たない。生き残っているのも年齢からしてここ数年で消えざるを得ない者ばかりという古書業界の身の回りである。 いざ店を完全に片付けるというのは相当に大仕事で在庫の整理だけでも現在売れ残っている本を市場に出しても採算が合わないかもしれないのだ。九州に限らず 東京の神田の各市場の情報を見てもべらぼうな量の出品、毎週10トントラックでとかカーゴ10数台とか。その中のかなりの量が同業者の廃業によるものだという。

古本屋は借金をしていないのがせめてもの救いだと以前きいたことがある。この頃は営業機材のリースという曲者がいて途中で解約となると思いがけない出費を強いられる。我店ではある複合機のリースに警報機を加えた契約をしていたがこれがこの6月で仕舞える。

これが大変な損失であった。勧められて入れた複合機は大きすぎて邪魔で1年で引き取ってもらい、代わりに家庭用のコピー機が来たがこれで十分、しかし数年で壊れて今は自費購入の器械だがズット順調。警報機は2年6か月で故障、修理を頼んだら保障は2年で切れていて修理に2万円以上かかるという、これも修理しても我店には役に立たないとわかって壊れたまま放ってきた。結局何も役に立たなかったにもかかわらず契約だけは残ってそれがやっと来月おしまいになる。

 自前で買ったら数十万程度しか掛からなかったであろう器機に全く無駄に2百万円以上払ってきたことになった。 今はリースは一切受け付けていない。PCに関しては管理してくれる人と契約しているので周辺の事も相談に乗ってもらえ、必要なものは自前で買う事にしたのだ。

 本の仕入れは制限しているつもりでも市場でそれなりの物を見るとやはり手が出てしまう。 在庫は一向に減らない。通販はそれなり動いているが一冊づつの取引なのでなかなか嵩が減るところまで行かない。店だって同様でその上誰も入ってこないとあっては在庫が減るわけはない。百円均一と特価台だけは減ってガサガサ状態だが、安売りする本をそんなに用意しているわけはなく、500円千円という本を100円にはできない。それでも換金できた方がよいではないか、という人もいるが、安売りは本に対して失礼だと思うのだ。

 少し昔になるが、弊店の際在庫整理に苦労する話は聞いたことがなかったと思う。  「消長」と書いたが「長」の方は次の機会に書こう。

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