2010.11.18(木)曇
丹波の鬼退治といえば大江山の酒呑童子である。大江山には日本の鬼の交流館という博物館があり、鬼に関する様々な研究や催しを行っている。今般「福知山の酒呑童子伝説」という冊子を発行され、来館者に配布されているという。酒呑童子伝説は著名な伝説で、金太郎とともに絵本や親の物語で聞いて周知のところである。ところが、丹波(かつては丹後も丹波であった)には他にも鬼退治伝説が残っている。それは同じく大江山の麻呂子親王伝説や舞鶴青葉山の玖珂耳之御笠(くがみみのみかさ)伝説である。これらは酒呑童子のようないわゆる鬼ではなく、悪鬼とか強賊とか言われている。これらは大唐内における大蜘蛛と同様のものと私は考えている。
最も古いものと思われる、玖珂耳之御笠から考察してみたい。
玖珂耳之御笠伝説については、たまたま上杉の八坂神社を訪問してその由来などを調べている際に初めて知った伝説である。(2010.5.10,11、ハメ考参照)
古事記、崇神天皇の条に
「日子坐の王をば、旦波(たにはの)国に遣して、玖珂耳之御笠を殺さしめたまひき」とある。
また、丹後風土記残欠本に
「古老伝曰 当于御間城入彦五十瓊殖天皇(崇神天皇)之御代 当国青葉山中 有土蜘 曰 陸耳御笠 者而其状賊 人民 故日子坐王奉 勅而伐 之」
とあり、陸耳御笠という土蜘(つちぐも)が丹波の青葉山中に住んでいたということである。
日置峠から青葉山
上杉の八坂神社の由来によると、
「崇神天皇の十年秋、丹波国青葉山に玖賀耳という強賊がいて良民を苦しめるので、勅命を受けた日子坐王・丹波道主命が軍をひきいてきたところ、丹波国麻多之東において毒蛇にかまれ進むことができなくなった。時に天より声があったので、素戔鳴尊ほか三神をまつったところ験があって病がなおり、首尾よく賊を平げることができた。帰途、この地に素戔鳴尊と諸神をまつったのに由来するというのである。(飯宮由来記)」綾部市史上巻
上杉の八坂神社
これらの伝説はどういうことかというと、「丹波の青葉山中に玖珂耳之御笠という大和朝廷に服従しない首長がいて、朝廷の遣わした将軍に滅ぼされた」ということであろう。では玖珂耳之御笠とはどのような人物なのだろうか。つづく
(大唐内のこと(10)は2010.11.15)
今日のじょん:今日もじょんはうらめしじょんとなっている。どうもストーブを炊きはじめて室温が上がっていることが関係してそうだ。