晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 「味噌・醤油・酒の来た道」 7/8

2015-07-08 | 雨読

2015.7.8(水)雨

 森浩一氏などが主催されてきた日本海文化を考えるシンポジウムの第四回(昭和六一年富山市)をまとめたものである。一回、二回はすでに紹介しているが、第三回「東アジアと日本海文化」は未読なので、飛ばして第四回の紹介となった。
 実は読了したのが5月のことなので、内容をほとんど忘れてしまっている。そういう風だからあまり、強烈な印象のない内容だったようである。本に線を引くのが嫌いなわたしはポストイットを貼り付けているのだが、多い本なら2,30枚貼ってしまうのだが、本書は3枚である。それだけ印象が薄かったということ(わたしの興味が薄かったということで、内容的に低レベルであったと言うことでは無い)で、とりあえず読みましたよという雨読である。
 日本海沿岸諸民族の食文化と日本「味噌・醤油・酒の来た道」森浩一編 小学館 昭和62年10月初版 古書

 タイトルからすると日本古来の食材や技術がどのように伝播してきたかを示しているようなのだが、例によってシンポジウムでの発表を編集されたものだから、各分野例えば中国、蝦夷、漢民族、縄文人、すし、酒などの食文化について書かれており、しかもかなり専門的な内容であって読みづらかった。
 特に期待した小泉武夫氏の文、「日本の酒・高志(こし)の酒ーその起源」についても専門的であり、一般には難しい内容であった。もっともこのシンポジウムが一般的な聴衆というより、専門家や研究者を対象としているようだからやむを得ないと思われる。
 そのなかで面白かったのは陳舜臣(ちん しゅんしん)氏の「中国の食物史」である。どういう方かと思いきや小説家であり、中国の歴史小説など書かれているので、面白いはずである。
 王を補佐する総理大臣のことを宰相というが、宰という字は家の中で刀を持っている人を表しているという。つまり調理人である、調理人は肉を上手に切り分ける、民に公平に分配できるものが宰相なのである。(どこかの総理大臣は耳が痛い、いや腹が痛いかもしれないが、、、)
 料理長というのはかつては王を補佐するという重要な位置にあったそうだ。ところが君子が厨房から遠ざかるようになると料理長の地位が下がってくる。「孟子」のなかに「君子は厨房(くりや)より遠ざかる」という言葉があるそうだ。孟子の説明では、鳥や豚を殺す際の悲鳴が耐えられないからという。
そのくせ調理されたものを食べるのだからという皮肉を言いたいのだろうか。
 とにかくこのように面白い話が続く。
 小泉氏の酒の話は、日本の酒いわゆる日本酒は大陸や半島から伝わったものではなく、国内で発達した優れた発見や技術にもとづくオリジナルな酒であるということを書かれている。内容は本書に譲るとして、その技術は素晴らしいものがあり、「灰に謎あり」(2015.4.13雨読)などでも紹介しているが、パスツールが発見したという低温殺菌法も日本ではその300年前から使用されていたというから驚きである。

【今日のじょん】先日マック隊長のお見舞いに行ったとき、その前にイルマンさんに寄った。勘兵衛がなんとも成長して光秀より大きくなってるではないか。店番もしっかり出来るようになっておりマスゾ。

まっくろけでワカラナイノダ。

 

コメント
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