2015.9.21(月・祝)曇り あなしら上林-11は2015.8.3
かんばやし里山新聞 第11号(2015.9.18)が発行されたので掲載の「あなしら上林」を公開します。
三、上林の盃状穴 その一
睦合町引地(ひきじ)の善福寺は真言宗の古刹である。府道からおそろしく急な石段を垣間見ることが出来る。その石段に見事な盃状穴(はいじょうけつ)が穿(うが)たれていることをご存じだろうか。あちこちの社寺で盃状穴を探してきたが、これ程の数の盃状穴があるのは今のところ善福寺をおいて他に無い。しかも石段のみでなく石灯籠の基礎部分や石柱の頭部、側面などにも見られ、石段やその周辺部以外の盃状穴は上林では今のところ他に発見していない。
(写真1,2 善福寺の盃状穴)
盃状穴とは字のとおり石造物に穿たれた盃状の穴である。大きさは3cm~10cmぐらいで、慣れてくると容易に見つける事が出来る。
ではこれは一体何なのだろう。最も多い答えは、「子どものいたずら」であり、次が「雨だれの痕」である。実はその存在をも知らない方がほとんどだろう。
子どもいたずら、雨だれのどちらでもない事は後ほど書くとして、盃状穴の特徴を思いつくままに羅列してみよう。
世界中に存在する、古代から存在する、人為的なものである、弥生時代や古墳時代の遺跡からも発見されている、近世以降のものはごく一般的に穿たれている、説は色々あるがその目的は不明である、盃状穴に関する古文書や言い伝えが見当たらない、昭和の初期まで彫られたというが彫ったという人の証言が無い、考古学などの学者の研究が少ない、などととにかく謎だらけなのだ。
学者による研究がまれなので発行される文献が少ない。「盃状穴考」(慶文社)は唯一の専門的な文献と思われるし、「山・川・人」(加古川流域史学会)も盃状穴について一部書かれている。どこそこにあるという情報はネット上であふれているし、郷土資料館などで話題として扱っているところも散見する。
本当にそんなものが存在するのかと訝しく思っていたところ、何とも意外なところで見つかった。それは京都帝釈天という八木町船枝にある神社で、毎週のように南丹病院の歯科へ通っていたときの道すがらである。和気清麿公所縁の神社と言うから古い神社で、建物も石造物も随分立派である。長い石段や境内の石造物に盃状穴などないものかと何度も見て回るが一向にそれらしきものはない。何回か訪問し、諦めて帰路についた
とき、参道の入口にあたる民家の脇の石灯籠に目をやると、その基礎部分に盃状穴らしき穴がぐるりと取り囲んでいる。基礎に彫られた模様、いわゆる返花(かえりばな)かなと思い詳しく見てみるが、大きさも位置もバラバラで模様ではない。異常なほど胸が高鳴りしてきた。
(写真3京都帝釈天参道入口の灯籠)つづく