晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 愛知の地名 8/13(土)

2016-08-13 | 文化に触れよう

2016.8.13(土)晴れ 
 引地地名を追って6年余り、全国の中で引地が最も多いのは愛知県だと思われる。しかもそのすべてが豊田市に集中している。何かヒントが得られないか購入して読んでみたのがこの本である。結果から言うと本書からはそのヒントは得られなかった。引地という地名について一言も載っていなかった。実はわたしは目星を付けているのだが、中根氏には興味が無いかまるで見当が付かない地名なのだろう。
 「愛知の地名」海進・災害地名から金属地名まで 中根洋治著 風媒社 2012年4月 第1刷発行 古書

 著者の中根氏は土木関係の技術者で県の道路・橋梁・河川事業に携わるとある。地名に関する本の中で理系の著者によって書かれたものは特に尊重している。最も現場に近く、現場を直視して書かれているからだ。文献や資料から判断されるものより臨場感がある。中根氏は岡崎市の生まれで、現在も住まわれているという、岡崎市は豊田市の隣である。
 災害地名、川地名、道地名、金属地名という風に12章にわたって書かれているのだが、海進と地名、巨石信仰地名、縄文時代からの地名などユニークな分野の地名が登場してくる。
 豊田市周辺には独特な地名がある。足助(あすけ)、酒呑(さちのみ)、猿投(さなげ)、蔵連(ぞれ)、矢作(やはぎ)など。こういった地名のいわれはどうか、どういった意味なのか興味は尽きない。
 著者の職業と経験を活かして災害地名や地形地名について書かれている部分もあるのだが、他の文献や辞書によるものも多く、残念な部分もある。まえがきの中に「地名のいわれの中で、色々な説のある場合、筆者がこれだと思う内容を一つに絞らせて頂きました」とある。このことは地名というものの特徴からいって得策ではないと感じるのである。

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