2016.8.14(日)晴れ
総長のカレーで有名な元京都大学総長、現京都造形芸術大学学長の尾池和夫氏の講演を聴きに行く。府立図書館が連続講座として開催している講座の一環で参加費等は無料だが先着80名の限定なのでなんとも不安。というわけで10時半には府立図書館に行って受付場所など確認に行く。12時に整理券配布ということなので、11時半頃に覗いてみるが誰も並んでいない。図書館地下で本でも見ながら時間をつぶし、45分頃に受付に行ってみると長蛇の列ができている。80人には間に合うかと思い並んでいると、「やあ」と言う声がして桜井さんのご主人が少し前に並んでおられた。近所にお住まいとはいえ、なかなかの文化人だと感心する。貴重な整理券を入手し、また地下一階で本を読んで時間をつぶす。講演は1時半からで、問い合わせがあまりに多いので入場を110名にしたそうだ。とにかく満員の盛況である。
府立図書館では無料の連続講座が行われている。
尾池先生と言えば言わずと知れた地震学のオーソリティで、地震に関する研究や著書で有名である。もちろん一般向けの講演なので実に様々なことを聞かせていただいたが、印象としては柔軟でユニークな発想をされているということだ。タイトルの「都を生み出した活断層」というのも、活断層があってこそ肥沃な土壌の堆積が有りそこに湧き出す清水や、街道ができ人々が住み始めるという活断層が文化を生み出すという発想なのである。わたし自身も訳あって「日本の活断層」という高価な本を購入し活断層の研究を始めているのだが、活断層のあるところには河川があり、道が発達し、人々の生活があるのである。あのシルクロードも活断層の上にあると先生はおっしゃっていた。今年4月に起こった熊本地震についても、3年前に日奈久断層の動く確率16%と予測されていたそうである。熊本は地震の起きない地域だという思いが国民の間にあったそうだが、先生は決してそうではないと考えておられた。そしてこれからの地震は西日本が多くなり、2038年南海トラフ大地震が起こるぞと警鐘を鳴らしておられる。
原発問題や温暖化問題、エネルギー問題などについてもユニークだが説得力のある説を持っておられる。特に温暖化問題についてはわたしも同じ思いで、大変うれしい。内容についてはこれまでに述べてきたことなのでここでは書かないこととする。
先生は俳句が趣味で著書も出しておられる。実は松尾芭蕉や与謝蕪村なども地震には遭ってるはずなのだが、地震についての俳句はほとんど無いといわれている。先生は職業柄地震や原発事故の俳句を詠んでおられいくつか紹介いただいた。福島原発の現場ではカメラや筆記具など記録するものが持ち込めないので俳句でその様子を残したと言われた。なるほどより鮮明に後生に残るかもしれない。あだ名はナマズだそうだがその絵とサインの入った短冊をお土産にいただいた。
広辞苑 ただめくりをる 夜長かな
講座が終わったらすごい夕立となり、予定していたダリ版画展に行けなくなった。