晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 「死に山」ー2 11/11

2018-11-11 | 雨読

2018.11.11(日)晴れ

 わたしが18歳で本格的に山登りを始めた頃、登山ブームと言うこともあって大きな山岳遭難事故が相次いだ。山で死んではいけないということで遭難対策を徹底的に教え込まれた。過去の遭難事故を分析し、その原因を探り、対策を練るというものだ。雑誌社、出版社も遭難事例や遭難対策の本を沢山紹介していたのでそれらを読みあさった。インターネットの無い時代なので本や会報などしか情報は得られない。国内で起きた著名な山岳遭難事故はすべて調べて、その資料は書庫に眠っている。遭難事故の原因はほとんどが解明されているが、当時は解らなかったものもいくつかある。例えば小説「氷壁」のモデルとなった1955年の前穂東壁のナイロンザイル切断事故など、当時強度的に絶対視されていたナイロンザイル(現在はロープとよばれている)は切断の原因が分からず、クライマーの技術的な問題などとされていた。そのナイロンザイルが鋭角なリッジ状の岩に極端に弱いことが解り、ナイロンザイルの安全基準が制定されるのは実に事故から20年後ということになる。原因が分かってランニングビレイやダブルロープなどの安全対策が生まれてきたのである。
 また、厳冬期の登山では雪崩による事故が大量の死亡に繋がる事が多い。特に新雪表層雪崩は想像も付かない事象が沢山あり、謎とされていた事件も多くあったようだ。しかしそれらはやがて原因が究明され、雪崩についてのメカニズムも順次解明されることとなった。松本深志高校の西穂高岳落雷遭難事故(1967年11名死亡)など事件後に雷のメカニズムが解明され、退避方法などが確立されることとなった。谷川岳衝立岩のザイル宙づり事件(1960年)後には宙づりにならない確保法や脱出方法などが対策されるようになった。
 とまあこのように、遭難事件直後には謎であったものが、やがては原因が解明され対策が施されるのが常である。ところが本書の「ディアトロフ峠事件」は1959年以来、9名もの遭難者を出しながらその原因が謎だったのである。つづく

【今日のじょん】最近我が家では工事が行われてるのだワン。なんでも玄関の前室をこしらえているんだって。おとーが作るって言ってたけど手に負えないので大工さんに頼んだそうだ。楽しみだのー。


 

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