お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

自社の技術でも「特許権侵害」で訴えられる?

2012年10月21日 09時21分38秒 | 海外情報
 2011年3月に韓国で次のような報道がなされた。

『今度は、中国はレアメタル代替技術を盗む気だ。中国は尖閣の漁船衝突の件でレアメタルの輸出を止め日本に打撃を与えようとしたくせに、ここに来ていきなり代替品開発を日本と共同でやろうと言い出した。中国の技術水準では代替品は開発できないが、日本には既に完成品がある』

『もうすぐ中国のレアメタルは枯渇する。そこで、(レアメタルが)あるうちは、世界に対する圧力(の切り札)として使い、無くなったら日本から技術を盗んで儲けようという腹だ。こんな提案、一蹴すべきだ! だが、今の日本は。この提案をありがたがって受諾しかねない』

 日本では独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究グループが、レアアースの1種で液晶テレビのガラス基板研磨に用いられるセリウムの代替品を開発した。

 セリウムは、電子部品の研磨などにも使われる重要な物質。従来は代替品がなく、産出量の9割を占める中国が、最近になって輸出制限を行なったことで価格が高騰した。NEDOの研究グループでは研磨パッドの素材を変えるとともに、セリウムより安価な酸化ジルコニウムを研磨剤として使うことで、従来品より研磨効率を50%改善した。また、セリウムを有機物に付着させて「複合砥粒」とすることで、研磨効率を50%改善し、セリウムの使用量を減らすことに成功した。

 日本が教えた技術が中国で利用され、日本が中国に追い抜かれた身近な事例は、タオルなどの繊維製品、眼鏡のフレームもそうだ。チタンを溶接する技術は日本だけが持っていたが、中国に技術を教えたら全中国に行き渡った。

 中国に対して行う技術供与に関して、もっとしっかり脇を固めることだ。

 米国議会の政策諮問機関、米中経済安保調査委員会が議会に提出した報告書に興味深い記述がある。

『中国の知的財産権の侵害は際立っている。中国は関連法を改正し、外国企業の権利の剥奪と、中国企業の保護を一層強めた』

『中国は08年8月、特許法改正の検討を開始した。重要な点は“絶対的新規性”基準の採用である。これによって、すでに公知の知的財産は中国では特許の対象として認められなくなる』

『中国がまだ所有していない技術や仕組みであっても、日米欧などで商品化されていて、公知のものとなっていれば「絶対的新規性はない」と判断され、中国内では特許として認められないことになる。他国の技術を、特許料を払わずタダで使える国内法を作ったともいえる』

 報告書はさらに書く。
 『もうひとつの変化は、中国企業及び個人は、中国国内で達成した発明に関して、(他国の企業や個人に先駆けて)最初に出願する法的義務を免れるという点である』

 中国以外の企業や個人が、新技術や新しいアイデアを発明&発見したとする。中国人がそうした知的財産を“不法”に入手して、中国に持ち帰ったとしよう。当然、そのような新技術や新案は、中国の特許事務所には出願も登録もされていない。そこで中国側は「すでに、中国内にある」と主張する。特許法改正でそのような主張が通る余地を作ったのである。

 報告書には、『如何なる手段を用いても、欲するものは取る』という中国的手法の数々が詳述されている。

 中国は「模倣天国」から「特許大国」へと方針を大きく転換した。中国に進出している日系企業や外資系企業が、逆に中国企業から「特許権侵害」で訴えられるケースが出て来ているのだ。これまで日本企業の対中知財対策は中国の模倣品などを「監視・摘発する」立場だった。だが、自社が中国で加害者にならないかどうかをチェックする体制作りが急務となる。

 中国は、商標権について「先願主義」を採用している。“早い者勝ち”の論理だ。企業にまったく実態がなくても、先に登録した中国企業が絶対的に有利になる。クレヨンしんちゃんや米アップルのiPadなど商標権をめぐる問題が中国内で頻発したのはそのためだ。
中国市場に対するもう一つの考え方は、数(ボリューム)に惑わされるな、ということだ。中国の人口は13億人だが、中間層は5億人程度。需要予測をする時の人口は5億人と考えればいいということだ。13億人の大市場ということで、圧倒的に不利な合弁の条件を丸飲みさせられて進出する企業が後を絶たなかったが、こうした企業はことごとく失敗している。

 20数年前に中国でパンティストッキングを売り歩いた繊維メーカーの担当者は「当時、我々は中国の人口は1億人(実際の人口の10分の1)とカウントして採算を弾いていた」と振り返る。ボリュームに惑わされるととんでもないことになる。

 今回の尖閣問題で、我々は、中国人の本質を知った。一人ひとりが経済戦争を勝ち抜く、強い決意を固めなければならない。

 これは絶対に負けられない戦いなのである。
(文=編集部)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする