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トヨタ、3期連続の最高益 16年3月期営業2.8兆円

2015年05月10日 08時07分56秒 | 経済
 トヨタ自動車の収益が拡大している。8日、2016年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前期比2%増の2兆8000億円と、3期連続で過去最高になる見通しだと発表した。円安を追い風に北米で収益を伸ばし国内などの不振を補う。稼いだ利益を積極的に使い始め、配当などの株主配分や研究開発費は過去最高の水準だ。大幅な賃上げも決めており、強いトヨタを起点にした好循環が広がりつつある。

 同日、東京都内で記者会見した豊田章男社長は「質を伴う成長のために意志ある投資をする」と語った。今期の研究開発費は前期比5%増の1兆500億円と過去最高を計画する。設備投資も1兆2000億円と7年ぶりの高水準だ。部品の共通化を軸とした設計手法「TNGA」を採用した新型車を今期から投入するため、金型などの関連投資も膨らむ。

 多額の投資をしても最高益を更新する原動力は北米市場だ。高級車「レクサス」や多目的スポーツ車(SUV)といった利幅の大きい車種の販売が伸び、北米の販売台数は283万台と4%増を見込む。中近東やロシアで販売が減り、消費増税後の回復が鈍い国内市場も不振を予想しているが、全体の販売台数は1015万台と横ばいを維持する。

 今期の想定為替レートは1ドル=115円と前期実績から5円の円安・ドル高だ。ただ、ロシアルーブルなど新興国の通貨安が重荷となり、為替変動は450億円の減益要因になる。原材料費も上昇する見通しだが、こうしたマイナス要因を約2650億円にのぼる原価改善で吸収する。

 将来の成長に向けた動きも急ピッチだ。4月には13年から続けてきた新工場の凍結方針を解除し、約1700億円を投じて中国とメキシコに新工場を建設する計画を決めた。豊田社長は「今年は持続的成長に向けた歩みを着実に踏み出すのか、積み重ねてきた努力にもかかわらず元に戻るのか、大きな分岐点になる」と指摘した。




8日発表した15年3月期の決算は、売上高が前の期比6%増の27兆2345億円、営業利益は2割増の2兆7505億円となった。景気が回復している米国で「カローラ」やSUV「RAV4」が伸びた。リーマン・ショック以降に既存設備を有効活用する戦略を進めた結果、工場の稼働率は90%台まで向上した。

 為替レートは1ドル=110円と前の期より10円円安になったことで、輸出採算も大きく改善した。稼ぐ力を示す売上高営業利益率は初めて10%を超え、純利益は19%増の2兆1733億円と日本企業として初めて2兆円の大台を超えた。

 年間配当は200円と前の期より35円増やす。自社株買いとあわせた株主への配分額は1兆円近くになる。取引先に対しても部品価格の引き下げ要請を見送っており、トヨタが稼いだ利益が株主や従業員、取引先に幅広く浸透する構図になっている。
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