心の風景 認知的体験

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悪い偶然

2008-03-25 | 安全、安心、
あれこれ悪い偶然が重なったから

 事故の詳細な原因分析をみると、よくもこれほど、「悪い偶然」が重なったものだなーと思わせられることがある。どれか一つなければ、こんな事故は起きなかったのに、との思いにかられることがしばしばある。
 悪い偶然といったが、本当に「偶然」なら、あきらめるしかないことになる。そこが難しいところである。実際には、個々の要因は「必然」、ただ、それらが同時に起こったのは「偶然」ということもある。
 たとえば、図の交通事故の特性要因図をみてほしい。それぞれのパスが一定の必然性の程度で事故につながっている。しかし、いくつかが同時に起こる確率は限りなくゼロに近い。
 ところが、実際には複数のパスが同時に起こったために事故になってしまうようなことがある。いずれが一つのパスが切れていれば痛ましい事故にはならなかったはずなのに。

*****図

子供の交通事故の特性要因図
********************************

 悪魔が、いろいろの要因をたぐりよせて、その網にかかった人々を生けにえにしているようなところがある。
 実際には、事故特性図のようなきれいな形ではなく、いろいろの人や事象がネットワークをなして失敗に至る一つの状況を形成しているのだと思う。 
 Aが起こるとそれに影響されてBが起こったり(因果関係)、AとBとはいつも一緒に起こったり(相関関係)、AはBにもCにも影響しているため、BとCとがあたかも関係あるかのように一緒に起こったり(疑似相関関係)という具合である。
 どれかが悪魔の要因となって、ずるずると関係する他の要因が引きずり出されてきて事故に至るような状況が作り出されてしまうのであろう。
 こうなると必ずしも「悪魔の偶然」とばかりは言っていられない。関係の断ち切りが必要となってくる。

東京成徳大学応用心理学部福祉心理学科の新入生へ

2008-03-25 | Weblog
●新入生向けあいさつ
日本の福祉現場、今が底だと思います
このままでよいわけはありません
需要が猛烈な勢いで拡大しているからです
これからは、給料もよくなる一方だと思います。
これほど人材需要がひっ迫しているところが、低賃金で成り立つはずはありません

福祉は使命感だけではやっていけませんが
使命感のないままの福祉現場入りは絶対に勧めません
自分には使命感があるのかどうか。それを確かめるための機会を
ボランティア演習などたくさん用意しました。

「優(れる)勝(つ)利(益)」よりも「真善美」が好きかどうかが見極めの基本です。

4年間あります。自分をしっかりと見つめなおしてみてください。
なお、福祉には、福祉ビジネスの業界もあります。
優勝利に向いている人も活躍の場があります。

福祉は、21世紀の成長ビジネス、それを支えるのが諸君です。
将来に希望をもってがんばってください

そして、そのための基盤が、国家資格です
取得できような態勢づくりは十分です
あとは、諸君のがんばりに期待するだけです

写真 桜氏提供
文九朗と文子もついているぞー

交通ヒヤリハット

2008-03-25 | 心の体験的日記
国道う6号への右折
大型トラックのあとについて右折
ところが、信号は赤
信号が見えないままトラックのあとを
ついていってしまったのが、ヒヤリハットに
それにしてもオートバイの出足の早いこと

信号は、自分の目で確認すること

写真 雨滴
桜氏提供

都市交通の安全へのヒューマンエラーの観点からの提言

2008-03-25 | ヒューマンエラー
2006-01-31 10:21:40
400字 25枚で10000字  333行  8.8枚
「都市問題研究」05年12月号原稿

筑波大学心理学系 海保博之
「都市交通の安全へのヒューマンエラーの観点からの提言」

はじめに
タイトルにある「ヒューマンエラーの観点から」はやや違和感のある表現かもしれない。別の用語を使うなら、「人の心と行為の特性という観点から」になる。「To  err is human」とも言われるように、人の心と行為には、エラーが構造的に組み込まれていて、それが時折安全を脅かすので、あえて、この表現を使ってみた。
そして、本稿では、「運転者・乗客のこんなヒューマンエラーが都市交通の安全を脅かしているから、安全管理者はこんな施策をとったらどうですか」という提言をしてみるつもりである。
話しの大枠としては、図に示すような「使命ム計画・実行・評価サイクル」のそれぞれの段階で発生する4つのタイプのヒューマンエラーを想定して、それを低減させる、あるいはそれを事故につなげない方策を提言してみる。

図1 使命ム計画・実行・評価サイクルとヒューマンエラー
ppt

 なお、4つのタイプのエラーとは、次のようなものである。
○使命の取り違えエラー
 組織や個人が設定した安全第一という使命が、定時運行や競争勝利や顧客満足などの仕事上の使命を優先したために起こるエラーである。
○思い込みエラー
 誤った状況認識によって誤った計画(目標)を立ててしまいそれを忠実に実行してしまうエラーである。
○うっかりミス
 実行段階で計画とは違った行為をしてしまうエラーである。(なお、エラーとミスは本稿では区別しない) 
○確認ミス
 行為をしたときに、それが計画と一致しているかどうかをチェックすることを怠ってしまうミスである。
  
提言その1 定時運転の呪縛を緩めるーー安全より定時を優先してしまう使命の取り違えエラー

●日本の鉄道はなぜ世界でも最も正確なのか 
この小見出しは、「定刻発車」(三戸祐子著、新潮文庫)の副題である。江戸時代の参勤交代にまでさかのぼっての定刻通り遵守の交通文化の起源、それを保証するための人(乗客も含む)もその一部に取り込んだ精緻な管理システム構築の現実を余すところなく書き込んだ好著である。
これを読むと、列車の2,3分の遅れくらいどうということはない、とは安直には言えなくなる。それくらい定刻発車は日本の鉄道に構造的に作り込まれたシステム文化なのである。

●それでも定時運転の呪縛は安全の大敵
時間は誰しもがそれなりに利用している。時間のおかげで社会生活が円滑に営まれている。時間は、目に見えない重要な社会的インフラの一つである。そのインフラが至る所で極めて強固に構築されている日本において、定時運転が乗客のみならずシステム運行管理者から強く期待されるの当然である。
しかし、事が安全に関わるときは、定時の呪縛はネガティブな面をみせる。定時を遵守する以上に大事な安全がそのために犠牲にされてしまうことになるからである。

●状況と人の変化が定時を許さない
現場は時々刻々変化し多彩である。いつもと同じ状況で同じ心理状態で仕事ができることはまれである。
ホームの混雑や交通渋滞に巻き込まれるかもしれない。人間である限り、気になることが突然脳裏をよぎり運転に集中できないといった個人的な事情も発生するかもしれない。そんな中でも動かさなければいけないのが公共交通の仕事である。
そこに、さらに定時運転の呪縛がのしかかってくれば、運転者のストレスは、想像を絶するものがある。安全運転の制約をはみ出てしまう運転が発生しても不思議ではない。
このことの認識が、乗客も含めてすべての関連する人々の間で共有されることがまずは必要である。
 
●運行の現状と予測情報を提供する
その認識を共有した上で、定時からはずれた運行が発生していることを知らせる情報システムを用意する。
たとえば、公共バスでは、運転側も乗客側も定時運転の呪縛からすでに解き放されているようにみえる。それほど都市部では交通渋滞が慢性化してしまったからである。それでも乗客がバスをそれなりに利用しているのは、主要路線の一部ではあるが、運行状況を知ることのできる情報が提供されているからである。あと何分待てばよいかがわかれば、それなりの心理的準備も対応も取れる。
これがまた運転者から定時の呪縛を幾分なりとも解き放すことに役立っている。

●それでも安全第一で
現場には「安全第一」を「安全第二、第三」にさせるものがたくさんある。定時運行はその一つに過ぎない。
たとえば、バスのブレーキの効きが悪くなった。運行をストップするかどうか。駅まではあとわずか。ここで運行中止を決断するか(安全第一)、それともここで止まってしまえば乗客に不便をかけるのでなんとか駅まで走るか(乗客満足優先)。
こんな判断はごく日常的に発生している。安全運行規定マニュアルを整備しておいても、それが活かされないほど厳しく多彩な現実が現場には絶えず発生している。さらに、想定外の状況も発生する。
そんな時にでも、ともかく「安全第一」の判断させるには、組織としてきちんと安全第一の使命を掲げ、さらに、それが現場で活かされるように、絶えずその使命を明示し、さらにそれが現場で活かせるような具体的な方策を提供しかなければならない。

提言その2 わかりやすい情報を提供するーー誤った知識を使ってしまい思い込みエラー

●駅を通過してしまった
コンピュータ化のお陰ではないかと思うが、特急、急行、準急、普通と、実にさまざまな列車が同じ線路上を走っている。そして、停車駅のすっとばしやオーバーラン、原因は「急行だと思った」との運転手の勘違い、という定型ニュースを時折、見聞きする。
作業内容の変更、システム更新、配置転換などが、こうした勘違い、思い込みエラーを誘発する強い誘因となる。
勘違いや思い込みは、頭の中にある知識が引き起こす悪さである。状況は同じあるいは類似、そのために旧知識を使って誤った状況認識をしてしまい、その状況には不適切な行為をしてしまったものである。
これを防ぐには、こうした誘因を排除すればよいのだが、人員配置計画や労務管理上だけでなく、仕事の効率化やモラールの上でも難しいこともある。となると、旧知識をつい使ってしまうようなことにならないような工夫が必要となる。
長期間にわたる仕事から新しい仕事への変更時、逆に頻繁な変更が発生するような時には、変更に応じて状況をがらっと変えることで「変更」についての適切な状況認識ができるように支援する必要がある。
たとえば、急行と鈍行では運転室の照明やレイアウト、さらに運行表の体裁を変えるのである。

●乗客も思い込みエラーをする
人は誰しもがそれなりの地図を頭の中に持って動く。認知地図という。たとえば、地下鉄を利用するために地下に入ると、いつのまにか、方向感覚が狂ってくるが、それでも自分なりの認知地図に頼って動いてしまい、逆方向の電車に乗ってしまう、とんでもない出口から出てしまうなどなどの失敗をおかしてしまう。これも思い込みエラーの典型である。
乗客管理の上で、こうした思い込みエラーはできるだけ未然に防ぐ手立てを講じておいたほうがよい。緊急時などに役立つからである。
対策の王道は、地上でも同じであるが、通路をシンプルな構造にして認知地図との照合がしやすくすることである。4回右に曲がれば、元に戻れるようにする。人の出入りの激しいところでは、こうした配慮が設計段階からなされるようになってほしいものである。
次は案内表示である。
案内表示には、ルートマップ方式とサーベイマップ方式とがある。前者は、あっちへ行くとどこ、どこそこへ行くにはこっちといった方式、後者は鳥瞰図的なマップである。
認知地図は、サーベイマップ形式であるので、それに照合しやすい表示が有効であるが、その時一回限りの案内表示には、ルートマップ方式のほうが便利で有効である。その案内の具体的な表示の仕方にまでは、ここでは立ち入らないが、図に一例を示すように、そこにも、人の知覚特性にかなった表示のリテラシーがあることは知っておいてよい。

図2 案内表示の例 pptすみ


提言その3 スピードと利便性の折り合いをつけるーー速さはうっかりミスの大敵

●スピードギャップが問題
移動物体の時速60キロは、1分で1キロ、1秒で17メートルになる。たった1秒間のぼんやり、脇見でも、17メートルも動いてしまう。その間に魔の一瞬がおとずれるのである。
しかも、人の側での一瞬への対応スピード(行為の時定数)もたかだか200ミリ秒である。その間に時速60キロの移動物体は3.4メートルも進んでしまう。しかも、慣性も働くので、この何倍もの距離を移動してしまう。
人と移動物体のこうしたスピードギャップが、事故の強い誘因になっている。

●速すぎて事故
 多くのついうっかりは、その行為が起こった瞬間に気がつく。
したがって、訂正行為ができる。しかし、この間にも数秒の時間がかかる。移動物体のスピードが速いと、この数秒が命取りになってしまう。
 スピードが速くなることは、利便性と直結する。したがって、利用者は歓迎する。しかし、ひとたび、不具合が発生すれば、
その影響するところは、スピードに比例して大きくなる。
 リスクとリターンの折り合いは、永遠の課題である。これは、
その領域内では解決不可能である。最近、あちこちで話題になっている環境リスクーー車公害もその一つーーというような別領域からの観点を導入してみるのが良さそうではある。
 しかし、個人使用が圧倒的に多い車のような場合は、かなりのところまで個人的な努力に期待せざるをえない。それも、注意の自己管理という極めて扱いの難しい問題に直面することになる。


提言その4 ワンマン運転の支援体制を整えるーー注意管理不全でうっかりミス
 
●車掌がいなくなる
バスや市電から車掌がいなくなったのは、いつ頃からであろうか。名古屋市営バスでは昭和26年にすでにワンマンに踏みきったらしい。最近開通したつくばエキスプレスは、6両編成の電車で車掌なしである。
車掌の仕事の一部は、機械化されたものの、残りは運転手が抱え込むことになった。このことによって、事故が増えたというようなデータの存在は、寡聞にして知らないが、しかし、ワンマン運転は、安全の制約ぎりぎりのところでの仕事であると思う。一つの事例研究のつもりで、その危険性と対処を考えてみることにする。

●あれもこれも一緒には危ない
同時にいくつもの事をするのを多重課題と呼ぶ。歩きながら物を食べる、運転しながらラジオを聞くなどなど。我々は日常的に多重課題をなんなくこなしている。
多重課題がこなせるには、2つの条件を満たす必要がある。
一つは、いずれかの課題が、努力なく自動的におこなえること。たとえば、歩く、運転するのは(ただし、習熟している人が普通の状況で運転しているとき)、ほとんどそれに注意をさく必要がないので、もう一つ別のことができることになる。たとえそれが、多少は意識的な努力を必要とするものであっても。
もう一つの条件は、課題の処理に使う心身機能が異なっていること。カーナビの音声指示に従いながらの運転はできるが、地図を見ながらは無理。運転と地図は視覚モードを共に使うからである。
ワンマン運転では実にたくさんの課題を一人でこなしている。その中には多重課題になっているものもある。運転しながらの案内や乗客対応など。
多重課題をこなせるのは有能さの証のようなところがある。しかし、多くの多重課題の処理事態では、注意資源を目一杯使っている状態なので、さらに注意を注がないと課題の解決ができなかったり、もう一つ注意を必要とする課題が割り込んでくるととたんに注意管理がうまくいかなくなって、ミスが起こりがちになる。
一瞬の不注意が事故に直結してしまうような運転作業の場では、多重課題はできるだけ避けたいが、現実にはそれでは仕事にならない。
そこで、多数の課題が並列にならないように系列化してそれに習熟しておく、さらには、乗客からの運転手への不意の割り込み質問などを禁止するような措置もあってよい。
さらにこれは一つの思いつきに過ぎないし、すでにどこかで実施されているかもしれないが、車内案内ボランティアを募るような方策も一考に値する。元気な高齢者が増えてきた。ボランティア募集には苦労なしであろし、高齢者の乗客にとって何かと助かる。運転者にとっても、運転により集中できることになる。一石三鳥の効果を期待できる。

●自己管理の難しさ
組織の一員として仕事をしている時は、ワンマン運転のように一人で仕事をしてはいても、それを支える多くの人々がいる。しかし、長時間のワンマン状態での仕事は、自分で自分の心身を管理する努力を要求することになる。
心身の自己管理には、自分自身の今現在の心身の状態をきちんと把握すること(モニタリングすること)と、それにふさわしい行為ができるように自己コントロールすることの2つがある。たとえば、疲れを自覚したら、休憩をするようにするのが適切な自己管理である。
こうした適切な自己管理のすべを、知識として持つこと、そしてそれを使いこなすことを、安全研修などで伝え、訓練しておく必要がある。
それに加えて、「情報的に」ワンマンにしない工夫も必要である。情報ヘッドクオータとのコミュニケーションがいつでも取れるようにしておく。親密度を高めるコミュニケーションでもよい。ちょっとしたヒヤリハット体験の連絡でもよい。ともかく、「ワンマン」ではないことを実感できるコミュニケーション環境を作り込むことが必要である。


提言その5 ついうっかりを事故につなげないーー確認行為が形骸化してしまい確認ミス

●ついうっかりが一番多い
エラーにはいろいろあるが、事の大小を問わなければ、うっかりミスの発生頻度が最も高い。そして、その多くは、おかした瞬間に気がつくので、訂正行為をすることで事なきをえる。
なぜおかしたとたん気がつくかというと、行為をするときに、その目標を意識していることが多いからである。速度を緩めるという目標を実行するためにブレーキを踏むという行為をする。その時、アクセルをついうっかり踏んでしまいスピードが出てしまえば、すぐにしまったとなり、ブレーキを踏み直す。その間、幸運にも何もなければ、ヒヤリハット体験くらいで済む。
なお、思い込みエラーは、確認をすり抜けてしまう。自分では正しいと思っている目標に従った行為をしているからである。
思い込みエラーは、外部からのチェックによってしか見つけることができない。

●確認を確実にするには
したがって、うっかりミスを防ぐには、一つ一つの行為の目標をしっかりと意識することがまず大事となる。これがうっかりミスを防ぐ入り口対策。漫然といつもの通りのことをしていると、うっかりミスをしても自己確認ができないで見逃してしまうことになる。
ところが、これが意外に難しい。目標の自己管理が難しいからである。
図に示すように、行為の目標は階層構造をなしている。その時々で意識している水準は異なる。行為をきちんとコントロールするには、目標は具体的なほうがよい。漫然と「安全第一」では具体的な一つ一つの行為を意識的にコントロールすることはできない。「制限速度遵守」なら具体的に行為をコントロールできる。
 目標構造を単純にして状況に応じて上下移動できるようにすることである。危険一杯の状況では具体的レベルに目標を落とす。安全環境では、目標を上に設定する。


図3 目標の階層構造


 もう一つは、うっかりミスを防ぐ出口対策。それは、確認行為を確実におこなうことである。
目標がはっきりと意識していても、確認という行為そのものが不完全であれば、うっかりミスを見逃してしまう
確認をしないのは論外。面倒なのは、確認行為はしているのだが、実質を伴っていない確認不全である。確認行為の形骸化と呼ばれている。
確認行為の形骸化は、一つには、馴れによって起こる。いつもいつも確認をすると、いつもいつも異常なし。これが続くと、つい今回も異常なしだろうとなりがちである。
確認行為の形骸化をもたらすもう一つは、確認も含めた一連の行為系列のマクロ化である。マクロ化とは、一連の行為系列が、意識の上で「一連」ではなく「一つ」の行為になってしまうことである。習熟に伴っておこる認知的な節約現象なので、ポジティブなところもあるのだが、確認が絶対に必要な段階では、確認行為が「意識的には」おこなわれないので、確認ミスが発生しがちになる。

図4 一連の行為のマクロ化の過程


こうした確認行為の形骸化を防ぐには、確認行為だけが際だつようにすることにつきる。確認すべきところでは指さし呼称を実施する、行為を強制的に中断させるなど。さらには、可能なら、一人だけの確認ではなく、複数が独立に確認する。

終わりにーーヒューマンエラーと都市交通の安全
運転業務はむろんのこと、施設・機械、システム、組織すべてに人がそれになりにかかわっている。それらの中で一人でも安全管理を怠ると不具合や事故になってしまう。だからヒューマンエラーの観点は大事、という話しをしてきたつもりである。
しかし、最後に付け加えておかなくてはならないのは、このことは、不具合や事故の責任者を探しだして罰すこととはまったく違う、ということである。あくまで、次なる不具合や事故を未然に防ぐためである。
安易な人為ミス説は百害あって一利なしである。蛇足になるが、付け加えておく。

参考文献
海保博之 2005 「ミスに強くなる! 安全に役立つミスの心理学」 中災防新書
海保博之・田辺文也 1996 「ワードマップ ヒューマンエラー 誤りからみる人と社会の深層」 新曜社


写真 わが愛車アコード

昔書いた原稿を探す

2008-03-25 | 心の体験的日記
ディスクをとっかえひっかえ差し込んでは、
公共交通とエラーについて昔書いた原稿を探した
出てこない
ふと思いついて、グーグルしてみた
一発で見つかった
昔開設していたアメブロのブログにアップしてあった
ブログのデータバンクとしての使い方もありだな
gooブログは、しかし、あまり長いものは受けつけてくれないようだ

写真 ウイークデイに銀行、市役所にいけない人用にサービス
してくれれば、悪評イメージも払拭できるのだがなー

ネーミングは広告のトータル・メモリー・デザインの核である  

2008-03-25 | 認知心理学
1111122222333314文字/1行  2500字179行 02/5/27 海保 ****
ネーミングは広告のトータル・メモリー・デザインの核である  
---ネーミングの心理学

筑波大学心理学系   海保博之

●覚え込んで、覚え続けて、思い出す  
人間の記憶には、覚え込む(記銘)、覚え続ける(把持)、思い出す(想起)の3つの局面がある。記銘-把持-想起が一体で活動しているとき、人間の記憶は最適な状態にあるのだが、しばしば、随所で、齟齬(そご)が発生してしまう。  たとえば、試験勉強。一夜漬けの猛勉の成果も、必要なときにタイミングよく思い出せなかった(検索失敗)、あるいは、試験が終ったらすべて忘れてしまった(記憶痕跡の消失)---実際にはありえないのだが!!---などなど。  これは、記銘と把持/想起との齟齬であるが、この類のことは、日常ごく普通に起こっている。  図に示す、短期記憶と長期記憶の間での情報の流れにブロックが発生してしまうためである。 * 図1 人間の記憶は、短期記憶   と長期記憶とからなる 別添PP済み *  こうした記憶管理不全は、たとえば、次のような例のごとく、広告宣伝の世界でもごく日常的に発生している。 ・新聞広告でみた何とかサワー という飲み物を買いたい ・名前「ZYXYZ」が発音できな いので覚えられない ・「攻めの1本」というキャッ チコピーは覚えているが商品 名が思い出せない ・NTCだったかNDCだっか  混同してしまった    こうした記憶管理不全を発生されるのは、人間の記憶特性への配慮を欠いた、広告宣伝の情報戦略が背景にはある。  そこで、本稿ではまず、ネーミングを、広告宣伝のトータル・メモリー・デザインの核として位置づけてみた。ついで、記憶モデルの一つ「意味ネットワーク活性化拡散モデル」を踏まえて、ネーミングの効果的デザインを考えてみることにする。

●記憶情報はノードとリンクで 表現される  
一つの名称の周辺には、実に多くの情報がはりついているのが普通である。  こうした情報空間は、頭の中(長期記憶)では、図に示すようなノードとリンクからなる意味ネットワークとして表現されている。 ** 図2 名称とその周辺情報の    意味ネットワーク表現 別添PP済み **  なお、ノードには、辞書的な用語に対応するもの(図の丸で囲んだノード)と、「いつどこでどうだった」といったエピソード的なもの(四角のノード)とがある。

●新しいノードとリンクを作る  
既有の意味ネットワークの中にいかにして新しい名称(ノード)を組み込むかが、ネーミング作業の一つの課題になる。  最も強引なノード作りは、たとえば、「be」「UFJ銀行」のように、英語の頭文字を並べたような「無意味な」ネーミングである。既有のネットワークとのリンク作りはあきらめて、最初から新たなネットワーク作りをねらう。  ここでは、ひたすら見せて聞かせることでノード形成をしてもらい、さらに、キャッチフレーズ/コピーによって既有のネットワークへのリンクづけを支援することになる。  これと正反対のノード作りは、既有の知識をフルに活用するものである。「ぴかいち君」電球、「朝めし太郎」納豆や、語呂合わせや駄じゃれなどである。  親しみが沸くが、既有のネットワークの中に埋もれてしまい差別化ができなくなることもある。  この中間にあるのが、「トマト銀行」のように、意味的にはかけ離れている、既有の2つのネットワーク「トマト」と「銀行」とを強引に結びつけるものである。  奇抜さが記憶に残るが、統一的な意味的イメージが作り出せないと、違和感が残る。

●ネットワークを活性化する  
このように新たに作られた、名称をノードとした意味ネットワークのうち活性度の高いノード(図中の太丸)が想起されることになる。  多くは、名称が思い出されるが、時には、周辺にあるノードのほうが活性度が高くなってしまい、肝腎の名称が喉までは出てくるが口には出てこないということも、しばしば起こる(喉まで出かかった現象)。  どれほど豊富なネットワークが形成されていても、ノードやリンクの活性度が低いと、必要なときにタイミングよく思い出してもらえない。  そこで、名称を核とするネットワーク全体を射程においた活性化の方策が大事となる。  名称やキャッチに頻繁に触れてもらうことが基本であるが、単調さやしつこさが嫌われる。  そこで、思い出してほしいところで、名称やそれに関連する情報や物を「見せる」という方策も有効となる。  手がかりなしでは思い出せないことでも(再生不能)、手がかりを見せられれば、ネットワークが活性化して思い出せる(再認可能)。  たとえば、 CFで見せたのと同じパッケージが店頭にあれば、「TVで見たあの商品」ということになる。  もっと知的な(?)方策もありうる。  それは、意味ネットワークをただ活性化するだけでなく、新たな「意味」の構築を促すことである。具体的な方策として2つ挙げておく。
1)連想を活発にさせる  名称も含めて、ロゴ、キャッチ、ビジュアルなど広告全体で豊富で多彩な連想が惹起されるようにする。  意味が拡散してしまう危険性はあるが、ネットワークのどれかが活性化していれば、そこからイモずる式に名称などがたどれる。
2)物語を作ってもらう  鍵となる情報だけは変えずに、周辺的な情報を、あたかも小説のように、意味のある形で変えて提示する(物語化する)。  物語は、たくさんのノードをリンクで強く連結することで、ネットワークを一貫性のあるものにする。これが、記憶をより芳醇かつ強固なものにする  

写真 桜氏提供
買いたいものが思い出せるかなー

今日の箴言

2008-03-25 | 心の体験的日記
●今日の箴言05/2/8
「シンプルな制度とはただ単純ではない。基本戦略は決めても残りは裁量に任せる、あるいは状況の変化にあわせて微調整していく、そうした自由の多い制度なのです。」(塩野七生)

写真
文九郎君と文子ちゃん
なかよしになりました
提供 桜氏

マニュアルのユーザビリティ評価

2008-03-25 | わかりやすい表現


 新たに設計されたマニュアルの適切性や改善点を発掘するために、次の4種類のユーザビリティ評価を行った実例を紹介する(キャノン(株)、1990)。

・3人の想定ユーザに、マニュアルを読ませながら実際に機械を操作させる(実機調査)

・ドキュメント関連の研究者に査読してもらう(インスペクション法)

・エキスパートユーザ、ターゲットユーザ、各4名に、SD法や評定尺度によって、印象を評価してもらう(評定尺度による調査)

・6名のユーザによる集団討議によって、設計ポイントなどの適切さを議論してもらう(グループ・インタビュー)


写真 坂を下ると
そこは??
桜氏提供

暖かいのか寒いのか

2008-03-25 | 心の体験的日記
過ごしにくい時期である
寒そうだからとコートを羽織って散歩に出たら
汗ばむくらいの温かさ
その逆もある
かぜをひかないようにしないと
高齢者は、かぜから肺炎
そして、---となる可能性が高いとのこと

モーツアルト、ベスト1は?

2008-03-25 | 安全、安心、
●今日のショック05/2/7
題名のない音楽会でモーツアルト特集べテスト10をやっていた。最後にではベストワンを。さてなんだーと緊張する?が、「レクイエム」だった。聞いたこともない曲だった。映画アマデウスのバックミュージックだったかも。2位「トルコ行進曲」三位「魔笛」までは、ほとんどよく聞く曲なのに、一位レクイエムを聞いたこともないとは!!。