「僕たちは世界を変えることができない。」
2008年に自費出版された(現在は小学館から新装版発売中)葉田甲太氏著の同名タイトル小説(自伝)の映画化。
主人公の医大生・甲太(コータ)役を今ノリにノッてる向井理君が演じ、一緒にボランティア活動をする仲間達も
若手注目株(と言うと聞こえはいいがまだ大して売れてない、とも言うw)を揃えてフレッシュ感が溢れる。
監督は「バトル・ロワイヤル2」の深作健太氏。深作氏は「ドキュメンタリー感」にこだわって全編のほとんどを
手持ちカメラで撮影し、セリフも現地で随時変更したり役者のアドリブ任せにするなど、役者の「素」「地」の部分が
ふんだんに全面に押し出された作りになっているそうだ。
簡単なあらすじは、
2005年、バイトしてコンパして大学で授業中に居眠りして・・・特に不満はないけど何か物足らない、そんな日々を
送っていた医大の2年生だった甲太(コータ)は、ある日郵便局に置かれていた海外支援のパンフレットに目を留めた。
そこには「150万円の寄付でカンボジアに屋根のある小学校が建ちます」と書かれていた。何となく「コレだ!」と思った
コータは友達に片っ端からメールをした。「カンボジアに小学校を建てよう!」と。
集まったのはいつもの仲間・芝山と矢野、それから合コンで知り合ったチャラ男の本田の3人だけ。それでも4人で何とか
学生サークルを立ち上げてチャリティーイベントを開催したりスポンサーを付けたり、最初は順調な滑り出しだったのだが・・・
本作はもちろん原作本のある、脚本のある「物語」ではあるんだけど、そもそも原作自体が「自伝(事実)」なので
実際にあった話を後から俳優さんになぞってもらっているという訳で。
だから映画内で起こっているエピソードやカンボジアの現状、様子等はほぼそのまま事実が描かれていると考えていい訳です。
脚本のある話だけどドキュメンタリーに非常に近い。
何ていうか「世界仰天ニュース」とか「金スマ」の再現ドラマをリアルなドキュメンタリー番組として見てるような感じ。
それだけに、劇中にサークルのメンバー(コータが絶賛片思い中の女子)から「ボランティアするならまず自分がカンボジアの
現状を見て、カンボジアを知るべきでは?」と言われて仲間4人でカンボジアに視察旅行に行くくだりが胸に迫る。
現地ガイド役のブティさんは役者じゃなくて本当にプノンペンでガイドをしている方だそうで、彼の語るカンボジアの歴史や
体験は、本当にそのまままるごと「カンボジアの現実」な訳です。
何となくノリと勢いみたいな感じで始めたボランティア活動だったけど、等身大のカンボジアの過去と現状を知って
雷に打たれたかのような衝撃を受けるコータ達。
「ポル・ポト」が犯した大罪、そして今も深く根強く残るポル・ポト派の爪痕、貧困と無学故のHIV感染拡大の惨状。
とにかくその現実は彼らの想像を遥かに超えていて、「たかだか小学校の校舎を建てた所で何になるんだ?」という疑問や
思うように資金が集められない焦りから仲間割れを起こしたり、様々な災難と葛藤が彼らを襲う。
これは「映画」として見るモノではないような気がしますね。
でも広く多くの人に見てもらいたい話であります。特に今学生の方、高校生・大学生には多くの人に見てもらいたい。
決して「向井理君のアイドルムービー」ではありませんよ。・・・ただ、本編見ると益々向井君LOVE♪って気持ちになるけどネw
タイトルの通り、私が今100円募金をしたからってカンボジアの現状は何も変わらない。
私の100円ぽっちじゃ何も変わらない。けど、みんなが1円ずつ寄付したら?日本国民全員が1円ずつ寄付したら1億になる。
1人1人は無力でも、ほんの一滴の水でも・・・それが集まればいつか海になる。大きなうねりになる。
そして自分のほんのちょっとの善意の行動が、どこかの誰かを笑顔にしていると知ったら?その笑顔をもし見る事が出来たら?
・・・そういう、人として一番シンプルで尊い気持ちを改めて教えられる作品。必見です。
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個人的な事だけど、私も2005年にカンボジアに物見遊山気分で行ってトンカチで後頭部ぶん殴られたような衝撃をうけましてね、
帰国してからどんな小さな事でもいいからカンボジアの為に何か出来ないか?と自分なりに調べまして、
そして「プランジャパン」というボランティア団体に行き着いて、そこに登録をして微力ながらカンボジア支援を今も続けています。
私が行っている支援は国を指定して援助する事が出来、国を指定するとその国でプランジャパンが支援している地域の中で
アトランダムに特定の家族・子供を「疑似ファミリー」として紹介されて、その子供の成長を見届ける事で自分の援助がその国に
きちんと貢献しているという事を実感出来るというシステムになっています。
私達夫婦には、貧しい農村の少女「ティアブちゃん」が疑似ファミリーとして紹介されました。
彼女は支援を始めた当初9歳だったのですが、一番最初に彼女から届いた手紙には幼稚園児でももう少しまともな絵が描ける
のではないかと思われるような、ミミズの這ったような貧相なラクガキが1枚と写真が数枚入っていました。
教育が施されないという事がどういう事なのか、9歳児だというのにこの程度の絵もまともに描けない、字も全く読む事が出来ないと
スタッフからの状況説明を受けて本当に本当にショックを受けました。
正直言って・・・9歳になってもこのレベルの子に今から支援してやってどこまで出来るようになるのだろうか?という疑問すら。
そして6年が経ち、
先日私達夫婦の所にティアブちゃんから手紙が届きました。
どうですか!?
あの、ミミズが這ったような絵しか描けなかった女の子が、こんなに素晴らしい文字を自分で書いて日本に送ってくれるまでに
成長してくれたんですよ。もう大感激でした。
手紙の内容は、東日本大震災が日本で起こって未曾有の被害にあったとニュースで知ってとても悲しんでいる、私達の安否を
とても心配している、というお見舞いの手紙でした。
本当に、1人1人の力は微力でも、それが集まればこうして誰かを成長させたり笑顔に出来たりするんだと改めて実感した一瞬。
この映画を見てもピンと来ない人も多いと思う。
私だってカンボジアにスポットを当てた番組を過去何度も見ていたハズなのに、全く胸に迫るモノなんてなかった。
現地に行って、現状を見て、初めて突き動かされたんですから。
もしこの映画を見て少しでもカンボジアに興味を持った方がいたら、是非現地に行って、現地の子供達を見てやって欲しい。
出来ればプノンペンやシェムリアップのような都市部だけでなく、インフラの整備されていない田舎の農村を見て欲しい。
私達のような何の力のない人間にも、この地球上にはまだまだ手を差し伸べられる場所が沢山あるんです。
2008年に自費出版された(現在は小学館から新装版発売中)葉田甲太氏著の同名タイトル小説(自伝)の映画化。
主人公の医大生・甲太(コータ)役を今ノリにノッてる向井理君が演じ、一緒にボランティア活動をする仲間達も
若手注目株(と言うと聞こえはいいがまだ大して売れてない、とも言うw)を揃えてフレッシュ感が溢れる。
監督は「バトル・ロワイヤル2」の深作健太氏。深作氏は「ドキュメンタリー感」にこだわって全編のほとんどを
手持ちカメラで撮影し、セリフも現地で随時変更したり役者のアドリブ任せにするなど、役者の「素」「地」の部分が
ふんだんに全面に押し出された作りになっているそうだ。
簡単なあらすじは、
2005年、バイトしてコンパして大学で授業中に居眠りして・・・特に不満はないけど何か物足らない、そんな日々を
送っていた医大の2年生だった甲太(コータ)は、ある日郵便局に置かれていた海外支援のパンフレットに目を留めた。
そこには「150万円の寄付でカンボジアに屋根のある小学校が建ちます」と書かれていた。何となく「コレだ!」と思った
コータは友達に片っ端からメールをした。「カンボジアに小学校を建てよう!」と。
集まったのはいつもの仲間・芝山と矢野、それから合コンで知り合ったチャラ男の本田の3人だけ。それでも4人で何とか
学生サークルを立ち上げてチャリティーイベントを開催したりスポンサーを付けたり、最初は順調な滑り出しだったのだが・・・
本作はもちろん原作本のある、脚本のある「物語」ではあるんだけど、そもそも原作自体が「自伝(事実)」なので
実際にあった話を後から俳優さんになぞってもらっているという訳で。
だから映画内で起こっているエピソードやカンボジアの現状、様子等はほぼそのまま事実が描かれていると考えていい訳です。
脚本のある話だけどドキュメンタリーに非常に近い。
何ていうか「世界仰天ニュース」とか「金スマ」の再現ドラマをリアルなドキュメンタリー番組として見てるような感じ。
それだけに、劇中にサークルのメンバー(コータが絶賛片思い中の女子)から「ボランティアするならまず自分がカンボジアの
現状を見て、カンボジアを知るべきでは?」と言われて仲間4人でカンボジアに視察旅行に行くくだりが胸に迫る。
現地ガイド役のブティさんは役者じゃなくて本当にプノンペンでガイドをしている方だそうで、彼の語るカンボジアの歴史や
体験は、本当にそのまままるごと「カンボジアの現実」な訳です。
何となくノリと勢いみたいな感じで始めたボランティア活動だったけど、等身大のカンボジアの過去と現状を知って
雷に打たれたかのような衝撃を受けるコータ達。
「ポル・ポト」が犯した大罪、そして今も深く根強く残るポル・ポト派の爪痕、貧困と無学故のHIV感染拡大の惨状。
とにかくその現実は彼らの想像を遥かに超えていて、「たかだか小学校の校舎を建てた所で何になるんだ?」という疑問や
思うように資金が集められない焦りから仲間割れを起こしたり、様々な災難と葛藤が彼らを襲う。
これは「映画」として見るモノではないような気がしますね。
でも広く多くの人に見てもらいたい話であります。特に今学生の方、高校生・大学生には多くの人に見てもらいたい。
決して「向井理君のアイドルムービー」ではありませんよ。・・・ただ、本編見ると益々向井君LOVE♪って気持ちになるけどネw
タイトルの通り、私が今100円募金をしたからってカンボジアの現状は何も変わらない。
私の100円ぽっちじゃ何も変わらない。けど、みんなが1円ずつ寄付したら?日本国民全員が1円ずつ寄付したら1億になる。
1人1人は無力でも、ほんの一滴の水でも・・・それが集まればいつか海になる。大きなうねりになる。
そして自分のほんのちょっとの善意の行動が、どこかの誰かを笑顔にしていると知ったら?その笑顔をもし見る事が出来たら?
・・・そういう、人として一番シンプルで尊い気持ちを改めて教えられる作品。必見です。
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個人的な事だけど、私も2005年にカンボジアに物見遊山気分で行ってトンカチで後頭部ぶん殴られたような衝撃をうけましてね、
帰国してからどんな小さな事でもいいからカンボジアの為に何か出来ないか?と自分なりに調べまして、
そして「プランジャパン」というボランティア団体に行き着いて、そこに登録をして微力ながらカンボジア支援を今も続けています。
私が行っている支援は国を指定して援助する事が出来、国を指定するとその国でプランジャパンが支援している地域の中で
アトランダムに特定の家族・子供を「疑似ファミリー」として紹介されて、その子供の成長を見届ける事で自分の援助がその国に
きちんと貢献しているという事を実感出来るというシステムになっています。
私達夫婦には、貧しい農村の少女「ティアブちゃん」が疑似ファミリーとして紹介されました。
彼女は支援を始めた当初9歳だったのですが、一番最初に彼女から届いた手紙には幼稚園児でももう少しまともな絵が描ける
のではないかと思われるような、ミミズの這ったような貧相なラクガキが1枚と写真が数枚入っていました。
教育が施されないという事がどういう事なのか、9歳児だというのにこの程度の絵もまともに描けない、字も全く読む事が出来ないと
スタッフからの状況説明を受けて本当に本当にショックを受けました。
正直言って・・・9歳になってもこのレベルの子に今から支援してやってどこまで出来るようになるのだろうか?という疑問すら。
そして6年が経ち、
先日私達夫婦の所にティアブちゃんから手紙が届きました。
どうですか!?
あの、ミミズが這ったような絵しか描けなかった女の子が、こんなに素晴らしい文字を自分で書いて日本に送ってくれるまでに
成長してくれたんですよ。もう大感激でした。
手紙の内容は、東日本大震災が日本で起こって未曾有の被害にあったとニュースで知ってとても悲しんでいる、私達の安否を
とても心配している、というお見舞いの手紙でした。
本当に、1人1人の力は微力でも、それが集まればこうして誰かを成長させたり笑顔に出来たりするんだと改めて実感した一瞬。
この映画を見てもピンと来ない人も多いと思う。
私だってカンボジアにスポットを当てた番組を過去何度も見ていたハズなのに、全く胸に迫るモノなんてなかった。
現地に行って、現状を見て、初めて突き動かされたんですから。
もしこの映画を見て少しでもカンボジアに興味を持った方がいたら、是非現地に行って、現地の子供達を見てやって欲しい。
出来ればプノンペンやシェムリアップのような都市部だけでなく、インフラの整備されていない田舎の農村を見て欲しい。
私達のような何の力のない人間にも、この地球上にはまだまだ手を差し伸べられる場所が沢山あるんです。