「エンパイア・オブ・ライト」
『007』シリーズや『1917 命をかけた伝令』等を手掛けるサム・メンデス監督の最新作。なんかこーいう静かでしっとりとしたヒューマンドラマはちょっと久し振りかも。
クレジット見ると脚本もサム・メンデス氏が手掛けられてるんですね。どうやら原作小説等のないオリジナル脚本っぽい?
あらすじ
1980年代初頭のイギリスの海辺の町マーゲイト。つらい過去を抱えて生きるヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、地元にある映画館・エンパイア劇場で働いている。厳しい不況の中、ある日、夢をあきらめて映画館で働くことを決意した青年スティーヴン(マイケル・ウォード)が彼女の前に現れる。やがて彼らは心を通わせていくが、二人の前に思わぬ試練が立ちふさがる。(Yahoo!Movieから丸パク)
ちょっとゴタついてた頃のイギリスのある海辺の街にある映画館が舞台。
ザクーッと本作を一言で説明すると「メンヘラおばさんとイケメン黒人青年のラブストーリー」という事になるんですが、この説明では誰も観る気が起きないわな(苦笑)
なんて言うかさ、物凄く雰囲気のいい作品で…上の「一言説明」は色々端折り過ぎているので一旦忘れてもらってだね(ヲイ)、とりあえずは本作が全体にまとっているなんともノスタルジックな空気感と、「海辺の街」というロケーションとその海辺に沿って建つレトロな映画館の雰囲気、そして本作は音楽が実に良かった!調べたら音楽担当しているのはトレント・レズナー氏とアッティカ・ロス氏の共同らしいんだけど、どうやらこの2人で組んで映画音楽をいくつも手掛けているらしい。
で、映画館の支配人役でコリン・ファースが♪^^
結構久し振りに見たかも~わーい♪って思ってたらコリン・ファース、エロジジイの役だった(涙)、カッコイイのにエロジジイだったクッソー
全体的にゆるぅ~っと話が流れてて、なんでもない日常が淡々と繋がっていてそこにある日新しく黒人青年がスタッフとして加わって、職場でちょこちょこ会話したりが続いてなんとなーくいい雰囲気になってなんとなーくウフフキャハハな感じになっちゃって…みたいな、何処にでもある恋愛の風景って感じで。
ただ、この時代のイギリスの不況と失業率の高さから来る国全体の雰囲気の悪さというか、移民である黒人に対するあからさまな蔑視だったりが主人公のヒラリーと黒人青年スティーブンとの間にも微妙な影を落としていく訳です。ある日スティーブンを街で見掛けたヒラリーはウキウキしながら後を追って、今正に後ろから声を掛けようとした寸前にスティーブンが街のゴロツキみたいな不良青年達に絡まれるんですね。それを後ろで隠れてそっと眺めながら、でも怖くてそれを制止する事も出来ずただただビクビクしながら眺めているしかないヒラリー。まあ女1人がそこに立ち塞がったってどうにかなる訳ないから仕方ないんだけど、そういう事の積み重ねが心に澱のように溜まっていくと言うか。
で、ヒラリー自身にも統合失調症の既往症があって入院歴があり現在も通院加療中という側面があって。
彼女がスティーブンに自分の家族の事を語るシーンがあるんだけど、まあ母親が猛毒系でいい家庭環境で育たなかった事から心病んじゃってるっぽい…というのが透けて見える。自分正直言うと病んでる系のキャラとかネタがあんまり得意ではない、むしろ積極的に苦手なタイプなのでこの辺りは結構辟易してしまったんですが…でも自分の思い通りにならない焦れったさだったり、いいようにあしらわれて性を搾取される苦しさや鬱憤だったりは病んでなくても理解出来ます。
スティーブンは多分だけど映画館に就職した時は大学に進学する事を諦めて腐ってたんだと思うんですね。それがヒラリーと出会って彼女と一緒に過ごし、映画館の仲間達と仕事をして行く内に荒んだ心も浄化されて、そしてヒラリーから「諦めちゃダメ」と叱咤激励された事で自己再生して行ったんだろうと。
本作のラストは決してヒラリーにとってはハッピーエンドとは言い難い展開だったのかもしれないけど、でもあの80年代の鬱屈したイギリスのとある街で、こんな再生物語がきっと有ったに違いない…ラストシーンはちょっと切なくて、でも少しだけ爽やかな気持ちにもなりましたね。いい映画でした。
『007』シリーズや『1917 命をかけた伝令』等を手掛けるサム・メンデス監督の最新作。なんかこーいう静かでしっとりとしたヒューマンドラマはちょっと久し振りかも。
クレジット見ると脚本もサム・メンデス氏が手掛けられてるんですね。どうやら原作小説等のないオリジナル脚本っぽい?
あらすじ
1980年代初頭のイギリスの海辺の町マーゲイト。つらい過去を抱えて生きるヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、地元にある映画館・エンパイア劇場で働いている。厳しい不況の中、ある日、夢をあきらめて映画館で働くことを決意した青年スティーヴン(マイケル・ウォード)が彼女の前に現れる。やがて彼らは心を通わせていくが、二人の前に思わぬ試練が立ちふさがる。(Yahoo!Movieから丸パク)
ちょっとゴタついてた頃のイギリスのある海辺の街にある映画館が舞台。
ザクーッと本作を一言で説明すると「メンヘラおばさんとイケメン黒人青年のラブストーリー」という事になるんですが、この説明では誰も観る気が起きないわな(苦笑)
なんて言うかさ、物凄く雰囲気のいい作品で…上の「一言説明」は色々端折り過ぎているので一旦忘れてもらってだね(ヲイ)、とりあえずは本作が全体にまとっているなんともノスタルジックな空気感と、「海辺の街」というロケーションとその海辺に沿って建つレトロな映画館の雰囲気、そして本作は音楽が実に良かった!調べたら音楽担当しているのはトレント・レズナー氏とアッティカ・ロス氏の共同らしいんだけど、どうやらこの2人で組んで映画音楽をいくつも手掛けているらしい。
で、映画館の支配人役でコリン・ファースが♪^^
結構久し振りに見たかも~わーい♪って思ってたらコリン・ファース、エロジジイの役だった(涙)、カッコイイのにエロジジイだったクッソー
全体的にゆるぅ~っと話が流れてて、なんでもない日常が淡々と繋がっていてそこにある日新しく黒人青年がスタッフとして加わって、職場でちょこちょこ会話したりが続いてなんとなーくいい雰囲気になってなんとなーくウフフキャハハな感じになっちゃって…みたいな、何処にでもある恋愛の風景って感じで。
ただ、この時代のイギリスの不況と失業率の高さから来る国全体の雰囲気の悪さというか、移民である黒人に対するあからさまな蔑視だったりが主人公のヒラリーと黒人青年スティーブンとの間にも微妙な影を落としていく訳です。ある日スティーブンを街で見掛けたヒラリーはウキウキしながら後を追って、今正に後ろから声を掛けようとした寸前にスティーブンが街のゴロツキみたいな不良青年達に絡まれるんですね。それを後ろで隠れてそっと眺めながら、でも怖くてそれを制止する事も出来ずただただビクビクしながら眺めているしかないヒラリー。まあ女1人がそこに立ち塞がったってどうにかなる訳ないから仕方ないんだけど、そういう事の積み重ねが心に澱のように溜まっていくと言うか。
で、ヒラリー自身にも統合失調症の既往症があって入院歴があり現在も通院加療中という側面があって。
彼女がスティーブンに自分の家族の事を語るシーンがあるんだけど、まあ母親が猛毒系でいい家庭環境で育たなかった事から心病んじゃってるっぽい…というのが透けて見える。自分正直言うと病んでる系のキャラとかネタがあんまり得意ではない、むしろ積極的に苦手なタイプなのでこの辺りは結構辟易してしまったんですが…でも自分の思い通りにならない焦れったさだったり、いいようにあしらわれて性を搾取される苦しさや鬱憤だったりは病んでなくても理解出来ます。
スティーブンは多分だけど映画館に就職した時は大学に進学する事を諦めて腐ってたんだと思うんですね。それがヒラリーと出会って彼女と一緒に過ごし、映画館の仲間達と仕事をして行く内に荒んだ心も浄化されて、そしてヒラリーから「諦めちゃダメ」と叱咤激励された事で自己再生して行ったんだろうと。
本作のラストは決してヒラリーにとってはハッピーエンドとは言い難い展開だったのかもしれないけど、でもあの80年代の鬱屈したイギリスのとある街で、こんな再生物語がきっと有ったに違いない…ラストシーンはちょっと切なくて、でも少しだけ爽やかな気持ちにもなりましたね。いい映画でした。