事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

茶の味(2003 クロックワークス=レントラックジャパン)

2008-05-11 | 邦画

監督・脚本石井克人 主演三浦友和 手塚理美 浅野忠信

石井克人プロフィール。
1966年新潟県生まれ。武蔵野美術大学卒業後、東北新社に入社。多数のCMを手がける。94年、「8月の約束」がゆうばり国際・冒険ファンタスティック映画祭ビデオ部門でグランプリ。長篇デビュー作「鮫肌男と桃尻女」(’98)はその年の単館系興行成績第2位を記録。続く「PARTY7」(’01)もヒット。また「世にも奇妙な物語 SMAPの特別編 BLACK ROOM」などテレビでも話題作を連発している。近作「茶の味」。タランティーノの「キル・ビル」ではアニメパートのキャラクターデザインを担当。

……こう説明されてもいまひとつ感じとれないでしょう?でも彼がつくったCMを見たことのない人はいないはず。あのキムタクと岸部一徳の「富士通FMⅤ」や旭化成の「イヒ!」とくれば彼の作風はわかっていただけるのでは。あの独特の“間(ま)”こそ彼の真骨頂。わたしは昔から彼のファンで、「鮫肌~」は例によって事務職員部報で当時とりあげている。

事務職員へのこの1本
鮫肌男と桃尻女」 石井克人監督 浅野忠信主演
事務職員部長になってこの二年、なってよかったと思ったことはそれこそたーくさんあったのですが(泣)、山形市内の会議が遅くなった時にいきなり映画館に走り、酒田にいては絶対に観ない観れない映画を楽しみ、女房子どもを忘れて居酒屋で大酒をくらってビジネスホテルで爆睡する、これがいちばんだった。翌朝は最低の状態に陥るが。
 このとんでもない題名の映画もこんなパターンで観た。去年のわたしのベストワン。とにかく役者が全員素晴らしくてまいった。岸部一徳、鶴見辰吾がいいのは当然としても、寺島進、島田洋八、若人あきらの怪演には恐れ入った。そして誰よりも浅野忠信!CMでトマトジュースや角瓶を飲んでいるだけの男ではなかった。チャラの亭主というだけの男ではなかったのである。今ごろ気づいても遅い、と突っこまれそうだが。
 それ以来、出演作は全てといっていいくらい観て幸せな生活を送らせていただいている。あの時ヌーベルに行って本当によかった。事務職員部長になって本当によかったよぉ(すみません、この二年で本当に嘘がうまくなってしまいました)。                   山形県教職員組合事務職員部報№313 2000年2月25日号

T0001961 「茶の味」もすばらしい。“日本でいちばん自然な演技をする男”三浦友和を中心に、おなじみ我修院達也(若人あきら)が年老いたアニメーターを演じて最後にホロリとさせる。石井人脈が爆発していて、単館系ムービーのくせに意外なほどのオールスターキャスト。劇中歌「山よ」は爆笑。ぜひ一度おためしを。

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「容疑者Xの献身」 東野圭吾著 文藝春秋

2008-05-11 | ミステリ

418zzt4nj0l 東野圭吾はさまざまな意味で損をしてきた作家だと思う。「放課後」で、当時は今よりもずっと影響力のあった江戸川乱歩賞を受賞してめぐまれたデビュー。でもそれ以来、「白夜行」や「秘密」などの力作を書いていたのになかなか直木賞はゲットできないでいた。
 理由はいろいろと考えられる。「噂の真相」などでささやかれていたのは、あまりに美男であるため、先輩作家たちにやっかまれている(笑)というもの。確かに、文壇バーでのもてっぷりは有名で、他の作家のお気に入りのホステスが東野に熱をあげてしまい……なーんてゴシップまで。

しかしわたしは、作品ごとに作風を変化させる彼の器用さがマイナスにはたらいてしまったのではないかと思っている。本人もそのあたりは重々承知しているようだけれど「同じ作風を続けることは耐えられない」過剰なサービス精神はエンタテインメント作家として得がたい気質だろうか。

加えて彼の特徴は、理系専攻でメーカー勤務経験があることだ。そんな彼の数学に対するスタンスは「容疑者Xの献身」でも作中人物の語りの形で披瀝されている。

「すべての人間に数学が必要なわけではない。しかし高校までで教える内容は、“数学への入口”にすぎない」

文庫オリジナルで昨年発売された「さいえんす?」(角川)のなかでもこの主張はなされている。このエッセイ集は理系人間のまっとうな主張がつめこまれているので必読です。

 さて、「容疑者Xの献身」だが、東野の欠点である“セリフが生硬”“コンセプトみえみえ”が散見されるのが残念。これでベストワンなのかなあ……と思った途端に最後のトリックにあ然。夜中に布団の中で「。」とマジで声を出して驚いてしまう。こんな手があったのかあ!これには嫉妬深くてミステリがわからない某直木賞審査員たちもぐうの音も出ないだろうや。ねえ林真理子さん渡辺淳一さん。

映画版の特集はこちら。ネタバレなのでおすすめできません

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「海を飛ぶ夢」('04 スペイン) 

2008-05-11 | 洋画

海の事故で、首から下が不随となったラモン・サンペドロは、26年間をベッドの上で過ごし、その年、自ら命を絶つ決断をする。人権支援団体で働くジェネは、ラモンの死を合法にするため、弁護士のフリアの協力を仰ぐ。法廷へ出る準備を進め、ラモンの話を聞くうちに、フリアは強く彼に惹かれていった。ある日フリアは、ラモンの家で発作に倒れる。不治の病に冒されたフリアは、やがて自らも死を望み、ラモンの死を手伝う約束をする……
『オープン・ユア・アイズ』や『アザーズ』などの作品で知られるスペイン映画界の注目株、アレハンドロ・アメナーバル監督の新作。04年米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、人間の死の意味を問う映画。

「なーにがスペインはいいけろ?だヒロシ。全然いぐねーよ」
先月スペインに観光旅行に出かけた近所のオヤジは吐き捨てる。
「食い物だってや、うめぐねし。パエリヤ?あれはよー、貝どが魚どが海鮮モノでいっぱいだど思うろ?違うぞー、あれは単にチキンライスだぞチキショー」
マドリードとバルセロナを訪れた彼の、単に運が悪かっただけ、という気もするが。
「スペインはよ、ガウディ!あれだげだ。他は全部だめ!」

……いや、映画もすばらしい。「海を飛ぶ夢」は、安楽死をテーマにしていることから、どう転んでもカタルシスとは無縁の映画だが(実話が基になっているのがまたきつい)、しかしタイトルどおりのシーンなど、監督の才能をたっぷりと堪能できる。主演のハビエル・バルデムがひたすらうまくて、事故前の若い身体の跳躍と、ベッドの上でまったく動けない状態の両極端をみごとに演じきっている。だいたいこいつ何才なんだよ。若手が老け作りしたのか、それとも中年が若作りをしたのかわからないぞ(実際はもちろん前者。毎日5時間かけてメイクしたらしい)。彼のうまさが「安楽死」そのものよりも「ベッドの上にいる自分にどうしても満足できない男の悲劇」についてつくづくと考えさせてくれる。衝撃のラストなど、「あ、いま目の前で人が死んでいく」リアルさに慄然とする。

 ハリウッド映画に慣れている目からすると、スペイン製であること自体が既に新鮮。コードが違う、というか。主人公とともに死を願う弁護士が、ベッドのそばでひたすらにタバコを吸い、彼にも吸わせてやるシーンなど、もはや米映画でお目にかかることなどできまい。でまたこの弁護士がいい女なんだ。いい歳のとり方をしているというか。これもまた、スペイン。ついこの間までフランコ独裁だったことなど思いもよらない、大人の国の、大人の映画。

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ドッペルゲンガー ~ アニメキャラよりは薄く

2008-05-11 | ドッペルゲンガー

アニメキャラよりも濃く」はこちら

Mail02a 内輪ネタですが、私と同じ階に住む男性。紺色のボルボに乗ってるその人は身長およそ182、3センチ前後、体重不明(笑)。推定年齢40代半ばで、ヘアースタイル、メガネをかけた容貌はまるで「家栽の人」の桑田判事をホーフツとさせます。……ここまでくればピーンときたでしょうが、エレベーターや駐車場でたまに見かける名も知らぬこの人を、私は勝手に「ホリ2号」と呼んでおります(笑)

Kuwata ……ご想像のとおりこのネタは例の“遭遇する女”より。しかしここまで条件が一致するか。ん?ゴルフよりボルボの方がステイタス高いか。とりあえず2号のことは一発殴っといた方が賢明ではないでしょうか。きっとろくなヤツじゃないと思うんだ。

次号はいよいよオリンピックドッペル

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ドッペルゲンガー ~ アニメキャラよりも濃く

2008-05-11 | ドッペルゲンガー

適当にね、ニッポン!」はこちら

Mail03c 我が妻いわく、「ボーボボーって田嶋陽子に似っだよの。特にピンクのおかっぱ頭のボーボボーが」納得しちゃいました。

 わはははは。これはなあ、何ちゅうか。しかし田嶋陽子の世間のなめっぷりはすごいな。誰かキチンと言ってやる人はまわりにいないんだろうか。

 それからジャンプの読者か小さい子どもがいる人しかわからないだろうけど、このボボボーボ・ボーボボ(人名です)の人気ってのもなあ。ジャンプお得意の“絵柄が汚くても笑えればいい”タイプのマンガ。子どもにうけるのはわかる。わたしだって苦笑したりしている。でもさー(笑)

次号もキャラ篇。もっと薄味ですけど

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ありふれた調査 Q2

2008-05-11 | 日記・エッセイ・コラム

Kagoai Q1こちら

 まず、無作為に選んだといいながら、どうしてわたしの郵便番号や住所、そして“わたしが成人であるかどうか”をJTが知っているのだろう。

 それに、昭和40年以来毎年実施している歴史ある調査のくせに、JTのホームページでもこの調査の告知は行われていない。だいたい、「たばこについての世論調査」で検索しても、ほとんどヒットしないのはなぜだ。「報道各社に公表して」いない部分にこそ、この調査のキモがあるのでは……なんて勘ぐりたくもなる。

 ではアンケートの中味をみてみよう。
1.あなたは現在「たばこ」をお吸いになりますか。→「はい」「35本」
2.ふだん主にお吸いになっている「たばこ」は何ですか→「マイルドセブンライト」
3.あなたは1年前「たばこ」をお吸いになっていましたか→「はい」
4.あなたはふだんご自宅で「たばこ」を吸われますか→「廊下で窓を開けて」
5.あなたは「たばこを減らそう」とか「やめよう」という気持ちをお持ちですか→「減らそうとも、やめようとも思っていない」
6.あなたは、この世の中に「たばこ」は必要なものだとお考えですか→「まあ、あった方がよい」
7.あなたが「たばこ会社が優先的に実施すべきである」と考えるものすべてに○をおつけください→「駅に喫煙場所を設置して分煙を促進すること」「成人にしか買えない仕組みになっている自動販売機設置」

……その他、吸わない人向けや個人情報っぽい質問がたくさんある。たとえば
1.あなたの喫煙を嫌がるのはどなたですか。
 ①配偶者  ②子供  ③親  ④兄弟  ⑤友人知人  ⑥恋人  ⑦同僚上司

……とか。このような調査が40年近く行われている(内容は変遷があるだろうが)わけだから、専売公社→JTにはよほどの情報蓄積がなされているのだろう。そのコストとして謝礼だけでも数千万円かけるのだから(2万人ぐらいが対象になっているらしい)、かなり重要視されている調査だということか。

 めちゃめちゃな退職優遇策によって退職者が予想以上に殺到し、喫煙者の減少によって右肩上がりの成長など望むべくもないJTとしては、喫煙に関する意識調査が、昔は「ありふれた調査」に過ぎなかったとしても、現在は生命線なのかもしれない。少なくともこのアンケート自体を一種の広告として……いや、それはないな。え?どうしてわたしが調査に協力したかって?1000円の図書カードだけでなく、こうして2号にわたるネタを提供してくれたJTに、ちょっと感謝しているからです(^o^)。

……06年以来、3年続けてこの調査はわたしのところへ送付されている。しかし調査はビデオ・リサーチに委託されているようで、なんか、視聴率調査に協力しているような変な気分にもなった。来年も来るのかな?中国ギョーザ事件でそれどころじゃないんだろうか。

画像は、ちょっとシャレがきついけど加護亜依。がんばれよ、喫煙者はみんな応援しているぞ。

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ありふれた調査 Q1

2008-05-11 | 日記・エッセイ・コラム

「たばこについての世論調査」のお願い
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拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
 さて、弊社では、「たばこ」に関する種々のご意見をお伺いするため、毎年、全国の成年男女の方々を対象に「たばこについての世論調査」をお願いしております。
 このたび、本年の調査をご依頼する方々を、統計調査の手順に従って無作為に選ばせていただいたところ、あなた様にお願いすることとなりました。
 つきましては、お忙しいところ突然で誠に恐縮ではございますが、同封いたしました調査票の質問について、あなた様のご回答をいただきたく、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 本調査は、全国の成年男女に占める喫煙者の割合を把握することを主目的に、昭和40年以来毎年実施しているもので、調査結果は報道各社に公表している世論調査です。
 また、「たばこ」についての調査ではありますが、お吸いになる方とお吸いにならない方双方のご意見をお伺いし、ともに共存できる社会の実現へ向けて活用させていただきます。
 なお、ささやかではございますが、謝礼の品を同封させていただきましたので、ご笑納いただければ幸いに存じます。
敬具
 2006年8月24日
                                日本たばこ産業株式会社
                                    お客様コミュニケーション部長
 

10a5e56c  週末、角2封筒が食卓の上に置いてある。差出人はJT。赤字で「たばこについての世論調査 調査票在中」と印字してある。何だこりゃ。開封すると、10ページにわたるアンケートと上記の依頼文が入っている。そしてみなさんがいちばん気になっているであろう(笑)謝礼の品……1000円の図書カードでした。

 依頼文にはさまざまな注意書きもそえてあって、
1.返信用封筒(切手不要)で8月30日(水)までに投函すること。
2.喫煙者であるかないかにかかわらず、双方の意見を集約したいので、吸わない人にも協力してほしい。
3.本人以外の回答は統計調査上無効なので、必ず本人が記入してほしい(だから“あなた様のご回答”が太字になっていたわけだ)。
4.取得した個人情報は、本調査のみに使用する。

……とある。誰でもそうだと思うけれど、まず考えたのは「なぜ、オレなんだ」ということだ。

Q2につづきます。

画像は、タバコといえばこの映画。「さらば友よ」の有名なラストシーンだ。JTもメディア戦略として映画に投資すればいいのに。テレビCMはおよそもう無理なんだから。

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