監督・脚本石井克人 主演三浦友和 手塚理美 浅野忠信
石井克人プロフィール。
1966年新潟県生まれ。武蔵野美術大学卒業後、東北新社に入社。多数のCMを手がける。94年、「8月の約束」がゆうばり国際・冒険ファンタスティック映画祭ビデオ部門でグランプリ。長篇デビュー作「鮫肌男と桃尻女」(’98)はその年の単館系興行成績第2位を記録。続く「PARTY7」(’01)もヒット。また「世にも奇妙な物語 SMAPの特別編 BLACK ROOM」などテレビでも話題作を連発している。近作「茶の味」。タランティーノの「キル・ビル」ではアニメパートのキャラクターデザインを担当。
……こう説明されてもいまひとつ感じとれないでしょう?でも彼がつくったCMを見たことのない人はいないはず。あのキムタクと岸部一徳の「富士通FMⅤ」や旭化成の「イヒ!」とくれば彼の作風はわかっていただけるのでは。あの独特の“間(ま)”こそ彼の真骨頂。わたしは昔から彼のファンで、「鮫肌~」は例によって事務職員部報で当時とりあげている。
事務職員へのこの1本
「鮫肌男と桃尻女」 石井克人監督 浅野忠信主演
事務職員部長になってこの二年、なってよかったと思ったことはそれこそたーくさんあったのですが(泣)、山形市内の会議が遅くなった時にいきなり映画館に走り、酒田にいては絶対に観ない観れない映画を楽しみ、女房子どもを忘れて居酒屋で大酒をくらってビジネスホテルで爆睡する、これがいちばんだった。翌朝は最低の状態に陥るが。
このとんでもない題名の映画もこんなパターンで観た。去年のわたしのベストワン。とにかく役者が全員素晴らしくてまいった。岸部一徳、鶴見辰吾がいいのは当然としても、寺島進、島田洋八、若人あきらの怪演には恐れ入った。そして誰よりも浅野忠信!CMでトマトジュースや角瓶を飲んでいるだけの男ではなかった。チャラの亭主というだけの男ではなかったのである。今ごろ気づいても遅い、と突っこまれそうだが。
それ以来、出演作は全てといっていいくらい観て幸せな生活を送らせていただいている。あの時ヌーベルに行って本当によかった。事務職員部長になって本当によかったよぉ(すみません、この二年で本当に嘘がうまくなってしまいました)。 山形県教職員組合事務職員部報№313 2000年2月25日号
「茶の味」もすばらしい。“日本でいちばん自然な演技をする男”三浦友和を中心に、おなじみ我修院達也(若人あきら)が年老いたアニメーターを演じて最後にホロリとさせる。石井人脈が爆発していて、単館系ムービーのくせに意外なほどのオールスターキャスト。劇中歌「山よ」は爆笑。ぜひ一度おためしを。