いきなりジム・ジャームッシュ。渋い。インディーズとはいえ、アメリカ映画とは思えないぐらいタイトルどおりスクリーンの中で紫煙がたちこめる。共通項はテーブルの上から撮ったコーヒーと灰皿の映像だけの11篇のエピソード集。18年もかけて少しずつ撮影されている。映画というより、ジャームッシュのコンセプトアルバムか。ケイト・ブランシェット(一人二役を喜々として演じている)やロベルト・ベニーニなど、ジャームッシュが気に入っている役者をピックアップしている。ロックファンとしてうれしいのは、イギー・ポップとトム・ウェイツが話し込むうちに険悪になる挿話。パブリックイメージとは逆に、トムの方がイギーをいじめているのが笑える。
※ケイト・ブランシェットの新作「アイム・ノット・ゼア」で彼女が演ずるのはなんとボブ・ディラン。有能な映画監督たちは、ケイトのような存在を前にすると何ごとかかましたくなるのだろう。