事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

年度末年度始 20日目「誤差」

2008-05-26 | 学校事務職員

Bullitt2 19日目「通勤手当」はこちら。

 トリップメーターやスピードメーターがいかに信用ならないかのお話は続いています。

Mail04c クルマの速度計、距離計は車軸の回転数から計算表示しているわけですが、実際に路上を回転するのはタイヤで、その大きさが異なれば回転数から計算される速度、距離は違ってくるのは誰でも分かることです。タイヤが減って外径が小さくなるのは全てのクルマに生じることですし、ドレスアップや性能アップのためにメーカー指定と異なる外径のタイヤを付けるクルマも少なくありません。ですから最大で10%程度の誤差はクルマ業界では認められているようですし、それが理由かは分かりませんが速度取り締まりでも10キロ超過までは検挙しないようです。

その後、電子地図ソフトが1万円以下で複数市販されるようになった平成10年に電子地図ソフトを使用した通勤距離計測と認定が認められるようになり、今はほぼ100%が電子地図による認定だと思います。全ての地図ソフトは確認していませんが、「MapFan.net」については道路の斜度も距離に換算しているということですから、キルビメーターよりさらに正確な計測がされていると思います。例外は、新しい道路が開通したときに電子地図が対応するまでの間です。この時ばかりはキルビメーターに頼る他ありません。

……クルマのメーターが、実際の走行距離よりも短く出るような初期設定は許されない、という話は聞いたことがある。リセール時の価格にいちばん影響するのが走行距離であることを考えれば必然だろう。だから新車購入時の、まったく摩耗していない純正のタイヤが実際の距離に最も近づくはず。群馬の事務職員が言うように、タイヤの摩耗やインチアップがメーターに影響するのは理の当然だ(扁平率で調整はする)。

 右ハンドル車の場合、計測の基準となるタイヤは右前のものだそうだが(単にメーターに近いからだとか)、真っさらのタイヤですら何%かの誤差は生ずる。どの程度狂っているかをチェックする最も簡単な方法は(同時に危険な方法でもあるが)、高速道路に立っているキロ数表示があるでしょう。あれとトリップメーターを一度シンクロさせてみればいいのである。

 まあ、そこまではともかく、ひとつだけおぼえておかなければならない事実がある。タイヤによって誤差が出るとすれば、回転数が多ければ多いほど、つまりタイヤ径が小さければ小さいほど誤差は大きいということなのだ。軽自動車の職員の申告はちょっと疑ってみてもいいかも(怒ってる読者は多いだろうなあ)。加えて、斜度の問題がある。以下次号「斜度」につづく。

画像は、マスタングのホイールキャップがさりげなく吹っ飛ぶ画面が興奮させた「ブリット」。さぞやタイヤは減りまくっていたことであろう。

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「遠雷」(’81 ATG)脚本荒井晴彦 監督根岸吉太郎

2008-05-26 | 邦画

Enrai  荒井晴彦の「争議あり」(青土社)はものすごい本だった。脚本家として、「映画芸術」の編集長として、とにかく誰彼かまわずケンカをうりまくり、同時に荒井の団塊の世代としてのこだわりとダメダメさが噴出する映画論集。荒井が難癖をつける相手は、脚本家の許しも得ずに現場で勝手にシナリオを変更する監督たち、その現状に唯々諾々としたがっている脚本家たち、現場の痛みも知らずに作品を切って捨てる評論家たち、そして、それらを穏やかに見過ごすことがどうしてもできない自分自身……山田洋次や三谷幸喜、鈴木清順に噛みつき、黒澤明の映画を一本も観たことがないと豪語する“現役の”シナリオライターの本が面白くないわけがない。

特に、畏友にして亡くなってしまった斎藤博という脚本家(フジテレビでオンエアされたTV版「桃尻娘」は傑作だった!)について語られた項と、「熱中時代」などの脚本家にして桃井かおりのお兄さん、桃井章が結局は水商売に流れた話は泣かせた。

 その荒井の代表作といえば「遠雷」。この頃のATG(アートシアターギルドのことです)の映画はほとんど観ていたわたしなのに、この作品だけは見逃していた。なぜなら「都市化の波が押し寄せる北関東で、ビニールハウスでトマトを作り続ける農村青年の日常と狂気」こんなの他人事じゃなさすぎて(T_T)絶対に観るもんかと思っていたので。

 根岸吉太郎の演出は、役者の特質をうまく引き出すことで成立している。「探偵物語」の薬師丸ひろ子や「ウホッホ探検隊」の子役たちがまさしくそうだったように。永島敏行は「いるんだよこういうお兄ちゃんが田舎には」と思わせる圧倒的な存在感。見合いのあとに直接モーテルに女性を誘う無軌道さがいい。そのモーテルで「もう一回できる?」というセリフがどうしても言えなくて何度もリテイクしたのが、今思えばそんなに純情だったのか石田えり。身体とアンバランスな巨乳がいい味を出しております。そして誰よりも横山リエ!ちょいとセックスにだらしない女を演じさせたら、彼女(山形中央高校卒です)と伊佐山ひろ子にかなう女優はいない、と当時のATG映画ファンなら同意してくれるはず。ビニールハウスのなかでのファックシーンは淫らだ。

“女(横山リエ)を殺したのは、友人ではなくてひょっとしたら自分であってもおかしくない”という鬱屈を抱えながら、自分の披露宴で「わたしの青い鳥」を♪クックックックー♪と永島敏行に涙を流しながら歌わせる……こんな設定、確かに荒井でなければ書けない。若い頃に観ていたら、農村青年だったわたしはどんな思いで映画館を出ていただろう。

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