娘がまだ小さかったころ、いっしょにテレビの「ポケットモンスター」を寝っ転がって見ていた。うつらうつらしながら見終わって、さて夕食かというときにいきなり飛び起きる。な、なんだこのエンディングテーマはっ!
めちゃめちゃにいい曲だったのである。
「か、紙はないかヒナコ。ボールペンも……」あたふた。アーティスト名のメモに成功「江崎とし子」。
さっそく自分の部屋のパソコンで検索し、メジャーと契約していなかったのでインディーズ(というより自分でやってる)レーベルに発注。本人からのていねいな御礼メールとともに届いたアルバム「SPICES(スパイセス)」は、いやーこれが名盤でしたー。特に「それぞれに」という曲が泣けて泣けて。2004年のことでした。
なんで「海角七号」の話にならないんだと思ったでしょ。これが意外な形でつながったのである。
低迷していた台湾映画界で、ちょっとびっくりするぐらいのヒットになっていることは日本にも伝わっていた。で、いざ日本公開するに当たって、細々と単館公開に近い形になっていたのには疑問をもっていた。もっと大騒ぎして、イベント映画にしてしまえばいいのでは?
作品を観て、わたしの予測は正しかったと痛感。日本の若者たちに、絶対にうけたはずなのだ。ロックスターの夢やぶれて台北から田舎に帰ってきた郵便配達夫と、日本を遠くはなれて台湾で売れないファッションモデルをやっている友子(田中千絵)。このふたりの恋愛に、60年前の『届かなかったラブレター』がからんで……日本語、北京語、台湾語という使用言語の差が、登場人物たちの歴史や性格にちゃんとからんでいるあたりも渋い。
そして、日本からやってきた癒し系のアーティスト役で中(あたり)孝介が登場。彼がリハーサルで歌うのがなんと「それぞれに」だったのである。中がカバーしてたのは知ってたけど、ここで使用してくれたのはうれしかったなあ。おかげでエンドロールにも江崎とし子の名前がちゃんと出ます。
でも、鶴岡まちなかシネマでいっしょになった同級生は、江崎とし子(チョーヤ梅酒のCMでもおなじみ)どころか「……で、中孝介ってだれ?」あー日本の中年ってダメだなあ。
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