PART1はこちら。
「死んでないですってば。なんで死んだと思うんです?」
「いやいや、だってほら」
と例を挙げて説明すると
「あれはね、ただ眠ってるだけなんです。年寄り簡単に殺しちゃいけないなあ」
そうかぁ?
不安になったので、というか面白かったのでまわりにきいてみた。
「死んだでしょうあれは」
「死んじゃったとは思わなかったですねえ」
「……………………よくおぼえてない」
いったいどうしてあれだけヒットした映画のラストの部分がはっきりしないのだろう。
というのも、この映画は他の部分ではひたすらわかりやすいのだ。図式的すぎると言ってもいい。
一等の乗客は、上階の船室にいて豪華なディナーを楽しんでいる。三等の客は船底で下品なやり取りを続けている。ギャンブルに勝ってチケットを手に入れたジャック(だから彼の名は死亡者リストに入っていない)は当然三等で、お嬢さまであるローズとは本来出会うはずもなかった……すげー設定。あざといですわね(笑)。そこをつなぐキャラが不沈のモリー・ブラウン(キャシー・ベイツ)という仕掛け。これもあざといっちゃあざとい。
お嬢さまにはお嬢さまの苦労があり、望まない結婚を強いられることに嫌気がさしてローズは自殺を図る。そこへ偶然居あわせたのがジャック。典型的なボーイ・ミーツ・ガールなストーリー。
しかしジェームズ・キャメロンのことだから少しはツイストを入れていて、絵の才能があるジャックに、ローズは裸身をさらしてモデルになり、しかもあろうことか貨物であるクルマのなかでふたりはやっちゃうのである。船の上のカーセックス(^_^;)。
単なるおとぎ話じゃないぞというキャメロンの宣言だろう。以下次号。