ケレン味たっぷりポール・バーホーベン監督&普通の人の役は無理ですアーノルド・シュワルツェネッガー主演作品のリメイク。
はて、どんな映画だったっけ。シュワちゃんの目玉が飛び出るシーンばかりが印象に残っていて、シャロン・ストーンが出ていたことなどすっかり忘れていた。
当時の独立系配給会社(東宝東和とかヘラルドとか)にはありがたい存在だったカロルコ製作らしく、とにかく派手な画面が連続していたんじゃなかったかな。原作フィリップ・K・ディックの匂いなどどこにも……
さて、リメイク。今度はSONYがレン・ワイズマン監督を起用。「ダイ・ハード4.0」がむやみに面白かったので期待大……そうきたかっ(笑)。
重力反転がご都合主義だとか、イギリスがオーストラリアを攻めるってのは露骨すぎないかとか、いろいろと批判もあるでしょう。でもわたしには大好きな作品になった。
自分が何者なのかわからず、逃走するうちに自らが異様なほど戦闘に秀でていることにきづいて……どう考えても「ボーン・アイデンティティー」。SFの意匠を剥いでしまえば、ダブルエージェントの苦悩をストレートに描いているわけだ。
未来っぽさもなかなか。手にうめこまれた端末(究極の携帯=ハンディフォンですな)や三次元のカーチェイスの描写は「マイノリティ・リポート」をしのぐ。勢いあまって的なアクションもリアル。さすがワイズマン。
さすがといえば、やけにいい女が登場するなあと思ったら、ワイズマンの奥さんであるケイト・ベッキンセールだった。自分の女房のいちばん綺麗な撮り方はお手のものですか。
そんな彼女と、物語上の(微妙だけど)恋人であるジェシカ・ビールが
「すてきな奥さんね(皮肉)」
「あの女、殺す」
と罵倒合戦がくり広げられるあたりには笑った。
レン・ワイズマンは、高額な製作費をかけ、おまけに自分の妻を使って三角関係清算物語を完成させたのだ。なんか、客の入りがイマイチらしいので応援しなきゃ。残暑厳しきおり、スカッとするには最適の映画ですよ。
あ、主役のコリーン・ファレルにはまったくふれないままだ。まあいっか。暑いし。