PART2「FAKE」はこちら。
【HOGO NAMENNA】
小田原市の職員が、生活保護費受給世帯を訪れるときに着ていたジャンパーに入っていたロゴ。「保護なめんな」と。批判を受けてこのジャンパーの着用は禁じられたという。
実はこの件は微妙。ネットでは擁護論や批判が渦巻いているだろう。わたしも公務員として(なにしろ職員への切りつけ事件があったことがこのジャンパー作成のきっかけになったというから)理解できる部分もある。さぞや日ごろ、つらい思いをしているのだろう。
「受給者に対する差別意識を持っている職員はいない」
「内部に対して『生活保護(担当を)なめんなよ。みんな頑張っているんだ』と訴えたかった」
とする市の釈明に嘘はないと信じる。
しかしジャンパーにはこんな英文も入っている。
We are “the justice” and must be justice, so we have to work for odawara. Finding injustice of them, we chase them and Punish injustice to accomplish the proper execution. If they try to deceive us for gaining a profit by injustice, “WE DARE TO SAY, THEY ARE DREGS!”
Dregsとはカスとかクズを意味する。不正受給者はカスであり、それを罰するわれわれは正義だと。
気持はわかる。くどいようだが、理解できますとも。自分たちを鼓舞するためにやったんでしょう?俺たちはチームだ、連帯している、不正は許さないぞ、独りじゃないんだ!と。しかしわたしは重々それを承知した上で、逆にユニフォームの怖さを感じる。チームとして、一体となって不正受給者に対峙したとき、自分の正義に微塵も疑問を持たなくなってしまいはしないかと。
学校事務職員に置き換えてみよう。集金の未納者を許さないために、
【SHUKIN NAMENNA】
というロゴの入ったジャンパーを着て、その保護者に向かっていくとしたら、その事務職員はやはり何かを見落としてしまっていると思う。だいたい、この体育会系サークル的ノリでガンガン行く姿勢が、わたしにはどうにも我慢できないのだ。
PART4「プロフェッショナルズ」につづく。