第6回「初恋の別れ道」はこちら。
前回の視聴率は14.5%と予想よりも下がっている。世間はそんなにラブコメが好きではなかったということだろうか(イッテQがイモトで突っ走っていたせいでしょうけれども)。
あるいは、大河ドラマの視聴者層に合っていなかったとか。森下佳子さんはそのこともひょっとしたら計算に入れていたのかも知れない。今回はそんなお話。
本来ありえないはずの直親(三浦春馬)の家督相続を認めるかわりに、今川家は検地を交換条件に持ち出す。地方公務員が最も忌むべき(笑)「監査」をやるというのだ。井伊家には明かせない領地があって、直情径行なだけに見えた直平(前田吟)が、政治家らしい屈託を見せてくれる。よかった。そうでもなければ井伊家などとっくの昔に木っ端微塵だったろう。
それとまったく同じ構図をラブコメに当てはめたのが今回。
・直親は井伊家のためにどストレートにその隠し領地を守ろうとする。
・小野政次(高橋一生)は直親のその願いをどう受けとめていいか逡巡。
・その直親は政次が逡巡することを見越して、なお下駄をあずける。
・次郎法師は直親のために何ごとかできるはずだと、ある伝手を頼る。
・そんな動きに、直親の妻となったしの(貫地谷しほり)は何かを察して泣き崩れる。
……戦国の世に、ラブコメがそれ単体では成立しないことを思い知らせてくれます。と同時に、ラブコメが存在する余地がまだあったことも。
築山殿(菜々緒)は、家康(阿部サダヲ)を利用し、彼を「あのぼんやり」と形容することで軽侮しながら次第に取り込まれていく(のかな)。
地方公務員として、特に国の監査は大騒ぎ。供応することによって見逃してもらうなんてありえない。でも心のどこかに、鬼やプリンセストヨトミじゃあるまいし、情実が通用するのではないかと考えないでもない。
戦国の会計検査院である検地奉行を木村祐一に演じさせ、彼のある“弱点”を、次郎の職業にからめたあたりは技あり。視聴率は上昇して15%台でしょう。
第8回「赤ちゃんはまだか」につづく。