前作の特集はこちら。
1984年が舞台、という発想がにくい。
バブル開始直前、レーガンのアメリカは軍拡を進め、ソ連との冷戦は激化して核戦争の脅威は今よりももっと身近だった。この背景があったからこそ選ばれたのか、あるいはジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984」をヒントにしたか(村上春樹の「1Q84」は関係ないと思います)。
ワンダーウーマン、ダイアナ(ガル・ガドット)の少女時代からスタート。トライアスロンのような過酷なレースにひとり子どもなのに参加。母(世界一の美女ロビン・ライト)は心配するが、ダイアナは余裕しゃくしゃく……しかし彼女はこのレースで知る。真実がだいじなのだと。
この、レースシーンがすごい。並の運動神経や体力ではおよそクリアできそうにない。しかも参加者は(ひとりをのぞいて)みんな長身の美女。映画でしかありえない映像の連続。個人的にいちばんきつかったのはジェット機の飛行シーン。ただでさえ高所恐怖症なのに、ダイアナの能力で機体が透明化。怖いって!
悪役として登場したのは詐欺まがいの石油会社経営者。あきらかにトランプを意識したルックスの彼は、ある石のおかげで願いを実現するチカラを手に入れ……
もうひとり重要な人物はスミソニアン博物館に勤務するバーバラ(女性版ゴーストバスターズに主演したクリステン・ウィグ)。彼女は“ダイアナのようになりたい”と願い……
願いがかなうということは、代償を伴うという「猿の手」のようなお話。スティーブン・キングが「ペット・セメタリー」で使ったパターン。
目もくらむような(実際にめがくらみました)アクション、ハンス・ジマーの音楽が響き渡り、ガル・ガドットとクリステン・ウィグはみごとな肢体を豪華なドレスで強調してくれる。いやはやぜいたくなことだ。
でもね、前作の興奮に及ばなかったのは悪役の設定が単なるメンヘラにしか思えないからか。次作ではもっと強力なワルをお願いします。
にしても日本ではまたしても客が入っていない。どうやらでかい女性を敬遠する風土が関係してるのかな。なんてもったいない。あ、わたしがでかい女性好きであることがばれてしまった(笑)