日本でも大ヒットした名作。ある能力を持った死刑囚をめぐる3時間8分の大作。でも、わたし見てなかったんですよ。それは、死刑囚をめぐる3時間8分の大作だから(笑)。
どう転んでも哀しい気持ちになりそうじゃないですか。死刑囚の罪状が少女ふたりの強姦殺人ってのもきつい。しかも長いんですよ?スティーブン・キングの原作は新潮文庫で6カ月連続刊行ってのをまだおぼえてます。あ、これはネタバレを防ぐためだったのか。
おまけに監督はフランク・ダラボン。「ショーシャンクの空に」でみんなを熱狂させたけれども、「ミスト」で観客を絶望的に……
老人ホーム。毎日長い散歩をする男性。彼は食べ残しのパンをいつも持っている。みんなでテレビを見ていると、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの「トップ・ハット」がオンエアされている。そしてアステアは名曲「Cheek to Cheek」を歌う。
♪Heaven I’m in heaven♪(ぼくはいま天国にいるよ)
その曲を聴いた老人は、涙をこらえきれなくなる。
彼の友人である女性が「いったいどうしたの?」とたずねると、老人は
「今まで、誰にも話したことがない。わたしは大恐慌のころ、刑務所の看守をしていたんだ。」
そして時代はそのころに飛ぶ。主人公の看守主任はトム・ハンクス。彼は重度の尿路感染症を患っていて……
ラストに向けて伏線バリバリです。トップ・ハットの歌詞、パンを食べるのは誰か、そしてちょっとネタバレだけど大男の黒人死刑囚が暗闇が嫌いであることなど、周到な脚本です。死刑囚がトム・ハンクスにリクエストしたこととは?いやあ感動してしまいました。もっと早く見ればよかった。
キャストもすんごく豪華なんですよ。大スター、というより渋いバイプレーヤーを集めた感じ。
わたしの大好きなバリー・ペッパー、デヴィッド・モース、ゲイリー・シニーズ、ジェームズ・クロムウェル、ハリー・ディーン・スタントン、サム・ロックウェル、ウィリアム・サドラー、そして死刑囚にマイケル・クラーク・ダンカン。
タイトルの「グリーンマイル」とは、死刑囚収監房の廊下がその色から「緑の路」と呼ばれていることに由来。人はみな死から逃れることができない。死刑執行台への緑の路を、実は誰もが歩いている。