事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「アメリカン・ギャングスター」American Gangster(2007 ユニバーサル)

2021-01-29 | 洋画

偉大な上司の薫陶を受け、その考え方を会得した若者。産地に直接出向き、良質の製品の仕入れルートを確立し、業界でのし上がっていく。

ビジネスマンのサクセスストーリー。ただし、その“製品”とは麻薬だった……。

1968年、ベトナム戦争の帰還兵たちは、戦闘の記憶のためにPTSDに悩むことが多かった。加えて、戦地において米国で入手するよりもはるかに純度の高い麻薬を体験していたため、良質の麻薬の需要は増大していた。

フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、従軍中の親戚経由で質の高いヘロインを安定的に買い付けることに成功する。他の業者の製品より安価で、しかも“飛べる”となれば人気が集中。

もちろん、新参者の登場をマフィアたちが歓迎するわけもなく、汚職警官たちからつまはじきにされている刑事リッチー(ラッセル・クロウ)の追求の手も伸びてくる。しかしフランクは巧妙に自分の正体を隠していた。が……

正義漢の刑事がクレバーな悪役を次第に追いつめていく、というスタイルをとっているけれども、ラストでそう来たかとびっくり。背景にきっちりと人種差別の問題がしこんであったとは。

リッチーの希求する正義とフランクの怒りが意外な形で収束していく。監督はリドリー・スコット。彼が撮ると「ゴッドファーザー」がこういう形になるのかと納得(コッポラではなくてマーティン・スコセッシの方を意識したようだが)。

リドリーとラッセル・クロウとくればどうしたって思い出す「グラディエーター」。ああまた見たくなってしまった。忘れてた。悪徳警官を演じたジョシュ・ブローリンもよかったなあ。

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今月の名言2021年1月号PART1 とんねるずのおかげ

2021-01-29 | 芸能ネタ

2020年12月号PART9「うどん」はこちら。それにしてもこのタイトルで曲がリッキー・リー・ジョーンズって(笑)

「ほぼ日刊イトイ新聞」における石橋貴明と糸井重里の対談は読みごたえがあった。石橋があんなにクレバーに自己分析をしているとは、と失礼ながら驚いた。

石橋:ぼくはずーっと「勢いだけだな」と言われますが、憲武はほんとうに、何やっても上手にできるやつなんです。器用だし、歌もうまい。例えばコケるときの体の使い方も堺正章さんの次くらいにうまいですよ。

タモリさんが小っちゃなバーで赤塚不二夫さんたちの前でやっていたのが密室芸だというのなら、ぼくと(木梨)憲武がやっていたのは、サッカー部と野球部の部室でやってた部室芸。大人にはまったく、何やってんだかわからない。だけど、同世代にはバカウケなんです。

……そうは言うけれども、彼らにとんねるずという名を与えたのは名プロデューサー井原高忠さんだし、それに……

石橋:昔、作家の小林信彦さんが書いてくれたことがあるんです。それはぼくが23ぐらいの頃の、生放送についてのコラムでした。

新宿アルタ前からの中継で、春先で、小雨がバァーっと降っていました。アルタの前にはお客さんがギューギューづめで待っている。そこでぼくが出ていっていつものように「おらぁ、お前ら!」と煽る。お客さんはウワーッとなって、おしくらまんじゅう状態になっていく。そんな感じで30分。みんなの肩に雨があたって、湯気がバァーと立ちあがりました。まるでスモークマシンで煙を出しているかのようでした。画面も変に白くなっちゃってる。それに向かってぼくが

「てめぇら、湯気出すんじゃねぇよ!」

と、叫んだ。

糸井:わはははは。

石橋:それを見た小林信彦さんが「とんねるずはおもしろい」と書いてくれた。「湯気出すんじゃねぇよ」がよかった、と。

……小林信彦も彼らを認めていた。そして糸井重里も。わかっている人はわかっているのである。

とんねるずについてはネガティブな評価をするのがトレンドのようだけれど、わたしは彼らこそがコメディアンであると同時にロックスターだった初の存在だと思っている。

妙にうまい現在の芸人で、テレビカメラを倒して壊してしまうなんて芸(じゃなかったわけだがw)を見せてはくれないもんな。彼らのおかげで、どれだけ笑わせてもらったか。

PART2「ふぅじこちゃぁん」につづく

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