偉大な上司の薫陶を受け、その考え方を会得した若者。産地に直接出向き、良質の製品の仕入れルートを確立し、業界でのし上がっていく。
ビジネスマンのサクセスストーリー。ただし、その“製品”とは麻薬だった……。
1968年、ベトナム戦争の帰還兵たちは、戦闘の記憶のためにPTSDに悩むことが多かった。加えて、戦地において米国で入手するよりもはるかに純度の高い麻薬を体験していたため、良質の麻薬の需要は増大していた。
フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、従軍中の親戚経由で質の高いヘロインを安定的に買い付けることに成功する。他の業者の製品より安価で、しかも“飛べる”となれば人気が集中。
もちろん、新参者の登場をマフィアたちが歓迎するわけもなく、汚職警官たちからつまはじきにされている刑事リッチー(ラッセル・クロウ)の追求の手も伸びてくる。しかしフランクは巧妙に自分の正体を隠していた。が……
正義漢の刑事がクレバーな悪役を次第に追いつめていく、というスタイルをとっているけれども、ラストでそう来たかとびっくり。背景にきっちりと人種差別の問題がしこんであったとは。
リッチーの希求する正義とフランクの怒りが意外な形で収束していく。監督はリドリー・スコット。彼が撮ると「ゴッドファーザー」がこういう形になるのかと納得(コッポラではなくてマーティン・スコセッシの方を意識したようだが)。
リドリーとラッセル・クロウとくればどうしたって思い出す「グラディエーター」。ああまた見たくなってしまった。忘れてた。悪徳警官を演じたジョシュ・ブローリンもよかったなあ。