目の前に赤いコードと青いコードがある。どちらかを切れば時限爆弾のタイマーはストップするが、間違えれば爆発する。さあ、どっちを切る。
誰でも一度は見たことのあるシーン。これをワイヤージレンマと言うそうです。
日本でいちばん有名なのは古畑任三郎で木村拓哉が爆弾魔を演じたその名も「赤か、青か」。キムタクの“動機”がすばらしかった。その動機を聞いて古畑は長大なあのシリーズのなかで一度だけ……ぜひ見てください。あ、そういえばガリレオでも湯川准教授(福山雅治)は仕方なく薫(柴咲コウ)に好きな色を訊くと……あとはお楽しみ。
ジャガーノート。中学生のころに酒田グリーンハウスで観て以来。もちろん細部はほとんど忘れています。だからこそ楽しめるだろうとディスカス。
乗員乗客1200人を乗せた客船ブリタニック号が北大西洋を進む。船主(イアン・ホルム……「エイリアン」のアッシュですよ!)にジャガーノート(インドの古代神)と名乗る人物から電話がかかってくる。
「ブリタニック号に七つの爆弾を仕掛けた。爆発させたくなければ50万ポンド用意しろ」
政府は取引を拒否。軍の爆発物処理班を派遣する。そのリーダーがリチャード・ハリス。果たして彼はワイヤージレンマをクリアできるのか。
いやあ、このリチャード・ハリスが実にいいんですよ。
お若い方々には「ハリー・ポッター」シリーズの初代ダンブルドアでしょうけれど、わたしの世代には「カサンドラ・クロス」とか、老いてからは「グラディエーター」のマルクス・アウレリウス皇帝役など、渋いインテリってイメージ。この映画では、常に死を意識しているからこそ常に軽口をたたいているあたりがなんとも味があります。
他に船長役でオマー・シャリフ、刑事役でアンソニー・ホプキンスなどうれしいキャスティング。
え、ワイヤージレンマはどうなったって?言えませんそれは。そしてこの映画、ワイヤージレンマを描いた最初の作品なんですって。