マダラナニワトンボ Sympetrum maculatum Oguma, 1915 は、トンボ科(Family Libellulidae )アカネ属(Genus Sympetrum)であるが、成熟しても赤くならない。体長は、35mmほどでアカネ属最小のヒメアカネとほぼ同じだが、細いのでヒメアカネよりも小さく見えるトンボである。
周囲に疎林があるミズゴケ湿原やイネ科の植物が生えている池などに生息するが、 生息地は極めて局所的で、2015年現在、山形県、福島県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、兵庫県の全国約20か所で確認されているだけである。環境省版レッドリストでは、絶滅危惧ⅠB類(EN)に、都道府県版レッドリストでは京都府及び岡山県で絶滅、秋田県、福島県、新潟県、岐阜県、滋賀県、奈良県、兵庫県、広島県で絶滅危惧Ⅰ類、山形県、石川県、三重県で絶滅危惧Ⅱ類に選定され、極めて絶滅が危惧される種である。
マダラナニワトンボは、2011年に福島県で撮影し、ホタルの独り言(PartⅠ)の記事「マダラナニワトンボ」に掲載しているが、今回、新潟県の生息地を訪れた。
普段は、池の周囲の林内で生活し、午前11時頃になると池に集まり、14時頃まで繁殖行動をするが、この日は、10時頃には池に集まり始めた。産卵は、連結打空産卵で、雌雄が連結しながら飛翔し、空中から卵を落とすというものである。産卵場所は、水際から数10cm離れた池畔の乾いた土の上や草の上等である。11時頃になるとペアの数が増え、半径1mの範囲で10組以上のペアがふわふわと上下動を繰り返してながら連結打空産卵しているという光景が見られた。網を一振りすれば、そのすべてを採ることができるであろう。各地におけるマダラナニワトンボの減少の原因の1つが「採集」であるから、マナーの悪い昆虫採集愛好家と業者による乱獲から守るため、撮影場所については記載しない。
福島県においては、本種の生息確認と図鑑的写真(静止)の撮影が目的であったが、今回は、生態的写真としての連結飛翔と打空産卵の撮影に挑戦である。個体数が多く、しかも至近距離で飛翔するので、連結飛翔の撮影は難しくないが、メスの腹部先端から小さな卵塊が落ちる瞬間を写すのは容易ではない。ファインダーを覗いていると、卵が落ちていくのを確認できるが、確認してからシャッターを押したのでは遅い。当然、連写での偶然を期待するしかない。5~7枚目は、ピンボケではあるがとりあえず落下する卵が写った写真である。
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